【後編】脳梗塞に関する精神的な悩みを乗り越えるポイント6~10

脳梗塞とうまく付き合っていくためには、いくつかのポイントがあります。

2回にわたって、脳梗塞の悩みを解決するポイントをお伝えしています。

今回は「【前編】脳梗塞に関する精神的な悩みを乗り越えるポイント1~5」の続きになります。

悩んだときには、参考にしてみてください。

目次

6. 仲間を見つけよう

同じ病気を経験したからこそ、分かり合えることもあると思います。

同じ病気の方とのつながりを持ってみましょう。

コミュニケーションをとるのが得意な方は「同じ病室の方に話しかけてみる」「リハビリでいつも会う人に話しかけてみる」などしてみましょう。

ただし、皆が皆仲間を見つけたいと思っているわけではないので、話しかける際は相手の反応をよく観察しましょう。

特に脳梗塞発症後は、精神的に不安定になっている方もいますので、無理に話しかけることは避けましょう。

脳梗塞の患者の会」といったものもあります。

自立支援を促すものや、患者・家族の交流を目的としたものなど、目的はさまざまです。

インターネット上で患者の会の情報を得ることができますので、ご自身に合うものを探してみてください。

SNSを利用するのも良いと思います。

悩みを話したり、アドバイスをもらったり、それは誰でもいいわけではないと思います。

家族や医療従事者にはわかってもらえないこともあると思います。

そういったときに、同じ病気の方の力を借りましょう。

同じ経験をしている方の存在は、心強い味方になります。

7. 完璧は求めない

「リハビリを頑張って、脳梗塞発症前と同じように生活したい」その心意気は素敵です。

ですが、それははっきり言って困難です。

脳梗塞は、後遺症が残らない場合もありますが、しびれが残ったり、呂律が回りにくかったりなど、何らかの後遺症が残る場合も多いです。

完璧な生活を追い求めすぎると、現実と理想にギャップが生まれ、疲れてしまいます。

「半身麻痺があるけれど、料理をひとりで作りたい」と思っている場合を例に挙げます。

その場合は「毎日料理を作る」と目標設定するのではなく、まずは1週間に1回など少なめの回数を目標にしてみてもいいのではないでしょうか?

料理の際にはカット野菜を使ってもいいですし、味付けは市販のかけるだけのものを使ってもいいと思います。

完璧でなくてもいいのです。

完璧であることよりも、ずっと続けていくことに重点を置きましょう。

苦痛を感じたまま日常生活を送っていたら、本末転倒です。

楽しみながら日常生活を送れるよう、リハビリと生活のバランスをとっていきましょう。

8. 自分の病気のことを伝えることも、ときには大事

話さないと伝わらないことも、ときにはあります。

友人と出かけたとき「もっと手伝ってくれたらいいのに」「こうしてくれたらいいのに」と思ったことはありませんか?

しかし、友人も病気に関しては質問しづらいし、いろいろな問題に気付くのは難しいことです。

わかってくれないとイライラするのではなく「この作業には時間がかかるから少し待ってほしい」など、具体的に自分のことを伝えてみましょう。

後遺症があっても、友人関係を続けてくれる友人は大事にしましょう。

良いときだけでなく、悪いときも一緒にいてくれる友人は宝です。

手助けが必要なときは、友人のみならず、初めて会った方など自分のことをよく知らない人にも、自分のことを伝えるようにしましょう。

自分の病気や後遺症のことを伝えるのは嫌だという気持ちもあるかもしれません。

しかし、自分のことを知ってもらわないと、手助けをしてもらうのが難しいこともあります。

以下を具体的に伝えることができると、お互いがストレスなく過ごせると思います。

・何を手助けしてほしいのか
・どんなところに注意してほしいのか

伝えることで解決することもありますので、病気に関して伝える勇気を持っていただきたいと思います。

9. 諦めない

リハビリは一定期間を過ぎてしまうと「回復が見込めない」と言われることがあります。

しかし、一定期間を過ぎていても、まったく回復しないというわけではありません。

諦めずに、リハビリを続けましょう。

希望を持ってリハビリをするのと、諦めた気持ちのままリハビリを行うのでは、回復に差が出てきます。

どの程度回復するかというのは、脳梗塞の部位や大きさによるものが大きな要因ですが、モチベーションによっても違いが出てきます。

リハビリに対して、目標や楽しみなどが必要です。

特に、家で生活する「維持期」と呼ばれる時期は、大きな回復が見られにくい時期ですから、小さな目標を設定するなどして、リハビリが嫌にならないような工夫をしましょう。

日々の小さな進歩が、体の回復につながっていきます。

10. つらいときは専門家に相談を

脳梗塞を乗り越えるためのさまざまなポイントを紹介してきましたが、どうしても気分が沈んだり、やる気が出ないときは、専門家に相談するのもひとつの手です。

脳梗塞発症後はうつ病を発症することもありますので、つらい気持ちは放置せず、相談された方がよいです。

精神科と聞くと、行きづらいイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、一歩勇気を出してみてください。

体の病気も、心の病気も、早期発見・早期治療が重要です。

いきなり精神科に行くのが難しい人は、脳梗塞の担当医に相談してみたり、カウンセラーを利用するなど、ワンクッション置いてみましょう。

心の状態に不安があるときは、放置しないということが重要です。

まとめ

脳梗塞の後遺症が人それぞれであるように、脳梗塞の悩みもまた人それぞれです。

2回にわたって脳梗塞の悩みを解決するポイントをお伝えしましたが、全員にすべてが当てはまるわけではないと思います。

自分に当てはまりそうなポイントを中心に、実践してみてください。

自分に合った方法でよいので、なんらかの方法で悩みを吐き出すようにしましょう。

悩みを溜め込んでいると、満杯になったコップから水が溢れるように、いつか気持ちが爆発してしまいます。

大丈夫と思っていても、その爆発は自分の意思とは無関係に突然やってくることもあります。

気持ちの爆発は怒りの感情だけでなく、うつとして現れる場合もありますし、心だけでなく体に不調が現れる場合もあります。

そうなる前に、先手を打っておきましょう。

家族や友人・専門家など、必ず誰かに頼ってください。

ひとりで悩むよりも、心が軽くなります。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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