脳ドックで認知症は診断できる?脳ドックで分かること、認知症について解説

脳の病気やリスクが分かる脳ドック。

その中で「脳の検査であれば認知症も分かるのではないか」と気になる方もいらっしゃるでしょう。

今回は「脳ドックで認知症が診断できるのか」という疑問にお答えしながら「認知症の種類と症状」や「認知症の診断ができる診療科と検査項目」についても解説します。

目次

脳ドックだけでは認知症か分からない

脳ドックは脳血管疾患の有無やリスクを調べるものであり、認知症の診断はできません。

しかし「脳ドックで認知症が分かる」といった間違った認識もあります。

なぜ間違った認識があるのかというと「脳ドックで検査した画像で脳委縮が分かるから」が理由として挙げられます。

確かに脳ドックで使用されるMRI検査では脳が委縮しているかが分かり、認知症の種類によっては脳委縮がみられる方もいます。

しかし、脳委縮だけでは認知症の診断はできません。

また、脳委縮があっても認知症でない方もいます。

認知症の診断は、医療施設の専門科にて医師が複合的に判断し診断します。

脳ドックでは認知症の検査は含まれていない

「脳ドックで認知症が分かる」と認識されるもうひとつの理由として「脳ドック=認知症の検査ができる」と思われることが理由として挙げられます。

脳ドックでは、基本的には認知症の検査は含まれていません。

しかし、脳ドックのコースやオプションによっては、認知症検査ができる施設があります。

脳ドックの際に認知症の検査も一緒にしたい方は、施設に認知症のコースやオプションがあるかを確認しましょう。

その際の注意点として、”あくまで認知症の検査であり診断まではできない”ことを理解して検査を受けましょう。

認知症の種類

上記で「認知症の方の中には脳委縮がみられる方もいる」と解説しましたが、認知症のひとつである「アルツハイマー型認知症」には脳委縮がみられます。

認知症には、主に以下の3つがあります。

・アルツハイマー型認知症
・レビー小体型認知症
・脳血管性認知症

各認知症の特徴や症状について解説します。

アルツハイマー型認知症

認知症の中で最も多いのが、アルツハイマー型認知症です。

脳神経細胞が変性し脳の一部が委縮していく過程でおこる認知症であり、症状はゆっくり進行します。

脳神経が変性した部位によって症状が異なるため、保たれている認知機能もあり「まだら認知症」が特徴です。

アルツハイマー型認知症の症状

  • 最近のできごとが記憶できない
  • 同じことを何度も聞く
  • いつもしている家事の手順が分からない
  • 時間と場所が分からない
  • 身だしなみに気をつけない
  • 活気がなくなり抑うつ状態になる
  • 怒り易くなったり、悲しんだりと感情のコントロールができない

レビー小体型認知症

アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症が、レビー小体型認知症です。

レビー小体型認知症は、脳に「レビー小体」というたんぱく質ができ、脳神経細胞を傷つけ壊すことにより発症します。

レビー小体は脳以外の全身の神経にもできるため、どこの部位にレビー小体ができるかによって症状が異なります。

レビー小体型認知症の症状

  • 日時によって認知力や判断力に変化がある
  • 幻視(動物や人など実際に見えないものが見える)がある
  • 睡眠時に大声で叫んだり暴れたりする
  • パーキンソン症状(手足のふるえ、筋肉のこわばりなど)がある

脳血管性認知症

脳血管性認知症はアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症に次いで3つめに多い認知症です。

脳梗塞や脳出血といった脳血管のトラブルにより、脳神経細胞が傷つくためにおこる認知症です。

脳神経細胞の損傷部位によって、症状が異なります。

他の認知症と比較すると記憶力・判断力の低下がゆるやかではなく、急激に表れることが特徴です。

加えて、他の認知症と比較すると、顕著に感情のコントロールがつきづらいです。

脳血管性認知症の症状

  • よく物忘れをするようになった
  • 言葉が出づらい、言葉の理解ができない
  • 時間と場所が分からない
  • 歩行しづらい
  • 食事が上手く飲み込めない
  • いきなり怒り出したり泣き出したりする

認知症の診断は何科?診断の4項目

認知症の診断は、神経内科、神経科、精神科、心療内科、脳神経外科がある医療施設で可能です。

また、ものわすれ外来や認知症外来といった専門外来がある病院もあります。

認知症の診断は、4つの複合的な結果により医師が診断します。

1.問診
2.身体化学検査
3.画像検査
4.神経心理学的検査

4つを順に解説します。

1.問診

問診では医師と直接会話し、質問しながら理解ができているか、記憶・判断力があるかを調べます。

以下のような内容を確認します。

・いつ頃からどのような症状がでているか
・日常生活で困ることがあるか
・これまでにかかった病気や現在内服している薬
・家族や住まいなど環境の変化はあるか
・急に症状が進行したか

また、家族も一緒に問診に入り、普段のご本人の様子や家族からみて気になることも確認します。

2.画像検査

脳血管疾患による認知症でないか判別するため、MRA検査やMRI検査、頭部CT、VSRADなどが行われます。

MRA検査
脳の断面を見ることができ、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍の有無が確認可能です。

MRI検査
動脈がこぶのようになった脳動脈瘤や脳血管狭窄の有無が確認できます。

MRA検査とMRI検査は、セットで行われることが多くあります。

頭部CT
MRA検査と同様に脳梗塞や脳出血、脳腫瘍の有無が確認可能です。

短時間でできる検査のため、緊急を要するときは頭部CT検査が行われます。

しかし、放射線による被ばくのリスクがあるため、時間に余裕があるときは積極的には使用されません。

VSRAD
MRI検査の結果を解析し、早期アルツハイマー型認知症の特徴である海場の萎縮を調べます。

海場は記憶力に関する脳の部位です。

3.神経心理学的検査

計算や単語の記憶、質問による認知機能の評価をします。

認知機能の評価には、長谷川式簡易知能評価スケール、ミニメンタル検査などが用いられます。

4.身体検査

必要に応じて、血液検査や尿検査、心電図検査を行います。

認知症の判別や、他の疾患の疑いがないかも検査します。

認知症の診断は脳ドックではなく病院へ

今回は「脳ドックで認知症が診断できるのか」を解説しました。

脳ドックでは画像による脳委縮は分かりますが、認知症の診断まではできません。

しかし、脳ドックを受ける施設によっては、認知症の検査ができるところがあります。

認知症の検査も受けたい方は、脳ドックのコースやオプションを調べてみましょう。

また、認知症の検査を受ける際は、診断まではできかねることに注意しましょう。

認知症の診断は、専門科がある病院で可能です。

気になる症状がある方は、医療機関へ受診しましょう。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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