脳梗塞の後遺症を軽くするにはリハビリを週何回やればいい?適切なリハビリ頻度について

脳梗塞は、脳血管が詰まることで発症する病気です。

脳の血管が詰まり血行不良になると、脳細胞に十分な酸素が運搬されず、脳細胞は壊死したり弱まってしまいます。

脳梗塞の後遺症は、脳細胞の働きが阻害されることで引き起こされる「運動麻痺」「高次脳機能障害」等の障害の総称です。

脳梗塞後遺症によって生じる日常生活の支障を軽減するために、積極的なリハビリが望まれますが、その頻度は脳梗塞を発症してからの経過日数や状態によって異なります。

適切なリハビリ頻度がどのくらいなのか「急性期」「回復期」「維持(生活)期」それぞれの期間ごとに分けてご紹介します。

目次

リハビリはできるだけ多くの回数を受けた方が良い

脳神経には、壊死してしまった周辺部位の細胞を再編成し、新しく神経回路を繋げる「脳の可塑性」と呼ばれる現象が起こることがあります。

脳の可塑性を促進するには、リハビリを通して適切な刺激を脳に与えることが大切です。

そのためには、できるだけ多くのリハビリ回数をこなす必要があり、発症早期から開始することが重要です。

脳梗塞のリハビリは3期間ごとに特徴が異なる

脳梗塞後遺症のリハビリは、以下の3期間に分けられます。

  1. 急性期
  2. 回復期
  3. 維持(生活)期

なぜリハビリの期間を分類するかというと、発症から経過した日数によって、得られやすいリハビリ効果や必要な支援内容が異なるからです。

発症から数週間の「急性期」、発症から3~6カ月の「回復期」は、病院に入院しながら積極的なリハビリを受けることができます。

その後の「維持(生活)期」では、その人ごとにリハビリ環境が異なります。

個々の状況に応じて、検討していきましょう。

  • 介護老人保健施設に入所し、さらなる積極的なリハビリ機会を設ける
  • 介護保険制度内で「通所リハビリ」「訪問リハビリ」を組み合わせる
  • 医療保険での「外来リハビリ」を選択する

 ここでは3期間の特徴についてご紹介します。

急性期リハビリ

発症から間もない急性期では、脳梗塞に対する治療経過をみながら、出来るだけ早い段階でリハビリを開始します。

急性期は、覚醒レベルが不安定であり、身体状態に関して急変の可能性がある時期です。

血圧や血中酸素飽和濃度などバイタルサインを測定し、リスク管理を行いながらリハビリの負荷量を調整します。

急性期のリハビリの目的は、長期間の安静や臥床が引き起こす「廃用症候群」を予防することです。

廃用症候群は、関節の拘縮や筋力低下のことであり、急性期以降のリハビリにも影響を及ぼします。

急性期の病院から回復期へ転院できる期間は「発症から2ヶ月(60日)以内」です。

発症から2カ月が経過していると、回復期病院に入院することができなくなってしまうため、急性期病院の入院中に転院先を探さなくてはなりません。

回復期リハビリ

回復期には、リハビリを受けられる期限が定められています。

高次脳機能障害を伴う脳梗塞後遺症では「発症から6カ月(180日)」とされています。

急性期に比べて覚醒レベルが改善し、身体状態も安定している時期であるため、積極的にリハビリが行われます。

回復期は集中的にリハビリを受けられる期間であり、「急性期」「維持(生活)期」に比べて1日のリハビリ時間が最も長いのが特徴です。

回復期に行われるリハビリの目的はさまざまです。

  • 筋力向上から日常生活動作の獲得
  • 復職などの在宅復帰に向けたサポート
  • 環境調整
  • 障害に対する代償手段の提案

維持(生活)期リハビリ

脳梗塞発症から6カ月(180日)が経過し、回復期を終えると「維持(生活)期」に入ります。

維持(生活)期では、退院後の生活を安定させ、維持していくことを目的にリハビリが行われます。

障害が残存している場合、代償動作や環境調整によって、日常生活における問題を解消・軽減させることが重要です。

また、一昔前までは脳梗塞後遺症の回復について「6カ月の壁が存在する」とされていました。

しかし、近年の研究では「発症からの経過によって回復速度は異なるが、回復期以降も長期間かけてゆるやかに回復していく」ことが明らかになっています。

維持(生活)期リハビリについて、即時的な効果は期待できませんが、機能回復訓練を継続する意義はあるといえるでしょう。

維持(生活)期リハビリは週何回できるの?

脳梗塞後遺症に対するリハビリ期間のうち「急性期」と「回復期」では、期間中に毎日リハビリを受けることが可能です。

これに対して維持(生活)期では、選択したリハビリ提供方法によって実施できる頻度が異なります。

維持(生活)期でリハビリを受けるには、主に介護老人保健施設での以下のリハビリがあります。

  1. 入所リハビリ
  2. 通所リハビリ
  3. 訪問リハビリ

この他に、介護保険の対象年齢未満である方や要介護認定を受けていない場合は、医療保険を利用して病院やクリニック等医療機関での「外来リハビリ」を利用することも可能です。

在宅ベースの「通所リハビリ」「訪問リハビリ」は、介護度や他の利用サービスとの組み合わせによって、利用できる頻度が決定します。

担当のケアマネージャーや家族と相談して決めるのが一般的です。

介護老人保健施設に入所して実施されるリハビリについては、入所から3カ月以内であれば「短期集中リハビリテーション」「認知症短期集中リハビリテーション」による集中的なリハビリを受けることが可能です。

短期集中リハビリテーションに関しては「入所から3カ月以内に限り1週間におおむね3回以上のリハビリ」と定義されています。

介護老人保健施設によっては、上限なく毎日実施していることがあります。

認知症短期集中リハビリテーションに関しては、HDS-Rなどの検査で認知症であると診断された方に対して「入所から3カ月以内に限り1週間に3回までのリハビリ」が提供されます。

短期集中リハビリテーションと認知症短期集中リハビリテーションを組み合わせれば、より多くの回数のリハビリを受けることが可能です。

効率よくリハビリを受けられるように計画することが大切

脳梗塞後遺症のリハビリには、明確な終わりはありません。

厚生労働省によって急性期や回復期での算定期間が定義されており、入院期間中は毎日集中的にリハビリを受けることができます。

退院後、維持(生活)期でのリハビリは、以下のように個々の状況によって選択することができます。

  1. 介護老人保健施設に入所して引き続き積極的にリハビリを受ける
  2. 在宅生活をベースに「通所リハビリ」「訪問リハビリ」のサービスを利用する
  3. 医療機関で「外来リハビリ」を活用する

効率よくリハビリを受けられるように計画することが大切です。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

目次