脳卒中予防十か条を学ぼう

日本脳卒中協会は、脳卒中予防の知識を普及するため「脳卒中予防十か条」というものを作成しています。

耳に残りやすい五・七・五の俳句のリズムで、脳卒中予防を10個詠っています。

予防というと気が重い、億劫だという方もいらっしゃると思いますが、この十か条はリズムよく、楽しみながら覚えることができます。

目次

日本脳卒中協会について

日本脳卒中協会は、脳卒中に関する正しい知識の普及及び社会啓発による予防の推進並びに脳卒中患者の自立と社会参加の促進を図り、もって国民の保健、福祉の向上に寄与することを目的とし、設立されました。

日本脳卒中協会のホームページには、脳卒中をもっと知ってもらうために、脳卒中に関する動画やさまざまな情報が掲載されています。

脳卒中の予防について

脳卒中は、予防で防ぐことができる病気です。

脳卒中は、高血圧や糖尿病など、身近な生活習慣病と深い関わりがありますので、まずは生活習慣を見直すことが大切です。

健康診断などで、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の疑いがあると言われた方は、必ず医療機関を受診してください。

内服治療が開始となった場合も、生活習慣を改善していくことは必要です。

脳卒中予防十か条では、生活習慣の改善・生活習慣病の治療といったものが中心となっています。

それだけ生活習慣が脳卒中と関係しているということですね。

生活習慣を変えることはなかなか難しいですが、脳卒中に関する知識を身につけ、意識や行動を少しずつ変えていきましょう。

ご自身の健康な未来を守ることができるのは、自分しかいません。

できるだけ健康でいられる期間を長くするために、努力をしましょう。

脳卒中予防十か条

脳卒中予防十か条を、以下に示します。

1. 手始めに 高血圧から 治しましょう

高血圧は、脳卒中の最大の危険因子です。

高血圧は、脳卒中だけでなく、心疾患など他の病気も引き起こします。

自覚症状がないことが多いので、病気という自覚もないかもしれませんが、高血圧は病気です。

高血圧は、血管が硬くなり弾力が失われた状態となる、動脈硬化を引き起こします。

この状態を放置してしまうと、脳卒中などの大きな病気を発症しやすくなってしまいます。

140/90mmHg以上は、高血圧です。

血圧が高い方は、まずは病院を受診することから始めましょう。

2. 糖尿病 放っておいたら 悔い残る

糖尿病も、脳卒中を引き起こす危険因子です。

糖尿病も自覚症状がないことが多いですが、放っておくと動脈硬化を引き起してしまいます。

さらには、糖尿病神経障害・糖尿病網膜症・糖尿病腎症といった、合併症を引き起こす恐れもあります。

自覚症状がないからと、糖尿病を放置していると、大きな病気を引き起こした際に後悔してしまいます。

3. 不整脈 見つかり次第 すぐ受診

不整脈の中でも、脳卒中の原因となるのは「心房細動」と呼ばれる病気です。

心房細動では、心臓の中に血栓ができやすくなります。

その血栓が、脳まで運ばれ、脳の血管を詰まらせると脳卒中になります。

心房細動が原因の脳卒中は、重症化することも多いので、注意が必要です。

脈が不規則だと感じたり、動悸・めまい・胸部症状がある場合は、すぐに病院を受診しましょう。

4. 予防には たばこを止める 意志を持て

タバコは百害あって一利なしです。

最近はタバコのパッケージにも、大きな字で健康に関する警告表示が書いてありますね。

タバコは自分の健康を損なうのみならず、受動喫煙により、周囲の人の健康にも悪影響を及ぼします。

タバコにはニコチンによる依存もありますから、自分ひとりでの禁煙が難しいようであれば、禁煙外来を受診しましょう。

そして一度禁煙に失敗しても、再度また禁煙にチャレンジしてみてください。

強い意志を持って、禁煙に取り組みましょう。

5. アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒

酒は百薬の長というくらいで、適量であれば体にいいとされています。

お酒の適量とは、ビールではロング缶(500ml)1本、日本酒では1合(180ml)程度です。

性別や年齢などにより、お酒の適量には個人差があります。

週に2日程度は、休肝日を設けましょう。

また、塩辛いつまみは高血圧を引き起こしますので、注意しましょう。

6. 高すぎる コレステロールも 見逃すな

LDL(悪玉)コレステロール値が高いと、動脈硬化が進みやすくなります。

一方、HDL(善玉)コレステロールは、余剰なコレステロールを除去して、動脈硬化が進まないようにする働きがあります。

そのため、HDLコレステロール値が低い場合も、注意が必要です。

治療をしても、動脈硬化が起こっている血管を、元の健康な血管に戻すことはできません。

動脈硬化の治療は、その進行スピードを抑えることが目的です。

コレステロール値も見逃さないようにしましょう。

7. お食事の 塩分・脂肪 控えめに

塩分や脂肪分の多い食事ばかりしていると、高血圧や脂質異常症を引き起こしやすくなります。

食塩の目標摂取量は、健康な人は10g未満とされています。

高血圧の人は、6g未満が目標です。

インスタント食品や揚げ物ばかりを食べていてはいけません。

野菜や魚などバランスよく食べましょう。

また、食べる量にも注意しましょう。

「腹八分目は医者いらず」という言葉もあるくらいですから、腹八分を心がけましょう。

8. 体力に 合った運動 続けよう

時間をとって運動することだけが、運動ではありません。

エレベーターやエスカレーターを使わず階段を使うなど、日々の生活の中でできることを行いましょう。

自分の体調とも相談して、無理のない範囲で運動しましょう。

毎日できる、自分に合った運動方法を見つけ、実践しましょう。

9. 万病の 引き金になる 太りすぎ

肥満は、さまざまな病気を引き起こします。

食事や運動に気を配り、適正体重を保ちましょう。

食べないダイエットは、リバウンドしやすいと言われています。

また、必要な栄養素が取れないため、体に不調をきたすこともあります。

食事はバランスよく摂取し、運動する機会を設けましょう。

10. 脳卒中 起きたらすぐに 病院

脳卒中は、一刻も早い対処が必要です。

半身の麻痺やしびれ、言葉が出てこないといった、脳卒中のような症状が出現した場合は、すぐに救急要請してください。

対応次第で、後遺症の状態が変わってくる場合があります。

参考サイト:日本脳卒中協会ホームページ
http://www.jsa-web.org/citizen/85.html

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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