自分の脳の状態を知るために受けられる脳ドック。
脳の病気は発症してしまうと、命に関わるほか、日常生活に大きな影響を及ぼします。
その予防策として、定期的に脳ドックを受け、予防意識を持つことが大切です。
ただし、脳ドックは保険適用にならない分、費用が高額になりやすいです。
今回は脳ドックの費用と、費用を安くする方法についてご紹介します。
脳ドックの費用はどれくらい?
脳ドックの費用は、自由診療のため、各健診センターや病院によってさまざまです。
多くの医療機関では、基本コースや、基本コースにオプションをつけたコースがあり、検査項目がそれぞれ異なります。
費用もそれによって、3万円〜10万円と大幅に変動します。
基本コースの費用
脳ドックの基本コースでは、3万円~5万円台が費用の相場です。
検査項目としては、以下があります。
・脳MRI・MRA検査
・頸動脈エコー検査
・心電図検査
・身体計測
・血液検査
・尿検査 など
オプションコースの費用
オプションコースの費用相場は、6万円~10万円程度です。
検査項目としては、基本コースの内容にプラスして、以下があります。
・ABI/PWB(血圧脈波)検査
・認知機能検査 など
脳ドックの費用を安くする3つの方法
脳ドックを受けたくても、費用の面で躊躇してしまう方もいらっしゃるでしょう。
そのような方でも、場合によっては費用を安くできるかもしれません。
脳ドックの費用を安くする方法としては、主に下記の3つが挙げられます。
①自治体や健康保険組合の助成制度を利用する
②民間の生命保険で割引制度を活用する
③費用が安い健診機関・コースを選ぶ
以下でそれぞれ詳しく説明していきます。
自治体や健康保険組合の助成制度を利用する
お住まいの自治体による国民健康保険や、会社員などが加入している健康保険組合によって、脳ドックの費用助成を行っている場合があります。
国民健康保険
自営業や個人事業主の方、年金受給されている方、無職の方などが加入している保険
健康保険組合
会社員など雇用されている方が加入している保険
国民健康保険加入者への費用助成
例えば、東京都の荒川区では、40歳以上の区民で一定の条件を満たした場合、脳ドック費用の1/2を助成しています。
さらに、受診証明を提出し、アンケートに回答した方に先着で500円分の区内買物券を配布しています。
そのほか、埼玉県ふじみの市や大阪府高槻市でも、市町村独自の助成が行われています。
国民健康保険に加入されている方は、お住まいの自治体で費用助成が行われているか確認してみましょう。
自治体のホームページや健診担当課への問い合わせで確認をすることができます。
なお、費用助成を行っている場合「助成」ですので、後で還付する必要はありません。
受診先機関は、その自治体以外でも受診可能な場合が多いです。
健康保険組合加入者への費用助成
健康保健組合でいうと、例えば、全国の公立学校の教職員やその配偶者が加入する公立学校共済組合では、対象組合員に脳ドックの費用助成が行われています。
節目年齢だと、脳ドック受診にかかった費用全額を助成金として受け取れる場合もあります。
そのほか、富士通健康保険組合など会社独自の組合で、対象組合員に上限2万7千円の脳ドック費用助成を行っています。
規模の大きい健康保険組合や、大手企業独自の健康保健組合ほど、費用助成を含めた福利厚生が充実している傾向にあります。
一度ご自身の加入されている健康保険組合のホームページを確認したり、勤め先の組合窓口で問い合わせてみることをおすすめします。
受診先機関は、健康保険組合の指定がある場合とない場合の、どちらもあるようです。
民間の生命保険で割引制度を活用する
民間の生命保険によっては、加入者へ脳ドックの費用割引を行っている場合があります。
例えば、日本生命では全国の提携医療機関で脳ドックの受診割引サービスがあります。
また、東京海上日動あんしん生命保険でも、5%~20%の受診割引サービスがあります。
いずれも提携医療機関という制限がありますが、全国何百か所と提携している医療機関ですので「遠すぎて受診できない」ということはほぼありません。
民間の生命保険に加入されている方は、一度サービス内容を確認してみると良いでしょう。
費用が安い健診機関・コースを選ぶ
「助成制度の対象に当てはまらない」という方でも、脳ドックの費用が安い健診機関・コースを選ぶことで費用を抑える方法もあります。
健診機関を選ぶポイント
全国の脳ドック実施機関は「日本脳ドック学会」とインターネットで検索することで確認できます。
注意したいのが、脳ドック実施機関には、日本脳ドック学会が認定した「認定施設」と「未認定施設」があることです。
認定施設は、脳ドックの質向上のための様々な条件を満たしている施設を指します。
認定施設として指定されるためには、具体的に以下のような条件があります。
・専門医の常駐
・画像読影判断能力
・結果説明、ならびに検査後のフォローを的確に行っている
・認知機能検査を検査のひとつとして行っている
また、認定施設になると、毎年の定期報告や、日本脳ドック学会総会へ参加などが必要となり、更新するためにも様々な努力が必要となります。
すなわち、認定施設であるということは、脳疾患の予防と早期発見を一定水準以上で行える質の高い健診機関という証です。
そのあたりも参考にしながら、受診する健診機関を検討しましょう。
検査項目選びのポイント
費用を抑える方法としては、安いコースを選ぶという方法もあります。
基本的に、検査項目が少なければ少ないほど、受診にかかる費用は安くなります。
また、基本コースやオプションコースのうち、希望する検査のみを選んで検査数を減らした場合、健診機関によっては減額対応をしてもらえる可能性があります。
しかし、安易に安さだけで選ぶことはおすすめできません。
脳ドックは、家系や生活習慣など様々な条件を考慮して「自分が納得できる医療機関」を選ぶことが何よりも重要となります。
また「自分が希望する検査」と「医師や健診機関が必要と思う検査」は異なる場合があります。
脳の状態を正確にみてもらうために、医師や健診機関からの提案には耳を傾けるようにしましょう。
参考:
① 令和4年度 脳ドック受診助成のご案内/荒川区公式サイト (city.arakawa.tokyo.jp)
② 人間ドック・脳ドックの検査料補助(国民健康保険)/ふじみ野市 (city.fujimino.saitama.jp)
③ 人間ドック・脳ドック・肺ドック費用の一部を助成 – 高槻市 新ホームページ (city.takatsuki.osaka.jp)
④ トップページ:公立学校共済組合 (kouritu.or.jp)
⑤ 脳ドック | 富士通健康保険組合 (fujitsu.com)
⑥ 人間ドック・脳ドック割引 | 健康関連・介護関連・育児相談 | 日本生命保険相互会社 (nissay.co.jp)
⑦ 人間ドック・脳ドック・がんPET検診優待サービス | 東京海上日動あんしん生命保険 (tmn-anshin.co.jp)
⑧ 一般社団法人 日本脳ドック学会|The Japan Brain Dock Society (jbds.jp)
脳ドックの費用を抑えて賢く病気を予防しましょう
脳血管疾患は、日本人の三大死因のひとつと言われるほど深刻な病気です。
にも関わらず、脳ドックの認知度はまだまだ低く、受診率は2割未満と言われています。
受診率が低い一番の要因は、費用の問題です。
そのような問題を解決するために、各自治体や健康保険組合・民間の生命保険会社などでは、助成制度を導入しているところが多くみられます。
脳ドックの助成制度を上手に活用することで、病気の早期発見に繋がり、重大な疾患を防ぐことができます。
長らく、医療では「病気になった方に対して行われるもの」というイメージがありました。
しかし、現代では機器の発達や研究データが増えることによって、まだ病気になる前から、すでに対策を進めることが可能になっています。
取り返しのつかない事態になってから後悔することのないよう、助成制度を利用した脳ドックの受診を検討してみてはいかがでしょうか。