脳卒中とは?脳梗塞・脳出血・くも膜下出血について知ろう

脳卒中という病気を時々耳にするかと思いますが、どういう病気かご存知ですか?

脳卒中って脳梗塞のことじゃないの?脳血管障害とは違うの?そんな疑問を解決していこうと思います。

目次

脳の働きについて

脳は呼吸、循環、代謝など生命維持に欠かせないコントロールを行っています。

また、私たちが手や足を動かせるのは脳のおかげです。

脳が指令を出し、筋肉に命令を伝えることで、手足が動きます。

さまざまなことができる脳ですが、私たちが知っている脳の働きはごく一部です。

これだけ科学技術が進み、多種多様の研究を行っている現代においても、まだまだ脳は解明されていないことが多いのです。

脳血管障害とは

まず脳卒中の説明の前に脳血管障害について、勉強していきましょう。

脳血管障害は、脳の一部が虚血あるいは出血によって、一過性または持続的に障害された状態、または脳の血管が病理学的変化により障害された状態、と定義されます。

つまり、脳の血流が悪くなった、あるいは出血をしてしまい脳に障害がある状態、または脳の血管に異常をきたしてしまい障害がある状態のことを指します。

脳卒中とは

脳卒中とは?

脳卒中は、かつて日本人の死因の第1位でした。

今では治療法の進歩や血圧管理により、脳卒中での死亡数は減少傾向となり、平成29年には第3位(平成29年厚生労働省人口動態調査より)となっています。

しかしながら、脳卒中は4人に1人がなる病気とされており、患者数は依然多いです。

脳卒中の種類

脳卒中は、以下の3種類に分類されます。

・脳梗塞
・脳出血
・くも膜下出血

虚血性のものが脳梗塞、出血性のものが脳出血・くも膜下出血となります。

脳出血は昭和35年以降減少し、現在は脳梗塞が脳血管疾患死亡数の半数以上を占めます。

脳出血が減少した要因として、脳出血の危険因子である高血圧の管理が改善したことが挙げられます。

また脳梗塞が増加した要因としては、脳梗塞の危険因子である糖尿病や脂質異常症が増加したことが挙げられます。

食生活の欧米化により、病気も変化してきたのです。

脳卒中と介護

脳卒中は、介護が必要となった原因の第1位です。(平成22年厚生労働省国民生活基礎調査より)

第2位が、認知症や高齢による衰弱となっています。

家族といえども、介護はつらいです。

今日深刻な問題となっているのは、高齢者が高齢者を介護する老老介護です。

核家族化も進み、高齢の夫婦のみで生活している方が昔に比べて多くなってきました。

子供を頼りたいけれど、子供は遠方に住んでおり、必要なときにすぐに力を借りることができない方もおられるでしょう。

最近では介護疲れを背景にした事件もニュースで目にしますね。

では、そんなに介護が疲れるなら施設に入所させればいいと思う方もおられるでしょうが、施設に入所するのはお金がかかります。

また金銭だけの問題ではなく、住み慣れた我が家で家族と共に過ごしたいと考える方も多くいるでしょう。

十人十色、さまざまな事情や思いがあるのです。

健康促進

ピンピンコロリ

ピンピンコロリとは、病気に苦しむことなく、元気に長生きし、最後は寝込まずにコロリと死ぬこと、または、そうのように死のうという標語です。

PPKと表現したりもします。

対義語として、寝たきりで長く生きるという、ネンネンコロリというものがあります。

こちらはNNKと表現されます。

先ほど脳卒中は介護が必要になった原因の第1位と紹介しましたが、これはまさにネンネンコロリの状態です。

できるだけ健康でいる期間を長くしたいものですね。

平均寿命と健康寿命

平均寿命とは、 0歳時における平均余命のことを言います。

勘違いされている方も多いのですが、この年に亡くなった人の平均年齢ではありません。

今生まれた赤ちゃんが何歳まで生きられるかといった方が、わかりやすいでしょうか。

日本は平均寿命が長く、長寿大国としても有名です。

厚生労働省が発表した2019年生命簡易表によれば、2018年の日本人の平均寿命は男性81.25歳、女性は87.32歳で、過去最高を記録しています。

いつからこんなに平均寿命は伸びたのでしょう。

実は平均寿命が50歳を超えたのは、平成に入ってからです。

少し意外な感じがしますよね。

昭和には太平洋戦争があったこともあり、平均寿命が50歳を超えることはありませんでした。

時代は令和に突入し、平均寿命は今後さらに伸びていくと予想されています。

昔は人生50年時代と言われていましたが、あっというまにその倍である人生100年時代に差し掛かっているのです。

健康寿命とは、何なのでしょう。

健康寿命とは、日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間のことをいいます。

つまり、どれだけ健康で過ごせたかということです。

先ほど説明したピンピンコロリは、平均寿命と健康寿命が一致している状態のことですね。

逆にネンネンコロリは、平均寿命と健康寿命がかけ離れている状態です。

2000年にWHO(世界保健機関)が健康寿命を提唱し、世界的にも平均寿命より健康寿命を伸ばすことに関心が高まっています。

2016年、平均寿命と健康寿命との差は、男性8.84年、女性12.35年でした。

つまり、健康でなく日常生活に制限のかかった期間が、8~12年ほどあったということです。

今後平均寿命が伸びていっても、健康寿命が伸びないのであれば、健康上の問題はもちろん、医療費や介護費など金銭面での家計の負担・国の負担も大きくなっていきます。

そこで、健康寿命を伸ばすことが今後の日本の大きな課題となっているのです。

特に、脳卒中は予防をすることで病気の発生を減少させることができます。

また、すでに脳卒中の病気にかかっている方でも、再発を防ぐというのは重要です。

いつまでも元気に過ごせるよう、予防に取り組んでいきましょう。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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