【脳ドックにデメリットはあるの?】脳ドックを受けて後悔した人はいる?

脳の健康診断とも言われる脳ドック

脳ドックは受けた方が良いのか、それとも受けなくても良いのか。

脳ドックは費用が高額なこともあり、簡単に受けられるものでもありません。

そこで今回は、脳ドックを受けるデメリットや「脳ドックを受けて後悔するケースはあるのか?」ということをご紹介していきます。

目次

脳ドックを受けることのデメリット

脳ドックを受けるデメリットとしては、下記の3つが挙げられます。

・費用が高額
・検査で異常があった際の不安や精神的ショック
・偽陽性の可能性

費用が高額

脳ドックのデメリットとして第一に挙げられるのが、何といっても「費用が高い」ことです。

1回あたりの費用は平均2〜5万円で、一般的に、2~3年に1回受診することを推奨されています。

「2〜3年毎に5万円近くの大金をはたくのは痛い…」と感じる人も多いでしょう。

検査で異常があった際の不安や精神的ショック

2つ目のデメリットとして挙げられるのは「検査で異常があった時に、不安になったりショックを受けたりする」という点です。

脳ドックでは、これまで未指摘だった脳血管の異常が見つかることがあります。

無症状の小さな脳梗塞、破裂リスクの少ない脳動脈瘤などが見つかるケースが多いです。

特に60歳以上の方では、健康な方でも、たいていの場合は微小な脳梗塞が見つかります。

どんな人でもそうだと思いますが、内容は何であれ「自分の身体に異常がある」と言われると、とても心配になってしまうものです。

異常があったとしても、それを今後の改善に繋げられる覚悟をもって、脳ドックに臨まなくてはなりません。

脳ドックの目的は、病気の早期発見はもちろんですが、今後起こりうる病気の「予防」でもあるのです。

「早く見つかってむしろよかった」と考えることが重要です。

偽陽性の可能性

脳ドックの3つ目のデメリットとして挙げられるのは「偽陽性の診断をされる可能性がある」という点です。

偽陽性とは、実際は陰性(特に問題がない)にも関わらず、検査結果では陽性(なんらかの問題がある可能性がある)と判定されてしまうことを指します。

偽陽性になったが故に、本来は必要のなかった精密検査を受けることになれば、費用も嵩み、さらに時間も必要となります。

検診では「疑わしいものは精密検査」が基本です。

健康のことを考えると、たとえ偽陽性であったとしても、精密検査を受けることをおすすめします。

脳ドックは日本独自の予防医学

そもそも脳ドック自体、海外ではあまり推奨されていないという事実もあります。

実は、脳ドックを行っているのは、世界で唯一日本だけです。

アメリカ予防医学専門学会では「無症状の人に頸動脈エコー検査を実施することは、デメリットの方が大きい」とも言われています。

アメリカで脳ドックが推奨されない2つの理由

脳ドックは、自覚症状の出にくい“脳の病気”に対して、早期発見と予防を目的とした日本独特の予防医学です。

病気やリスクの早期発見によって、命に関わる重大な病気の発症を防ぐ役割を果たします。

しかし、アメリカではこのようなメリットよりも、デメリットの方が大きいとされています。

その理由の1つが「頸動脈エコー検査の偽陽性率が高い」ということです(参考1)。

頸動脈エコー検査の偽陽性率は、36.5%だったという報告もあります(参考2)。

また、アメリカで脳ドックが推奨されていないもう1つの理由として、アメリカでは脳血管疾患による死亡率よりも、循環器疾患(心不全、心筋梗塞など)による死亡率の方が圧倒的に高いという現状があります。

強引な言い方にはなりますが、アメリカでは脳血管疾患に対するリスク管理をするよりも、循環器疾患に対するリスク管理をする方が重要視されているのではないでしょうか。

以上のことから、お金を払って検査したのに、偽陽性が出てしまう可能性がある「コストパフォーマンスが低い検査」という意味で、アメリカでは推奨グレードが低くなっているようです。

脳血管疾患は日本人に多い病気

アメリカでは偽陽性が出る可能性がある「コストパフォーマンスの低い検査」と言われていますが、これが日本においても当てはまるという訳ではありません。

脳血管疾患は日本人の三大死因の一つとされ、日本では外国に比べて発症率の高い病気です。

厚生労働省が公表した「令和2年(2020)人口動態統計(確定数)」によると、脳血管疾患での死亡数は102,978人に上っています。

脳の病気は突如発症することも多く、重い後遺症が残ったり、場合によっては死に至るケースもあります。

このような状況を考えると、日本で脳ドックが推奨されている理由も納得できると思います。

年齢を問わず脳ドックを受診し、早い段階でリスクについて知っておくことが、健康な生活を送るために重要になります。

アメリカと日本での「保険診療の考え方」にも大きな違いがあります。

脳ドックで早期に異常を見つけることができれば、保険で治療を受けることができます。

確かに「コスパ」は低いかもしれませんが、健康維持のために、脳ドックは非常に優れた検診手段であるとも言えます。

参考:

1)Michael L LeFevre,et al. Screening for asymptomatic carotid artery stenosis: U.S. Preventive Services Task Force recommendation statement. Ann Intern Med. 2014 Sep2;161(5):356 62.

2)Anthony P Carnicelli,et al.Predictive multivariate regression to increase the specificity of carotid duplex ultrasound for high grade stenosis in asymptomatic patients.Ann Vasc Surg. 2014 Aug;28(6):1548 55.

3)厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計(確定数)」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei20/dl/15_all.pdf

脳ドックを受けて後悔することはある?

これまで述べてきた通り、脳ドックには確かにデメリットと言われる部分があります。

それを踏まえたうえで「自分はリスク因子がないから、お金払ってまで検査する必要ない」「病気が見つかったら嫌だから、やめておこう」と思う方もおられるでしょう。

それもまた選択肢の1つだと思います。

病気やリスクの発見による精神的不安感

脳ドックを受けて後悔する人がいるとしたら、病気が見つかることで大きな不安感を抱く可能性がある人でしょう。

「病気が見つからなければ、これまで通り生活できたのに」「病気になる可能性が高いから、好きなように生活できなくなってしまった」と考えてしまう人もいます。

脳ドックで病気の早期発見に努めるということは、同時に、自分の身体のリスクに向き合うこと、自分のこれまでの生活や行動を何かしら変えなくてはいけない、ということです。

脳ドックは単なる検査

脳ドックで病気が見つかったとして、治療をするかどうかの決断をするのは、医者ではなくあなた自身です。

脳ドックとはあくまでも「結果を踏まえて、そのための改善策を講じる」ための検査です。

脳ドック単独では、病気を治療することも予防することもできません。

検査を受けたら、何かしら自分の生活や行動を改める必要がある、ということを念頭に置いて、検査を受けることをご検討ください。

脳ドックは受ける後悔より受けない後悔が大きい

脳ドックは、脳血管疾患の有無や疾患のリスクを早期発見することができる重要な検査です。

無症状の脳梗塞や脳動脈瘤を早期発見することが出来れば、今後起こりうる病気の発症リスクを抑えるための対策を講じることが出来ます。

また、何も異常が見つからなければ安心感を得ることもできます。

多少費用が高くても、偽陽性の可能性があったとしても、命以上に大切なものはありません。

脳ドックを受けることで後悔するケースはほとんどありませんが、脳ドックを受けなかったことで後悔するケースは多いです。

「あのとき脳ドックを受けておけば良かった…」と後悔しないためにも、自分の身体や病気のリスクと向き合う勇気を持つことが必要です。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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