「回復期リハビリテーション病院の選び方 その1」では、転院や退院についての医療の仕組みについて、お伝えいたしました。
こちらの記事では、実際に転院先を選ぶときのポイントについて、お伝えしていきます。
転院・退院の進め方
急性期病院に入院した後は、転院するのか退院するのかなど、ゴールを決めて病院側と意見をすり合わせておく必要があります。
転院の調整は、医師やソーシャルワーカーといった医療スタッフが中心となり、進められます。
転院する場合は、転院先の候補をいくつか見学したり、パンフレットを取り寄せるなどされる方もいらっしゃいます。
転院先の情報がほしい場合は、一度ソーシャルワーカーと相談することをおすすめします。
回復期リハビリテーション病院とは
回復期リハビリテーション病院とは、脳梗塞などのため、急性期で治療を受け、その後病状が安定した時期に、リハビリをメインに行う病院のことです。
「回復期病院」と呼ばれたり「リハビリテーション病院」と呼ばれたりすることもあります。
急性期病院でもリハビリを行いますが、回復期リハビリテーション病院では、低下した日常生活動作の再獲得に向け、より実践的なリハビリを行っていきます。
回復期リハビリテーション病院を選ぶポイント
まずは、患者や家族がどのような病院を希望するのか、しっかりと考えておきましょう。
病院に希望するものに、優先順位をつけておきましょう。
・最新の設備を備えている病院でリハビリしたいのか
・心理面をしっかりとフォローしてくれる病院がいいのか など
施設基準から選ぶ
選ぶときのポイントとして、一番初めにお伝えしたいのは、施設基準から病院を選ぶということです。
回復期リハビリテーション病院といっても、病院によって施設基準は異なります。
回復期リハビリテーション病院の入院料というものがあるのですが、患者がどの入院料に該当するかをまず把握してください。
入院料を把握した上で、適した病院を探していくという形になります。
入院料に関しては、厚生労働省のホームページに記載されているので、下記のURLを参考にしてください。
厚生労働省ホームページより
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000691039.pdf
ここでいう入院料とは、入院にかかる費用のことではなく、患者や施設に関する分類のようなものだと思ってください。
患者がどれに該当するかわからない場合は、医師やソーシャルワーカーに尋ねてみてください。
回復期リハビリテーション病院では、脳梗塞をはじめとした脳卒中の専門病院もありますし、内科・外科・専門各科が併設されているような病院もあります。
脳卒中専門の病院では、やはり脳卒中のリハビリに特化していますから、本気で後遺症の改善を行いたい方にはおすすめです。
多くの疾患を抱えている方は、近くに他の診療科がある方が安心ですし、受診が楽です。
立地から選ぶ
立地も、病院を選ぶときのひとつのポイントになります。
近くで希望の病院が見つかる場合はそれでよいのですが、問題は希望の病院の場所がご自宅から遠いときです。
長期間の入院になる場合は、病院が遠いと家族などが面会に行くのはなかなか大変です。
では自宅から近い病院を選べばよいのかというと、そうでもありません。
退院後の生活は入院期間中よりももっと長くなるのですから、病院の距離が遠くても、やはり希望の病院でしっかりとリハビリをするというのもひとつの方法です。
何が大切かというのは、人それぞれです。
家族のこと、後遺症のこと、何に重点を置けばよいのかを、しっかりと考えましょう。
在宅復帰率から選ぶ
回復期リハビリテーション病院は通常、退院後の在宅復帰を目指すための病院です。
その病院の在宅復帰率に着目するのもよいでしょう。
在宅復帰率が高いということは、リハビリの質が高いということでもあります。
在宅復帰率をひとつの目安とされてはいかがでしょうか。
自分でも情報を集める
急性期病院から回復に転院したものの「希望の病院ではなさそうだから他の病院へ転院する」というのは現実的になかなか難しいものです。
できれば入院前に転院先を見学するなど、自分の希望と合致しているかは事前に把握しておきたいところです。
転院は、患者や家族が積極的に進めていかなくても、病院側が進めてくれます。
転院先に関して過剰に心配をする必要はないのですが、後悔することのないように、ある程度自分でも転院先の情報について知っておく必要はあると思います。
条件が同じでも、病院ごとで雰囲気も違いますので、条件面だけで決定せず、その病院で働くスタッフや入院している患者の様子なども知っておくと、よりよいでしょう。
回復期リハビリテーション病院に転院するに当たっての心構え
回復期リハビリテーション病院で患者に求められることは「積極性」「主体性」です。
頑張ろうという意欲がない方には、回復期リハビリテーション病院はおすすめしません。
突き放した言い方に聞こえるかもしれませんが、やる気のない方が回復期リハビリテーション病院に転院すると、積極的なリハビリの方針についていけないと思います。
「在宅復帰に向けて積極的に頑張る」など強い意志を持って、回復期リハビリテーション病院の転院に臨んでください。
頑張ろうと思っていたけれど、途中で心が折れそうになることもあると思います。
そのときは、病院のスタッフや家族に相談してください。
病院のスタッフはプロですから、悩みを解決できるように再度リハビリのプログラムを組んだり、気持ちに寄り添ってくれます。
また、家族は一番の理解者かと思いますので、話すことで気分が落ち着いたり、励ましの声をかけてくれたりするなど、精神的に大きな支えになってくれます。
漠然と目標なしにリハビリをするのは、つらいです。
大きな目標でも、小さな目標でも構いませんので、必ず目標を持ちましょう。
人は目標を持つことで、頑張ろうという気持ちが生まれてきます。
リハビリを頑張った分だけ、身体面でも精神面でも自分の力になりますから、諦めずにリハビリを続けていきましょう。
頑張って疲れたら、ときには休みながら、うまくリハビリと付き合っていきましょう。