脳梗塞になるリスクが高いのはどんな人?
脳梗塞になる危険因子には、さまざまな種類があります。
・80歳を超える年齢
・白人よりも黒人のリスクが高い
・男性はほとんどの年齢で女性よりもリスクが高い など
これらは、自分の努力ではどうしようもない要因です。
しかし、生活習慣、特に食事の改善により、リスクを減らすことのできる要因が、次の3つです。
・高血圧
・糖尿病
・脂質異常症(高脂血症)
高血圧は、脳梗塞と最も関連の高い危険因子と考えられています。
長年にわたる高血圧は、動脈硬化の原因となり、脳梗塞を引き起こします。
血圧が110/75を超えると、心血管死の発生率が徐々に増加することが分かっています。
糖尿病のある人は、ない方と比較して、脳梗塞のリスクが2倍になります。
糖尿病に脂質異常症が合併すると、さらにリスクが高くなります。
糖尿病になってしまうと、それから集中的に血糖を下げる治療を実施しても、脳梗塞の発症を減らすことは難しいと考えられています。
病期が進む前に、早めの対策を打つことが重要です。
実は脳梗塞との関連ははっきりしていない体重
生活習慣の改善、イコール体重を減らす、と考えがちですよね。
しかし「体重を減らすことが脳梗塞のリスクを軽減する」というデータは、現在のところありません。
むやみなダイエットは、健康に害を及ぼすおそれすらあります。
ただし、肥満は、高血圧や高血糖、脂質異常症と密接な関係があります。
適切な生活習慣の改善により、肥満を抑制し、脳梗塞のリスクを減らすことができるのは、間違いありません。
重要なのは体重の数値ではなく、血圧や血糖値、(悪玉)コレステロールの数値だということが分かります。
どんな食事をすれば脳梗塞を予防できる?
脳梗塞予防のための食事は、バランスが重要で、ひとつの項目だけで達成できるものではありません。
「カロリーを減らせばよい」「塩分を減らせばよい」というものではないのです。
その上で、気をつけたい項目の第一は、やはり「塩分の量」です。
高血圧の治療中の患者さんは、食塩を1日6g以下に抑えることで、降圧に有効であるというデータがあります。
日本人の食塩1日平均摂取量は約10gで、カップラーメンは1杯あたり約10gの食塩が含まれていることが多いです。
6gというのは、結構努力が必要だな、ということが感じ取れると思います。
地中海食
多くの研究結果から、科学的に生活習慣病の改善に有効であると考えられている食事があります。
それが、地中海食です。
地中海食とは、ギリシャやスペイン、イタリアなど、地中海沿岸の地域の伝統的な食事形態です。
ギリシャでは高脂肪食を食べているにもかかわらず、心臓病による死亡が少ないことが分かり、研究が進められました。
地中海食の特徴は、次のとおりです。
・果物や野菜、全粒穀物(玄米など精白していない穀物)、豆、ナッツが豊富に使用されている
・オリーブオイルが多く使用される(不飽和脂肪酸を摂取することができる)
・赤身の肉は少なく、適量の魚、鶏肉、乳製品が使用される
・お菓子や砂糖の入った飲みものは制限される
・ワインを食事のときに少量飲む
オリーブオイルが使用されるため、全体の脂肪量は多くなります。
しかし、PREDIMED試験という大規模な国際研究では、低脂肪食を摂取した方と地中海食を摂取した方の比較が行われ、地中海食の方が脳卒中のリスクが抑えられたという結果でした。
また、他の研究では、地中海食がパーキンソン病やアルツハイマー病、大腸がんや前立腺がんなどの、がん発生率の低下にも役立ったという報告があります。
極端な食事制限を強いられる方法でないため、健康的なダイエット方法としても注目を集めています。
科学的な裏付けがあることを知れば、健康的な食事を続けるモチベーションも維持しやすいことと思います。
まさにいいことずくめですね。
脱水と脳梗塞
気温が高くなってくると、注意が必要なのが脱水です。
体の水分が足りなくなると、血液が固まりやすくなり、脳梗塞を発症しやすくなります。
ご高齢の方こそ、必要な水分を摂取するよう気をつける必要があります。
1日に必要な水分量は体重によりますが、目安として、体重1kgあたり40mlの水分が必要とされています。
体重50kgの方では、2Lという計算になります。
食事からの水分摂取がありますので、飲料として必要なのは1.5L程度となるでしょう。
食事を考える際には、水分量にも気を配って献立を組み立てていきましょう。
まとめ
脳梗塞と生活習慣病・食事の関係について、また生活習慣病の改善・脳梗塞予防の具体的な方法として、塩分制限・地中海食・水分摂取について紹介しました。
他にも抑えるべきポイントはありますが、食事療法は続けられるかどうかが最も重要なポイントです。
ストレスをためてしまうと、逆効果かもしれません。
楽しく続けられる、自分なりの食事療法を見つけられるといいですね。