脳梗塞を含む脳卒中は、2017年の厚生労働省の調査で年間111万人もの方が発症しています。
脳梗塞を発症すると後遺症を伴うことが多く、介護が必要な状態となることもあります。
多くの方が発症する脳梗塞は「食事などの生活習慣から引き起こされる病気」とも言われます。
食事が要因であれば、反対に食事で予防できるものです。
今回は「脳梗塞の予防に効果的な食事レシピと食事のコツ」についてご紹介します。
参考:
厚生労働省 脳血管疾患患者数の状況
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/18/backdata/01-01-02-04.html
脳梗塞予防は食事でできる

脳梗塞の主な要因は動脈硬化です。
なぜ動脈硬化になるのかというと、以下が原因です。
①高血圧
②高コレステロール
③高脂血症
④高血糖
となる食事や生活習慣
高コレステロール・高脂血症・高血糖は血液がドロドロになるため、血流が悪くなり、血管に負担がかかります。
スムーズに流れなくなった血液は血栓(血のかたまり)ができやすくなります。
加えて、高血圧や血液がドロドロの状態は血管に強い圧力がかかるため、血管が徐々に固くなっていきます。
動脈硬化の原因となる①高血圧、②高コレステロール、③高脂血症、④高血糖は食事で値を下げることができます。
つまり、食生活に気をつけることで動脈硬化を防ぐことに繋がり、その結果、脳梗塞予防にもなるということです。
脳梗塞を予防できる食事レシピのコツ

脳梗塞を予防するための食事レシピのコツは、主に6つあります。
1.塩分をとりすぎない
2.野菜は多めにとる
3.青魚を取り入れる
4.肉は鶏肉・赤身を選ぶ
5.体に良い油をとる
6.納豆を取り入れる
順に紹介していきます。
塩分を摂りすぎない
塩分の摂りすぎは高血圧の要因となります。
塩分を摂りすぎると、血液中の塩分濃度を下げるために、血管内に水分が多く取り込まれるようになります。
血流量が多くなることで高い圧をかけることになり、結果として高血圧になります。
日本食は、味噌・醤油といった塩分が多く含まれる調味料が使用されているため、塩分摂取量が多い傾向にあります。
また、厚生労働省によると、日本人の1日塩分摂取量の目標は減少を目指すものとされています。
具体的な数値は「成人男性7.5㎎未満、成人女性6.5㎎未満」とされています。
なお、高血圧の重症化予防の食事は6.0㎎未満とされています。
参考:
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版) 『日本人の食事摂取基準』策定検討会報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
野菜は多めにとる
野菜などに含まれているカリウムは、体内の余分な水分を排出し、血圧上昇を防ぐ効果があります。
調理で煮ると溶け出す性質があるので、生での摂取が推奨されます。
加えて、野菜などに含まれている食物繊維は、血糖値の上昇抑制、コレステロール値や中性脂肪値を下げる役割があります。
また、きのこ類にも食物繊維が多く含まれています。
青魚を取り入れる
青魚に含まれるDHA・EPAは高血圧の予防、コレステロール値の低下に効果があります。
加えて、EPAは血栓を予防する役割もあります。
肉は鶏肉・赤みを選ぶ
肉の脂身は動物性脂肪といい、とり過ぎはコレステロールや中性脂肪を増やす「飽和脂肪酸」です。
肉を食べる際は鶏肉や赤身といった、脂身が少ない部分を選びましょう。
また、脂身がある肉の場合は、脂の部分を切り落とすと良いでしょう。
体に良い油をとる
マーガリンやショートニングに含まれる「トランス脂肪酸」はコレステロールを増やす要因となることが分かっています。
食事のレシピに使われていることが多いですが、できるだけ控えるようにしましょう。
体に良いとされる油の「不飽和脂肪酸」は、コレステロールや中性脂肪を下げる効果があります。
食事レシピに積極的に取り入れていきましょう。
納豆を取り入れる
納豆に含まれる「ナットウキナーゼ」は、血栓を予防する効果があります。
毎日の食事に納豆を取り入れるだけで、脳梗塞の予防に繋がります。
脳梗塞が予防できる食事レシピ

脳梗塞が予防できる食事のコツをふまえ、簡単に作ることができるレシピを紹介します。
アボカドとトマトのサラダ
材料
・アボカド(1個)
・トマト(1個)
調味料
・オリーブオイル(大さじ1)
・減塩醤油(小さじ1)
・酢(小さじ2)
・すりおろしにんにく(小さじ1)
作り方
① アボカドとトマトを食べやすいサイズに切ります。
② 調味料をボウルに全て入れ混ぜます。
③ ②のボウルに①で切ったアボカドとトマトを入れ、全体にからめて完成。
ポイント
アボカドとトマト以外の野菜でも代用できます。
ブロッコリー、パプリカ、キャベツなどお好みの野菜を使ってみましょう。
納豆とオクラのねばねばサラダ
材料
・納豆
・オクラ(ネットで売っているタイプ)
調味料
・納豆付属のたれ
・減塩醤油(数滴)
・かつおぶし
作り方
① オクラをネットに入れたままの状態で、手で挟みこすります。
② 水で洗いがくを取り除きます。
③ 600Wのレンジで40秒チンします。
④ 納豆に付属のたれを加え混ぜます。
⑤ チンしたおくらの粗熱をとり、一口サイズに切ります。
⑥ ⑤のおくらを④の納豆にのせます。
⑦ 減塩醤油を数滴、かつおぶしをかけて完成。
小松菜とささみの胡麻和え
材料
・小松菜(1束)
・ささみ(1切れ)
調味料
・オリーブオイル(大さじ1)
・すりおろしにんにく(小さじ1)
・ポン酢(大さじ1)
・すりごま(大さじ1)
作り方
① 小松菜を沸騰したお湯で柔らかくなるまで茹でます。
② 柔らかくなったら引き上げ、水分をとり5cm幅に切ります。
③ オリーブオイルをフライパンにしき、すりおろしにんにくを加え、中火でささみを焼きます。
④ ささみをひっくり返し、両面焼けたら弱火で中身まで焼きます。
⑤ ささみに火が通ったら、ポン酢・すりごま・②の小松菜を加えます。
⑥ 絡めたら完成。
ポイント
小松菜は白菜、ほうれん草でも代用できます。
お好みの野菜を使いましょう。
鶏むね肉のカレーソース和え
材料
・鶏むね肉(1切れ)
調味料
・片栗粉(大さじ1)
・オリーブオイル(大さじ1)
・合わせ調味料
合わせ調味料
オイスターソース(大さじ1)、マヨネーズ(大さじ1)、酒(大さじ1)、減塩醤油(小さじ1)、カレー粉(小さじ1)
作り方
① 鶏むね肉を一口サイズに切り、片栗粉を加え絡めます。
② 合わせ調味料は混ぜておきます。
③ フライパンにオリーブオイルをひき、①の鶏むね肉を焼きます。
④ 鶏むね肉ひっくり返し、両面焼けたら弱火で中身まで焼きます。
⑤ 鶏むね肉に火がとおったら、合わせ調味料を入れ絡めて完成。
ポイント
カレーの味がアクセントになり、少ない醤油でも十分美味しいです。
醤油で食べない青魚の刺身
材料
・お好きな青魚(刺身の状態)
調味料
・ポン酢
・わさび
作り方
① 調味料を混ぜる
② 青魚の刺身を➀につけて食べる
ポイント
生で食べることで栄養素を逃すことなく食べることができます。
しょうゆを使わず、ポン酢を使うことで塩分を抑えられます。
物足りなさを感じる方は、人参や大根のすりおろしを調味料に加えると、味に深みが増します。
脳梗塞予防の食事レシピを取り入れよう

今回は「脳梗塞の予防に効果的な食事レシピ」と「食事のコツ」についてご紹介しました。
食事のコツさえおさえておけば、日常生活の中で自然と脳梗塞予防の食事ができます。
最初は、減塩の調味料は物足りなく感じるかもしれません。
物足りないときは、酢やレモンといった酸味を加えることでカバーができます。
毎日減塩の調味料を使うことで、薄味にも徐々に慣れていきます。
脳梗塞予防の食事は毎日のことですので、無理なく続けられることが何よりも大切です。
減塩の調味料を使ってみたり、サラダを取り入れたりと、簡単なところから始めてみましょう。