脳ドックが脳梗塞の予防につながる?まずは脳ドックを受診しよう。

自分では異変に気づきにくい脳。

脳の病気は外見上の変化がほとんどありません。

専門医による検査をしない限り、なかなか発見が難しい部分です。

脳の病気の中でも「脳梗塞」は、なんらかの要因によって脳の血管(動脈)の一部が詰まることで血液の循環が滞り、脳の一部が壊死する病気です。

脳梗塞を発症してしまった場合は、後遺症が残るリスクが非常に高く、非常に危険な病気のひとつと言われています。

脳ドックは、脳の血管の状態や出血を調べることができる検査です。

異常が見つかった際には、処方薬の提案や経過観察を受けることができます。

これは脳梗塞の予防として有効です。

今回は「脳ドックを受診することで、脳梗塞を予防したい」という方に向けた情報をご紹介します。

目次

脳梗塞ってどんな病気?

脳梗塞は、脳卒中の1種にあたり、脳卒中の中で最も患者数が多いとされている病気です。

脳の動脈を流れる血液の循環が止まってしまい、一部の脳細胞が壊死してしまうのが脳梗塞です。

どの部分の脳細胞が、どの程度壊死したかによって、後遺症は異なります。

代表的な後遺症としては、以下が挙げられます。

  • 麻痺
  • 言語機能の低下
  • 認知機能の低下

脳梗塞になりやすいのは、どんな人?

脳梗塞の原因となる要因にはさまざまなものがありますが、主な要因として以下が挙げられます。

  • 加齢
  • 高血圧
  • 慢性的な運動不足
  • 過剰な飲酒
  • 喫煙

普段から塩分が多い食べ物を好んでいる方や、アルコールの摂取習慣がある方など、生活習慣病の兆候がある方は注意が必要です。

脳梗塞は、特に年齢的な要素が大きい病気として知られています。

日本脳卒中データバンクによると、脳梗塞の患者は65歳以上が全体の9割超となっています。

特に、男性の場合は70代前半、女性の場合は80代前半で発症する方が、最も多い傾向にあります。

わが国の脳梗塞患者と脳出血患者の年齢分布(日本脳卒中データバンク)
https://www.ncvc.go.jp/pr/release/post_47/

身内に脳卒中発症の経歴をもつ人がいる場合は要注意!

脳梗塞を含む脳卒中は、脳の病気の中でも2親等以内の遺伝性が非常に強いことが分かっています。

兄弟や両親、または祖父母に脳卒中の経験者がいる場合は、40歳を目途に一度脳ドックを受診して、脳の状態を把握しておくことをおすすめします。

どうして脳ドックを受けると、脳梗塞が予防できるの?

脳ドックは、主に以下のような内容で行われます。

  1. 頭部のMRI検査
    磁石と電磁波を使って、脳内の断面をチェックする検査
  2. 頭部のMRA検査
    電磁波を使って、脳血管の状態を確認する検査
  3. 首の超音波検査
    動脈の状態を確認し、動脈硬化の有無を確認する検査

脳ドックは最新の機器を用いて、脳内の状態、また脳につながる首の血管の状態などを細かく確認していく検査です。

そのため、以下のような脳内の状態をしっかりと確認することができます。

  • 脳の血管の一部に、血管内部がとても狭くなっているところがある
  • 血の塊で脳梗塞(脳細胞の壊死)が起きた跡がある

また脳に血液を運ぶ役割をもつ首の動脈(頸動脈)の状態から、以下のような予防的な観点からの検査を行うことができます。

  • 血液中のコレステロールが原因で、血管内部が狭くなっていないか
  • 血栓ができる兆候はないか

脳ドックを活用して、自分の脳状態や血管状態を把握しておくことは、脳梗塞を予防する上で非常に重要であるといえます。

脳ドックを受けた後は、どのように脳梗塞を予防すればいいの?

脳ドックは、脳梗塞の兆候を確認することができる検査です。

脳ドックを受けたあとは、医師の所見や指導に基づいて、脳梗塞を予防するような生活を送ることが推奨されています。

脳梗塞の跡が確認された場合

MRIの画像から「脳梗塞の跡」が確認される場合があります。

これは「無症候性脳梗塞」という脳梗塞で、日常生活において問題が起こらなかった脳梗塞です。

65歳以上の高齢者であれば、1割から2割程度の方に存在すると考えられています。

そのため、脳梗塞の跡が見つかったとしても慌てる必要はありません。

ただし将来的には、もう少し規模の大きな脳梗塞や認知症を誘発する可能性が残っています。

そのため治療が必要と判断された場合は、医師の処方に従って、抗血小板剤などの血液をサラサラにする薬を服用し、脳梗塞を予防していきます。

わずかな出血が確認された場合

「脳微小出血」と表現される、脳血管からのわずかな出血も、脳ドックによって確認されることがあります。

この出血は、脳梗塞の方の3割から4割程度に認められる症状です。

将来的には、脳梗塞の原因となる可能性が非常に高いことで知られています。

脳微小出血が起こる原因は、年齢によるもの、そして高血圧が大きいと考えられています。

普段から血圧が高めの方や、血圧が上がりやすい生活習慣(塩分の取りすぎ、運動不足、飲酒と喫煙)の方は、特に血圧の管理に気を付けて、脳梗塞を予防していきましょう。

頚動脈の狭窄(きょうさく)と診断された場合

首の部分の血管が狭くなり、動脈硬化の状態になっている病気を「頚動脈狭窄症」といいます。

心臓から脳に血液を運ぶ血管の内部が狭くなっているということは、脳に十分な血液が送られず、脳梗塞になりやすい状態であることを意味します。

また血液中のコレステロール値が高い傾向にあり、血液が詰まりやすい状態になっているということでもあります。

頚動脈狭窄症は、以下が原因で発症します。

  • 高血圧や糖尿病などの生活習慣病
  • 喫煙や肥満などの生活習慣
  • 脂質異常症

頚動脈の狭窄と診断された場合は、自身の生活を見直し、リスクの高い習慣を改めましょう。

また、医師の指示に従って、適切な処方薬の服用や外科的な措置を受けることによって、脳梗塞を予防できると考えられています。

40歳以上になったら、脳ドックを受けて脳梗塞をしっかり予防しよう

脳の病気は、自分で気づくことが非常に難しい病気です。

脳梗塞を予防したいと考えたとき、脳梗塞を不安に感じているときは、しっかりと脳ドックを受診して、自分の脳や血管の状態を把握しておきましょう。

脳梗塞を予防する上では、生活習慣の見直しや健康維持も非常に重要です。

脳ドックを受けて、脳梗塞の予兆を把握しておくとともに、医師の指示に従って必要な処置を取り、健康的な生活を心がけましょう。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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