脳梗塞と麻痺について

脳梗塞の後遺症には、さまざまなものがあります。

特に脳梗塞の後遺症で一番日常生活に支障をきたすのは、麻痺かと思います。

今回はその麻痺について、お伝えしようと思います。

目次

麻痺とは

麻痺はどのような病気で起こる?

麻痺はどのような病気で起こるのでしょうか?

片麻痺は脳梗塞や脳出血などにより引き起こされますが、その他にも、麻痺にはいろいろな種類があります。

四肢麻痺
交通事故や転倒などで、脊髄損傷により引き起こされる

対麻痺
脊髄の血管障害などにより引き起こされる

単麻痺
末梢の神経障害により引き起こされる

脳梗塞でも、片麻痺ではなく単麻痺を発症する場合もあります。

片麻痺、四肢麻痺、対麻痺、単麻痺とは?

それぞれ以下のとおりです。

片麻痺
左右どちらかの半身に起こる麻痺。
「かたまひ」または「へんまひ」と読みます。

四肢麻痺
両手足すべてに起こる麻痺。

対麻痺
両足に起こる麻痺。

単麻痺
左右どちらかの手または足に起こる麻痺。

片麻痺はなぜ起こるのか?

片麻痺の原因

なぜ脳梗塞の後遺症では、片麻痺が起こることが多いのでしょうか?

それは、脳梗塞が起こりやすい部位のすぐ近くに、内包という部分が位置しているからです。

内包というのは、運動神経の通り道です。

そのため内包が障害を受けてしまうと、手や足に麻痺が出てしまうのです。

片麻痺は左右どちらに起こるのか

運動神経は、脳の奥の脳幹というところで左右に交差しているため、障害された脳とは反対側に麻痺が生じます。

つまり、左の脳が障害されれば右の身体に麻痺が現れますし、右の脳が障害されれば左の身体に麻痺が現れます。

片麻痺の程度

片麻痺の程度は、脳梗塞の大きさや部位によって異なります。

手足の巧緻性(指先の器用さ)のみが障害されるものもありますし、手足がまったく動かない場合や、手足が動かせるが保持は難しい場合など、さまざまです。

脳梗塞のため入院すると、看護師が一日に何回か「手を上げてください」「足を上げて下さい」などと患者の様子を見に訪室します。

これは麻痺が悪化していないかを評価しているのです。

麻痺が悪化するということは、頭の中に浮腫が起こっている、または新しく脳梗塞が起こっているなど、何か異常が起こっている状態なので、この評価は非常に重要です。

感覚障害

感覚障害の症状

感覚神経と運動神経は別のものなのですが、この2つには密接な関係があります。

例えば、点字を読むときには、指先の感覚を使っていますが、指を動かさないと感覚はわかりませんよね。

このように、感覚と運動は別のものなのですが、お互いなくてはならないものなのです。

そのため、片麻痺は感覚障害を伴うことがよくあります。

感覚障害も程度はさまざまですが、触られている感覚がわかりにくい、熱い冷たいといった温感がわかりにくい、などの症状があります。

また、痛みを感じにくいのではなく、逆に痛みを強く感じてしまう方もいます。

しびれに悩まされる方も多くいます。

しびれは、脳梗塞発症から数か月ほど経って、悪化を感じる方もいらっしゃいます。

感覚障害によるトラブル

感覚障害のため、気が付かないうちにトラブルが起きてしまうことがあります。

例えば、火傷するほど熱いお湯に触れているのに、気が付かずに火傷をしてしまうなどといったことが起こります。

また、足や身体の下にコードがあったが、それに気付かずに何時間もその姿勢のままでいたところ、皮膚トラブルを起こしてしまうなどといったことも起こります。

感覚が鈍感になっている場合は、こういったトラブルが起きないよう注意する必要があります。

お湯の温度はまず健側(麻痺が出ていない健康な方の手足)で確かめる、物が足や身体の下敷きにならないよう身の回りを整理整頓するなどして対策をとりましょう。

方麻痺は治るのか?

リハビリをすれば、麻痺は完全に治るのでしょうか?

リハビリは大切です。

しかしながら、脳の障害が重度であると、いくらリハビリを頑張っても効果が出ないこともあります。

医師やリハビリの先生としっかり話をし、自分にあった目標設定をしてリハビリに取り組みましょう。

麻痺の完治を目指すことは悪いことではないのですが、リハビリの効果には限度があるということは、しっかりと心に留めておきましょう。

ではリハビリをしても意味ないのでは?と考える方もいると思います。

それは違います。

リハビリをしないことで関節のこわばりなどが起こってしまい、手足が動く望みがあるのに、リハビリをしないことで手足が動かなくなってしまう場合があります。

発症から日数が経つと、頭の腫れが引くなどし、ある程度は麻痺は改善されます。

しかし、リハビリと自然回復を組み合わせることで、より麻痺は改善されますので、ぜひ積極的にリハビリに取り組んでください。

また、リハビリは麻痺の改善だけに留まらず、残存機能(まだ残っている機能)を活かした手足の使い方も教えてくれますので、そういった面でも必ずご自身の力になります。

なかには治療に焦りを感じ、ご自身で独自のリハビリをされる方もいらっしゃるでしょう。

自主トレーニングをするのはよいのですが、無理なリハビリは関節を痛めてしまったり、痛みを引き起こしてしまうなど、逆効果になっている場合もあります。

必ず医師やリハビリの先生に、自主トレーニングの内容を確認してもらってから、自主トレーニングを行ってください。

確認をしてもらった上で行う自主トレーニングは、とてもよい取り組みだと思います。

方麻痺の治りやすさ

麻痺の改善には、リハビリが必要不可欠です。

しかし、手も足も同じようにリハビリを頑張った場合でも、足に比べて手は障害が残りやすい傾向にあります。

脳は足をコントロールする部位よりも手をコントロールする部位の方が多いので、足に比べ手の方が影響を受けやすくなるのです。

片麻痺と早期リハビリ

ひと昔前は、脳梗塞になったらできるだけ安静にと言われていました。

しかし今は、さまざまな研究が進み、発症から48時間以内にリハビリを開始した方がよいといわれています。

これは長期臥床(ずっと横になっていること)による廃用症候群(寝たきりの状態)を防ぐためです。

リハビリ開始となったら、ぜひ積極的に取り組みましょう。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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