家族が脳梗塞で倒れたら、あなたはどうしますか?適切な行動ができますか?
あなたの行動によって、家族の大切な命が助かったり、後遺症の程度が変わってくるかもしれません。
ぜひ脳梗塞で倒れたときの対処法を知っておきましょう。
なぜ応急救護が必要なのか
事前に学んでおくことの大切さ
自動車の教習所で応急救護を学んだり、学校や会社でも応急救護の訓練をしたりしますね。
なぜ応急救護の練習をするのでしょうか?
それは、学習することで緊急時にすばやく行動できるようにするためです。
緊急時の対応を知っているか知っていないかで、緊急時の行動が大きく変わります。
そして、繰り返し緊急時のシミュレーションを行うことで、さらに適切な行動がとれるようになってきます。
いつか来るかもしれないときに備えて、準備をしておくことは大切です。
応急救護によって人生が変わる?
脳梗塞の治療には、tPA治療というものがあります。
この治療は、脳梗塞発症から4.5時間以内でしか行うことができません。
そのため、早めの応急救護が必要なのです。
平成30年の救急車の現場到着所要時間は全国平均で8.7分、病院収容所要時間は全国平均39.5分となっています(消防庁ホームページより)。
病院についてからも、すぐに治療ができるわけではありません。
まず脳梗塞かどうか、CTやMRIで画像検査をしないといけませんし、今までにその方がかかった病気など確認し、tPA治療が適応となるかどうかを判断する時間もあります。
そんなことをしていたら、あっという間に発症から4.5時間は過ぎていきます。
おかしいと思ったときは、すぐに救急要請をしていただきたいのです。
脳梗塞の初期症状
おかしいなと感じたら、すぐ救急車を呼ぼう
脳梗塞の初期症状とは、どんなものでしょう?
突然バタンと倒れたら、誰しもすぐに救急車を呼ぶでしょう。
しかし脳梗塞の初期症状は、少し様子がおかしいな、様子見しようかな…と思っているうちに改善し(これを一過性脳虚血発作といいます)、その後また脳梗塞を発症するというものもあります。
おかしいなと感じたら、すぐに救急車を要請しましょう。
具体的な脳梗塞の初期症状
・突然顔や手足(特に片側だけに起こることが多い)の動きが悪くなった、しびれを感じた、脱力感を感じた
・突然言葉がでなくなったり、呂律が回らなくなった、よだれが垂れてしまった
・突然目が見えなくなった
・突然めまいがして歩けなくなってしまった
・突然激しい頭痛を感じた、嘔気または嘔吐があった
・突然意識がなくなり倒れてしたった
脳梗塞、または脳梗塞の前段階とされる一過性脳虚血発作(TIA)の場合、上記のような症状が出ることがあります。
上記すべての症状が出るわけではなく、ひとつだけしか症状が出ない場合もあります。
救急車を要請していいか判断に迷うときは、救急相談センター(#7119)に電話しましょう。
#7119は、ネット検索することもできます。
電話の場合、医師や看護師など救急を経験している医療従事者が、救急車を呼んだ方がいいかどうかの相談に乗ってくれます。
24時間年中無休ですので、困ったときは様子をみるのではなく、#7119を頼ってください。
全国版救急受診アプリ「Q助(きゅーすけ)」というものもあります。
急な病気やけがをしたとき、症状の緊急度を素早く判断するために、消防庁がウェブ版とスマホ版で提供しているアプリです。
当てはまる症状を画面上で選択していくと、緊急度の目安がわかり、必要な対応が表示されます。
救急要請は早い方がいい
tPA治療については、先ほど4.5時間以内にしかできないということをお伝えしましたが、4.5時間に間に合えばいいということではありません。
できるだけ早く治療を開始することで、症状が回復して、後遺症も軽くなる可能性も高くなります。
何度も言いますが、必要なときは救急車を要請してください。
救急車を呼ぶとき
119番通報したときに伝えること
119番通報したときに伝えるべきことを、もう一度確認しておきましょう。
指令員(電話口の方)が必要なことは聞いてくれるので、落ち着いて答えるようにしましょう。
・救急であることを伝えましょう
・住所を伝えましょう(住所がわからないときは、近くにある大きな建物の情報などを伝えましょう)
・症状を伝えましょう
・年齢を伝えましょう
・通報した方の名前と連絡先を伝えましょう
救急車が到着するまでに準備しておくもの
救急車が来るまでに、準備しておいてほしいものがあります。
・保険証
・診察券
・お薬手帳、薬
・現金
・靴
特に、今までにかかった病気や現在飲んでいる薬は、治療をする上で大変重要になってきます。
きちんと受け答えできるよう、普段から家族で病歴や薬歴を共有しておきましょう。
救急車が来るまでにできること
救急車が来るまでの応急処置について学んでおきましょう。
まず横になる
脳梗塞のような症状が見られた場合、意識があってもなくても、まず横になってもらいましょう。
横になることで、脳への血流を確保するためです。
歩けるようでも症状悪化の可能性があるため、必ず横になりましょう。
できれば、救急隊が処置や移動をしやすいような広い場所に横になってもらいましょう。
衣類を緩める
横になったあとは、衣類を緩めましょう。
シャツのボタンを緩め、ベルトをしていれば外しましょう。
眼鏡や腕時計なども外しておきましょう。
肩の下にタオルを入れる
呼吸が弱いときは、肩の下にタオルなどを入れましょう。
こうすることで顎が挙上され呼吸がしやすくなります。
呼吸が弱いときは、決して頭の下に枕を入れてはいけません。
呼吸ができなくなってしまいます。
吐き気がある場合
吐き気がある場合には、麻痺がある側を上にして横向きの体制をとってください。
窒息を防ぐことができます。
応急処置のまとめ
脳梗塞かもしれないと思ったら、すぐに救急車を呼びましょう。
救急車を呼ぶか迷ったら、#7119に連絡しましょう。
指令員(救急車を呼んだときの電話口の方)が必要なことは確認してくれますし、応急処置の指示も出してくれます。
焦る必要はありませんので、落ち着いて対応しましょう。
特に住所が正しく伝えられていないと、救急隊員が現場に駆け付けることができません。
ゆっくり、はっきりと伝えましょう。