脳梗塞のリハビリってどんなことをするの?

脳梗塞とリハビリは、切っても切れない関係です。

・どのくらいの期間リハビリを行うのか
・どんなリハビリを行うのか
・自分でできるリハビリはあるのか など

リハビリについての詳細をお伝えしていきます。

目次

リハビリの目的

脳梗塞のリハビリでは、自立した日常生活や社会生活を送ることを目的として行われます。

訓練内容は大きく分けて2種類あります。

・麻痺の改善のための訓練
・残存機能(麻痺そのものでなく、残っている他の身体の機能)を活かす訓練

早期リハビリの推奨

ひと昔前は、脳梗塞になったらできるだけ安静にと言われていました。

しかし近年は、発症直後からリハビリを開始することが推奨されています。

早期にリハビリを開始することが、その後の良好な機能回復につながるということが、研究によりわかってきています。

長期臥床(ベッドで横になったままの期間が長い状態)は、筋力の低下や認知機能の低下を引き起こします。

特に高齢者の方は、筋力や認知機能の低下を引き起こしやすいので、注意が必要です。

リハビリの時期

リハビリの時期は、大きく分けると3段階に分かれます。

急性期」「回復期」「維持期」の3つです。

それぞれの時期によって、リハビリの内容やリハビリを受ける場所などが違います。

急性期のリハビリ

急性期のリハビリとは、脳梗塞発生直後から2週間くらいまでの期間のことをいいます。

救急病院など、最初に入院した病院でリハビリを行います。

早期のリハビリは重要ですが、脳梗塞発症直後はまだ症状が不安定で、病状悪化の可能性もあります。

そのため、ベッド上でのリハビリが中心となります。

具体的には、関節が固まらないよう手足の関節を動かしたり、麻痺のある手足や体の位置を整えたり、筋力をつけたりといったことを行います。

病状が安定してくれば、横になったままのリハビリではなく、ベッド上で座る。

それができればベッドから足を下して座る、というように徐々に体を起こしていきます。

体を超すことで血圧が下がってしまうこともありますので、こまめに血圧を測定しながらリハビリを行っていきます。

急激な血圧低下は、再脳梗塞を引き起こす原因にもなります。

回復期のリハビリ

回復期のリハビリとは、脳梗塞を発症し2週間後くらいから3~6か月くらいまでの期間のことをいいます。

リハビリ専門病院でリハビリを行います。

日常生活で必要な動作を行うことができるように、食事・歩行・排泄などの動作を中心にリハビリが行われます。

具体的には、立つ練習、立つことができれば歩行の練習を行います。

また、箸を持ったり、着替え、トイレや入浴の動作訓練、手芸や工作、嚥下訓練(ご飯を食べる訓練)なども行います。

患者さんにとっては、回復期というのはなかなか辛い時期かと思います。

リハビリには体の痛みも伴いますし、体が思うように動かないことにもどかしさを感じたりと、身体的な面でも精神的な面でも苦労することかと思います。

しかし、この回復期にリハビリを頑張って行うことができるかどうかで、今後の日常生活が大きく左右されますので、くじけずリハビリに取り組んでいただければと思います。

維持期のリハビリ

維持期リハビリとは、脳梗塞を発症し3~6か月くらい以降の期間のことをいいます。

自宅に戻ったり、リハビリ施設のあるクリニックでリハビリを行います。

維持期の他に、生活期と呼ばれることもあります。

この時期には終わりはなく、生涯にわたってリハビリを行っていくことになります。

回復した身体機能を維持するためのリハビリを行う必要があります。

回復期で回復した身体機能は、何もしないとまた機能が衰えていってしまいます。

そのため、リハビリを継続して行う必要があります。

具体的には、回復期で行ったリハビリを継続したり、軽いストレッチや散歩などを行います。

リハビリの専門職

リハビリには専門職が存在します。

リハビリの先生と呼ばれることが多いのですが、「理学療法士」「作業療法士」「言語聴覚士」といった方たちがリハビリを行っています。

理学療法士(PT)

理学療法士(PT)は、理学療法を行います。

理学療法とは、起きる・立つ・座る・歩くなどの基本的な動作の獲得を目指し、動作訓練などを行う治療法のことです。

具体的には、起きる動作や歩行練習などを行います。

基本的な動作、大きな動作のリハビリを行うのが、理学療法士の特徴です。

作業療法士(OT)

作業療法士(OT)は、作業療法を行います。

作業療法とは、さまざまな作業活動を用いて、基本能力・応用能力・社会生活適応能力の維持・改善を目指す治療法のことです。

具体的には、箸を持つ練習、衣類の着脱の練習などを行います。

応用動作、小さな動作のリハビリを行うのが、作業療法士の特徴です。

作業療法士は、身体のリハビリだけでなく、精神的な面でも精通しています。

言語聴覚士(ST)

言語聴覚士(ST)は、言語聴覚療法を行います。

言語聴覚療法とは、言語・聴覚・発声・発音・認知などの機能低下によって生じるコミュニケーションの問題を抱える人々に、訓練・指導・援助などを行う治療法のことです。

具体的には、食べ物を飲み込む訓練や話す訓練などを行います。

言語聴覚士は、1997年に国家資格となった比較的新しいリハビリテーションの専門職です。

理学療法士や作業療法士に比べて、全体的な人数も少なく、必ずしも病院に在籍しているとは限りません。

自宅でできるリハビリ

リハビリのポイントとして、以下が挙げられるかと思います。

・ストレッチを行う際は痛みを感じない範囲で行うこと
・長時間無理してストレッチを続けないこと

また、ストレッチは身体が温まった入浴後がおすすめです。

自宅でのリハビリの方法は、必ず医師や理学療法士などの指示・意見に従ってください。

自己流のリハビリは、ときに危険です。

強くマッサージすることで、炎症や内出血を引き起こしてしまうこともあります。

インターネット上にも、自主的なリハビリ方法が多数掲載されています。

参考にされるのはよいと思いますが、一人一人身体の状態が違いますので、そのリハビリ方法が必ずしも自分に合っているとは限りませんので、ご注意ください。

特に維持期では、自宅でのリハビリが中心となりますので、正しい方法でリハビリを継続していくことが大切です。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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