脳梗塞発症後の生活で心掛けること

突然起こることが多い脳梗塞。

後遺症が残ってしまうと、それまでの生活を送ることは難しくなってしまいます。

脳梗塞発症後の生活は、現状の整理や環境改善・再発予防・リハビリなど、さまざまなことに注意しながら、暮らさなければいけなくなります。

自分なりの充実した人生を送るために、脳梗塞発症後の生活について考えていきましょう。

目次

無理せず焦らず、しかし可能な範囲で前向きに生活しましょう

脳梗塞を発症して、重い後遺症が残ってしまった方は、今後どのように生活していったらよいのか、不安を感じている方が多いでしょう。

脳梗塞を発症したからといって、人生が終わるわけではありません。

しかし、突然すべてが変わってしまったと考えてしまわれて、当然だと思います。

ご自身も、ご家族も混乱してしまうでしょう。

発症者の約4割の方が、うつ状態になるともいわれています。

うつ状態になった場合、何かしんどいなと感じたり、周囲の人からうつ状態を指摘された際は、必ず医師の診断・治療を受けてください。

気持ちが落ち着いていることを、必ず確認してください。

そして確認ができれば、無理せず焦らず、しかし可能な範囲で、自分自身の状況や周りの環境を整理していくことから始めましょう。

まずは現状を整理しよう

脳梗塞発症直後は、現実を受け入れられずに、自室に引きこもりがちになってしまう方も少なくありません。

しかし、前向きに生活を送るためには、現実を受け入れ、現状を整理することから始める必要があります。

出来なくなってしまったことを考えて悲観的になるのではなく、残された機能で出来ることがあると、ポジティブに考えるようにしましょう。

自宅での事故を予防しましょう

住み慣れた自宅は、居心地がよく安全な空間です。

しかし、脳梗塞発症後も、安全な空間であるとは限りません。

健康のときには安全だった場所でも、後遺症が残っている身体では事故を起こす危険性があるかもしれません。

自宅での事故を予防するために、自宅のバリアフリー化は有効な方法です。

自宅のバリアフリー化は、事故防止だけではなく、自宅でのリハビリにも利用できます。

【軽症者】再発しないような生活を心掛けましょう

軽症者は再発しないような生活を心掛けましょう

リハビリをする必要がないほどの軽症者は、再発しないような生活を心掛けましょう。

脳梗塞が発症した方は、脳の血管に詰まっていた血栓が溶けて、血流が再開したとしても、血栓が詰まりやすい状態であることは変わっていません。

そのため、脳梗塞が再発しやすい状態になっています。

また再発すると、以前よりも重い後遺症が残りやすいことがわかっています。

脳梗塞で損傷を受けた脳細胞は元どおりになることはなく、再発すると他の部分の脳細胞も損傷を受けるため、範囲が広がってしまいます。

そのため、再発すると1回目より症状は重くなり、重度の後遺症が残りやすい傾向があるのです。

自分の状態を理解することが大切

後遺症がほとんど残らなかった軽症者は、入院はしたものの、退院後すぐに以前と変わらない日常生活を送ることができてしまいます。

そのため、脳梗塞という病気を軽視し、再発への危機感が希薄になってしまう傾向があります。

軽症者は、以下をしっかり理解しなければいけません。

・脳梗塞は命にかかわる深刻な病気であること
・自分の体は、脳梗塞を再発する可能性が高い状態にあること

再発予防のために注意すべき生活習慣

脳梗塞の最も高い危険因子は、高血圧です。

再発を防ぐためには、血圧をコントロールする必要があります。

血圧は最低でも140/90mmHgを越えないようにし、135/85mmHgにコントロールすることを目標としてください。

血圧をコントロールする方法は、薬でコントロールする方法もありますが、生活習慣を見直すことでコントロールすることもできます。

以下を心がけると良いでしょう。

・脂分や糖分、塩分を控える
・野菜多めのバランスの良い食生活
・適度な運動
・こまめな水分補給
・十分な睡眠をとる

月に1回ほど検診を受けて「血圧が適切な値にコントロールされているか」「再発が起きていないか」を確認してもらうことも大切です。

【重症者】粘り強くリハビリをしましょう

重症者は粘り強くリハビリをしましょう

重症者は、再発予防だけではなく、出来るだけ自立した生活を送れるようになるために、リハビリにも取り組む必要があります。

脳梗塞発症後3ヶ月程度の間が、失われた機能が最も回復する時期です。

この時期はリハビリをすれば成果があらわれやすいため、積極的に取り組む方も多いです。

この時期を過ぎると成果があらわれにくくなるため、諦めてリハビリをやめてしまう方が増えます。

しかし、まったく回復しないわけではありません。

気づかないほどわずかかもしれませんが、確実に回復しています。

毎日継続して長期間リハビリすることで、わずかな回復が積み重なり、目に見える回復につながります。

諦めずに続けることが大切です。

日常生活にリハビリの要素を取り入れましょう

リハビリは、やればやるほど成果としてあらわれるものです。

しかし、専門家の指導のもとリハビリが行える時間は限られています。

そこで、日常生活にリハビリの要素を取り入れて生活すると、より一層回復が期待できます。

例えば、歩行訓練をしている方は、自宅でも出来るだけ歩く練習をしましょう。

もちろん、無理をしてはいけません。

普段リハビリで行っている範囲の練習をすればよいです。

もし自宅でできるリハビリ方法がわからない方は、指導を受けているリハビリの専門家に相談しましょう。

あなたのリハビリ状況を知っている専門家なら、あなたの出来る範囲で自宅での効果的なリハビリ方法を教えてくれるはずです。

忘れてはいけないのは、多くの方がうつ状態になってしまうということです。

まずはそのことを軽視されず、少しでも疑いがある場合は必ず医師に相談してください。

そして、気持ちが落ち着いていることを確認したあと、無理せず焦らず、しかし可能な範囲で自分なりの充実した人生を送りましょう。

まとめ

脳梗塞発症後の生活について、ご紹介してきました。

再発予防をすることや粘り強くリハビリに取り組むことは、自分なりの充実した人生を送るためにすることです。

そのため、焦ったり無理をしてしまい、自分なりの充実した人生を送ることを犠牲にされないようにお願いいたします。

脳梗塞で後遺症が残ってしまったために、思ったとおりの人生を送れなくなってしまった方もいるかもしれません。

しかし、自分なりの充実した人生が送れなくなってしまったわけではないということを覚えておいていただきたいです。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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