「もしも脳ドックを受けて、脳に異常が見つかったらどうしよう…」
脳ドックをはじめとする健診や検査に関して、悪い結果を想像して不安に感じてしまう人は少なくありません。
「脳ドックを受けてみたい気持ちはあるけど、結果を知るのが怖い」という思いから、つい予約を先延ばしにしてしまう人や「悪い結果がでるのが怖いから」という理由で検査を受けること自体を、躊躇しまう人もいるのではないでしょうか。
そんな脳ドックに関しての不安な気持ちとどう向き合えばいいのか、脳ドックの検査目的や結果の解釈とともにご紹介します。
脳ドックの目的は脳の病気を予防すること
脳ドックは、日本独自の予防医学です。
なかなか症状を自覚しにくい【脳の異常】に対して、専門的に検査を行います。
脳ドックが行われる主な目的は、脳の病気やリスクについて早期発見し、早期予防につなげることです。
生死に関する重篤な状態に陥ることもある、脳の病気を防止する役割を担っています。
脳血管疾患日本人に多く見られる
日本人の三大死因のひとつに、脳血管疾患があります。
脳血管疾患は、世界の諸外国に比べて、日本人の発症率が高いことが明らかになっています。
脳の病気は気づかないうちに進行し、ある日突然発症します。
脳の病気の治療が終わっても後遺症が残ったり、最悪の場合、死に至ることもあります。
このような背景から、日本では脳ドックの受診を推奨しています。
脳ドックの結果の解釈
脳の状態を検査して異常が見つかった場合、その後の対応は以下の3つに分類されます。
- 経過観察
- 要精密検査
- 要治療
これらは脳に病気の疑いがある状態について、詳細に掘り下げて検査する必要があるかどうかで分けられます。
「経過観察」「要精密検査」はあくまで「疑い」であり、病気が必ずあるわけではありません。
再検査や精密検査の結果が「異常なし」というケースもあります。
脳ドックの結果は5段階に分けられる
検査結果は、脳の状態から5段階に分けて判定されます。
①異常なし
脳の異常所見について、今回の検査では発見されませんでした。
②支障なし
今回の検査で脳にわずかな異常所見が見つかりました。
しかし、日常生活に支障をきたすものではありません。
③経過観察
今回の検査で脳にわずかな異常所見が発見されました。
今後、日常生活に重大な支障をきたす可能性があります。
④要精密検査
今回の検査で脳に明らかな異常所見が発見されました。
さらに詳しく検査をして、原因を特定する必要があります。
⑤要治療
今回の検査で脳に明らかな異常所見が認められました。
このように「経過観察」「要精密検査」「要治療」の段階において、「異常所見」「日常生活に支障をきたす」などの言葉を目にするとドキッとする方も多いでしょう。
しかし、再検査や精密検査を受けるまでは、必要以上に心配する必要はありません。
脳ドックの検査結果はあくまで「疑い」である※要治療除く
脳ドックは、脳の健康状態を把握し、脳の疾患を早期発見するだけでなく、将来的に病気を発症するリスクを認識して予防につなげていくという目的があります。
脳ドックの検査項目によっては、一部の画像に疑わしい所見があっても断定できないことがあります。
該当する部位を重点的に検査したり、角度を変えて見るなど確定診断するために「要精密検査」に分類されるケースがあります。
その結果「異常なし」と診断されることも少なくありません。
脳ドックの結果を受けて心配したり、不安に襲われることもあるかもしれませんが、正確な診断を下すために再検査を必ず受けましょう。
偽陽性の可能性もある
偽陽性とは、本当は特に異常がない陰性であるにも関わらず、陽性として何らかの異常がある可能性を指摘されてしまうことをいいます。
加齢によるものもある
たいていの場合は、健康な人でも加齢によって起こる微少な脳梗塞がみられるといわれています。
このような場合は、脳に異常が見つかったとしても「経過観察」と判断されます。
脳ドックで異常が見つかるのは悪いことではない
脳ドックに限らず、健康診断などでも検査をすることで自覚していない病気が見つかることがあります。
もちろん健康状態として「正常」「異常なし」と診断されることが望ましいですが、異常が見つかったとしても心配し過ぎたり、過度に怖がる必要はありません。
「再検査」「要精密検査」を前向きに捉える
再検査や精密検査を受けるメリットは、異常の原因を突き止め、早期治療をすることで、治る可能性が高まることです。
また、病気でなかったとしても生活習慣を見直すきっかけになり、その結果病気の予防につながります。
脳の異常を見つけてこそ、脳ドックを受ける意味があります。
「異常がある」という結果を見た瞬間は、衝撃を受けるかもしれません。
しかし、最も怖いのは「脳ドックを受けずに病気が進行してしまうこと」さらに「治療をしても手遅れな状態になること」です。
結果に対しての精神的負担は大きいですが、脳ドックを受けずに最悪の事態に陥る方が恐ろしいです。
脳ドックの結果を怖がる必要はない
どんな人でも検査を受けて「体に異常があるかもしれない」と告げられると、不安を感じたり、心配になってしまうものです。
たとえ自覚症状がなくても「脳の健康状態を調べた結果、異常が見つかる可能性がある」と考えると、脳ドックを受けることが怖いと感じるのも無理はありません。
しかし、脳ドックの目的は脳の異常を早期に発見し、発病のリスクを予防することにあります。
脳ドックの結果よりも、知らないうちに病気が進行して手遅れになることの方がよほど恐ろしいです。
異常が見つかったとしても、リスク管理をすることで発病を未然に防ぐことができます。
脳ドックを受けることは、健康な状態を維持するために有効な手段です。