脳ドックの所要時間はどのくらい?当日の流れや注意事項まとめ

脳ドックとは脳の疾患や異常を早期に発見するために行われる、脳の健康診断です。

脳に特化した検査なので、脳ドックと呼ばれています。

ちなみに、人間ドックは全身の健康状態を調べる検査ですが、脳については検査項目に含まれていません。

そのため、脳の健康状態を正確に調べるためには、脳ドックを受ける必要があります。

しかし、脳ドックの受診率は未だ2割未満となっており、その詳細について知らない方も多いでしょう。

今回は脳ドックの所要時間に焦点をあてて、「脳ドック受診にかかる時間」「当日の流れ」についてご紹介します。

目次

脳ドックは大きく2種類に分けられる

脳ドックには、以下の2種類が存在します。

  1. 基本的な検査コース(スタンダードプラン)
  2. 精密に検査を行う精密コース(精密検査プラン)

基本的な検査コースでは、主に以下について調べ、そのリスクを把握することができます。

脳梗塞やくも膜下出血、脳腫瘍など脳の疾患の兆候の有無

そこからさらに精密に脳の状態を掘り下げるコースでは、以下について評価を行います。

脳そのものだけでなく、高血圧や動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病による脳血管疾患のリスク

さらに、認知症の有無についても検査項目に含まれています。 

脳ドックの所要時間の目安

脳ドックの基本コースで扱われる、標準的な検査では、頭部MRA/MRI検査や頸動脈超音波検査(エコー)が挙げられます。

頭部MRA/MRI検査

電磁波や磁力を用いた専用装置で脳の状態を画像化する。

撮影された画像から、正常と比較して脳に異変がないか評価することが可能です。

頭部MRA検査と頭部MRI検査は撮影する部位や方法が異なりますが、使用する装置は同じです。

撮影に掛かる標準的な時間は、およそ約20〜30分とされていますが、装置によって撮影時間は異なります。

なかには、15分程度と短時間で画像化できる装置もあります。

頸動脈超音波検査(エコー)

超音波を頸動脈にあてて、血管の様子を撮影する。

画像化された情報から、血管のしなやかさや動脈硬化のリスクなどについて評価できる検査です。

撮影に必要な時間は、およそ約20〜30分とされています。

各コースの費用や所要時間まとめ

基本コース(スタンダードプラン)と精密コース(精密検査プラン)について、所要時間などの目安をまとめます。

実際は各医療施設や検査項目によって、脳ドックに必要な費用や所要時間は異なります。

基本コース/スタンダードプラン

費用2万円前後
所要時間30分~2時間

検査内容は、以下のとおりです。

  1. 頭部MRA/MRI検査
  2. 頸動脈超音波検査(エコー)

検査でわかることは、以下のとおりです。

脳梗塞、くも膜下出血、脳腫瘍など脳の疾患の兆候の有無やリスクについて

精密コース/精密検査プラン

費用2.5〜5万円
所要時間30分~4時間

検査内容は、基本コース/スタンダードプランで行われる検査に加えて、以下の項目です。

  1. 血液・生化学的検査
  2. 尿検査
  3. 心電図検査
  4. ABI(血圧脈波)検査
  5. 簡易認知機能検査など

精密コース/精密検査プランでわかることは、以下のとおりです。

  • 脳そのものだけでなく、高血圧や動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病による脳血管疾患のリスク
  • 認知症の兆候について
  • 脳萎縮について など

脳ドックの検査当日の流れ

基本コース/スタンダードプランでの当日の流れについて、下記にまとめます。

ただし、実際の検査の手順や流れは各医療施設で異なります。

また、検査内容によっても違いが出てくるので注意しましょう。

検査前まで

脳ドックでは、基本的に前日や当日の食事や行動についての制限が設けられていません。

しかし、精密コース/精密検査プランでは血液・生化学的検査や尿検査が含まれています。

その場合は、飲食について制限が設けられる可能性があります。

脳ドックを受診する予定の医療施設に、あらかじめ確認しておくと安心です。

検査当日の流れ

  1. 予約時間前に来院し、受付を済ませ、問診票を記入する
  2. 用意されている検診着に着替える
  3. MRI/MRA検査、頸動脈超音波(エコー)検査を受ける
  4. 検査結果について医師から説明(各医療施設による)、1〜3週間後に結果報告書は郵送される
  5. 着替えを済ませて、会計で精算し終了

検査結果は当日に説明されるケースが多い

脳ドックは各医療施設によりますが、検査結果を当日に説明してもらえることが多いです。

検査で撮影した画像を見ながら医師から結果について説明され、より詳細な検査結果の報告書は後日郵送されるのが一般的です。

ただし、医師による結果説明が当日ではなく後日改めて行われたり、医療施設によっては結果報告書の郵送のみであったりする場合もあります。

閉所が苦手な方向けの対処方法

MAR/MRI検査は、筒やトンネル状の機械に受診者が入って撮影を行います。

中は狭く、独特の大きな機械音が響くので、閉所恐怖症の方にとっては圧迫感や苦痛を感じてしまう人も少なくありません。

検査中にパニックになってしまうケースもあります。

ここではそういった閉所が苦手な方でも安心して検査を受けられる方法をご紹介します。

オープン型の装置がある医療施設を選ぶ

閉所が苦手な方向けに開発されたのが、オープン型の装置です。

従来の筒・トンネル状の装置と異なり、オープン型では空間に余裕があり、開放的な設計になっています。

光や音にも配慮されており、明るく光が入りやすい環境や、機械音も従来のものに比べて静かになるように設定されています。

必要に応じて検査の付き添いも可能なので、最小限に苦痛を抑えて脳ドックを受けることができます。

スタッフにあらかじめ不安事項を伝えておく

検査について不安を抱えていることを事前に伝えておくことも、対策として有効です。

予約する際や脳ドックの問診を記入する際に、スタッフの方へあらかじめ打ち明けておくことで、配慮してもらえる可能性が高いです。

たとえば、以下のような対応をしている医療施設もあります。

  • 撮影する画像数を減らして短時間で検査を終える
  • 耳栓やアイマスクで感覚を遮断する
  • 検査中も担当者が話しかけて不安な気持ちに寄り添う

脳ドックの所要時間はプランによって異なる

脳ドックには大きく分けて、以下の2種類のコースがあります。

  1. 基本コース/スタンダードプラン
  2. 精密コース/精密検査プラン

それぞれのコースによって選べる検査項目も異なり、所要時間は検査項目数に応じて変化します。

最短では30分ほどで検査を受けられますが、より精密に掘り下げて検査をする場合は、およそ4時間もの時間を要することもあります。

なお、もしもMRA/MRIなどの検査機械に苦手意識がある場合には、検査を受ける前に担当者に伝えておくことで撮影時間を短縮したり、アイマスクや声掛けなど十分に配慮してもらえることがあります。

苦痛なく脳ドックを受けられるように、所要時間についても事前に把握したうえで、自分に必要なコースを選択しましょう。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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