脳梗塞と糖尿病

脳梗塞発症の危険因子として、以下が挙げられます。

高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、飲酒など

今回は、その中で「糖尿病」について詳しくお伝えしていきます。

目次

糖尿病について

糖尿病とは

糖尿病とは、インスリンの分泌量が少なくなったり、インスリンが分泌されてもうまく働かず、血糖値が高い状態が続いてしまう状態のことです。

糖尿病は「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に分類されます。

今回お話するのは、主に2型糖尿病についてです。

日本の糖尿病患者は、約1000万人とされています。

つまり10人に1人は糖尿病を抱えているということです。

糖尿病予備軍と呼ばれる、糖尿病一歩手前の方も、約1000万人いるとされています。

これも合わせると、5人に1人は糖尿病または糖尿病予備軍となります。

糖尿病は、身近な病気なのです。

1型糖尿病とは

1型糖尿病は、自己免疫によって引き起こされる病気です。

膵臓のインスリンを作る細胞が破壊されることで、発生します。

1型糖尿病のはっきりとした原因は、わかっていません。

糖尿病患者のうち、1型糖尿病と指摘されるのは1割以下です。

若い方の糖尿病では1型糖尿病が多いのですが、年齢に関係なく発症します。

1型糖尿病の場合は、遺伝することはまずありません。

残念ながら、1型糖尿病を予防する方法はありません。

2型糖尿病とは

2型糖尿病では、肥満や食べ過ぎ、運動不足などのいわゆる生活習慣が原因となり、膵臓の働きが弱まったり、インスリンの働きを阻害する物質が体内に溜まることによって発症します。

遺伝的な要素も大きいため、家族に糖尿病の方がいる場合は、要注意です。

日本で糖尿病といえば、通常この2型糖尿病を指す場合が圧倒的です。

糖尿病患者は、9割以上が2型糖尿病です。

糖尿病は完治しない?

糖尿病が完全に治るということは、あまりありません。

一生のお付き合いとなることが多い病気です。

2型糖尿病の場合は、生活習慣を改めることが糖尿病の予防に繋がります。

糖尿病を発症する前に、生活習慣を改めるようにしましょう。

糖尿病はなぜ怖いのか

高血糖の状態が続くと、動脈硬化を引き起こす原因になります。

動脈硬化は、脳梗塞発症の原因となります。

糖尿病の方は、糖尿病でない方と比べると、2~4倍ほど脳梗塞になりやすいとされています。

糖尿病は、感染症も引き起こしやすくなります。

肺炎になりやすく、重症化しやすい傾向があります。

新型コロナウイルス感染症も例外ではありません。

糖尿病は、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクとして挙げられています。

糖尿病は脳梗塞や感染症を引き起こすだけでなく、さまざまな合併症を引き起こします。

糖尿病の合併症は、頭文字をとって「しめじ」と言われています。


神経障害を引き起こす、糖尿病神経障害


目の障害を引き起こす、糖尿病網膜症


腎臓の障害を引き起こす、糖尿病腎症

上記の3つが、3大合併症とされています。

このような合併症は、治すことは大変困難です。

糖尿病は、早期発見・早期治療が非常に重要です。

目を背けてしまっている方は、これを機会に「病院に行く」「生活習慣を変える」など、行動を起こしましょう。

糖尿病の検査・診断

糖尿病の検査は、血液検査や尿検査が中心となります。

糖尿病というと、血糖値という言葉がパッと思いつくかと思いますが、血液検査で調べるのは血糖値だけではありません。

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)やインスリンの分泌の状態なども、血液検査で調べます。

HbA1cは、過去1~2ヶ月の平均の血糖値を調べるものです。

糖尿病の症状

2型糖尿病は、初期の段階では、自覚症状がまったくないことも少なくありません。

糖尿病が悪化すると症状が現れますが、ゆっくりと少しずつ症状が現れるため、なかなか気が付きにくいとされています。

糖尿病の症状は、以下が挙げられます。

疲労感、頻尿、口渇(口の中が渇くこと)など

症状が現れて病院を受診するというよりも、健康診断などで糖尿病の疑いがあると指摘されて、自分は糖尿病かもしれないと気が付く方の方が多いです。

糖尿病の治療

糖尿病の治療は、基本的には「食事療法」と「運動療法」です。

糖尿病は生活習慣が原因となっている場合が多いので、まずは食事と運動の見直しが重要です。

2~3ヶ月食事や運動を改善しても症状が改善しない場合は「薬物療法」を行います。

食事や運動など生活習慣の改善も、立派な治療です。

薬物療法だけに頼っていては、糖尿病は改善しません。

薬物療法が開始になっても、食事療法や運動療法は継続して行います。

薬物治療はまず内服から始まりますが、それでも糖尿病の症状が改善しない場合は、インスリン注射を行うこととなります。

内服薬にはさまざまな種類がありますが、膵臓に働きかけてインスリンを出しやすくしたり、肝臓や筋肉に働きかけて、インスリンを効きやすくしたりするものがあります。

直接インスリンを補給しているわけではないので、効果が得られにくいこともあります。

内服薬を使用しても糖尿病が改善しない場合は、インスリン注射を行います。

インスリン注射は、ダイレクトにインスリンを補給することになりますので、血糖のコントロールが良好になります。

インスリン注射の副作用

インスリン注射を使うときに、注意しておかなければならないことがあります。

それは「低血糖」です。

インスリンは血糖値を下げますので、血糖コントロールが行いやすくなるのですが、ときに必要以上に血糖値を下げてしまうことがあります。

特にインスリンを使い始めて間もない頃や、インスリンの量を増量したときなどは注意が必要です。

低血糖の症状には、冷や汗や動悸があるのですが、さらに低血糖になると、痙攣や意識障害を起こすことがあります。

低血糖でも症状が特に現れず、無自覚の場合もあります。

おかしいなと思ったら、血糖を測ってみる、手の届くところに、すぐに血糖が上がるもの(ブドウ糖やジュースなど)を準備しておくことも大切です。

また、体調が悪く、食事がとれないときや食事量にムラがあるときなどは、インスリンの量を調整しなければなりません。

そのときは、病院の先生と相談するようにしてください。

インスリンの副作用は、低血糖だけではありません。

以下を引き起こすこともあります。

・インスリンのアレルギー
・インスリン抗体の問題
・注射部位の皮膚トラブル など

どんな薬でも副作用のない薬というものはありませんので、副作用には注意が必要です。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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