副鼻腔炎になりやすい人は脳ドックを受診しよう!副鼻腔と脳の繋がり

近年、脳ドックが普及し、脳の検査を受診する人が増えてきました。

自分自身の脳の状態を把握するために受診する人がほとんどです。

しかし、検査結果として脳の疾患だけでなく、慢性の副鼻腔炎を指摘されることがあることをご存知でしょうか?

脳ドックで発見される副鼻腔炎は、粘性あるいは膿性鼻汁のような症状がない無症候性病変がほとんどです。

今回の記事では、なぜ副鼻腔での疾患が脳ドックで発見されるのか、副鼻腔と脳の繋がりについてご紹介します。

目次

副鼻腔炎とは

副鼻腔炎とは、鼻の周辺にある空洞(副鼻腔)の粘膜が炎症を起こす病気です。

副鼻腔は頬・顔・目の周辺まで広がっており、その体積は鼻腔の3倍にも及びます。

初期は急性副鼻腔炎、3か月以上慢性的に症状がみられる状態を慢性副鼻腔炎といいます。

原因

副鼻腔内に細菌やアレルゲン、ウイルスなどの異物が侵入すると、炎症が起こって鼻の粘膜が腫れ、鼻水・鼻づまりなどの症状が現れます。

最も多い原因は風邪によるものですが、アレルギー性鼻炎ハウスダストなどが原因で発症することもあります。

副鼻腔にて引き起こされた炎症が悪化すると、鼻の粘膜が腫れるだけでなく、膿が貯留するようになります。

この状態を蓄膿症と呼ぶ場合もあります。

症状

副鼻腔炎は、一般的に鼻づまりから症状が現れ、嗅覚味覚に影響します。

そこからさらに症状が悪化すると、激しい頭痛に襲われることがあります。

このような症状は、数ヶ月に及ぶことがあります。

さらに稀なケースではありますが、脳や目に炎症が波及することで、目が見えにくくなったり、痺れや意識障害を起こしたりするリスクもあります。

治療方法

副鼻腔炎の治療方法としては、以下の2つがあります。

  1. 薬物療法
  2. 手術療法

しかし、現在は副鼻腔炎で手術が必要となるケースは非常に稀です。

適正な抗生剤がなかった頃には、いわゆる蓄膿症として手術が必要なケースも多かったですが、現在はほとんどの方が薬物療法にて治療が完結します。

ただし、必要な治療を受けずに副鼻腔炎を放置していると、慢性副鼻腔炎になり、症状を繰り返したり、なかなか治らなくなるので注意が必要です。

重症度の高い慢性副鼻腔炎になってしまうと、手術が必要になることもあります。

なお、自覚症状がない場合は治療の必要はなく、経過観察で済む場合もあります。

脳と副鼻腔の関係

副鼻腔は、目や脳の近くに位置する部位です。

そのため、副鼻腔に貯留した膿をそのままにしておくと、最悪の場合、失明や脳腫瘍に発展するケースもあります。

一見まったく関係のないように見える副鼻腔ですが、実は密接な関係があるのです。

なぜ脳ドックで副鼻腔炎がわかるの?

副鼻腔炎は、血液検査やレントゲン検査、CT検査で発覚するケースが一般的です。

血液検査では、体内で何らかの細菌に感染し、炎症が起こっているかどうかを判断することができます。

炎症が起こっていると、タンパク質の数値や白血球の数に異変が生じます。

さらにCT検査を行うことで、副鼻腔の異変が確認できます。 

脳ドックの検査項目には、血液検査やCT検査が含まれているので、副鼻腔炎を発見することができるということです。

副鼻腔炎が脳腫瘍になるケースがある!?

初期の副鼻腔炎は、無症状であることが多いです。

自覚症状があっても、鼻水・鼻づまりなどの軽い症状で済むことが多いです。

しかし、症状が長引いているにも関わらず、長期間放置していると、重大な合併症を引き起こす可能性があります。

特に副鼻腔のひとつで、鼻の奥にある蝶形骨洞には視神経が走っています。

そのため、蝶形骨洞の病変を放置していると、視力障害や最悪の場合は目が見えなくなる事態にも繋がりかねません。

さらに硬膜外瘍脳膿瘍などの、命に関わる重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。

どの病気も同じですが、副鼻腔炎も悪化すればするほど症状は重くなり、治療は大掛かりになります。

副鼻腔炎だからと軽視せずに、症状が長引いたり頭痛を伴う場合は、医療機関を受診しましょう。

脳ドックで副鼻腔炎を指摘されたら

脳ドックで副鼻腔炎を指摘されたからといって、すべてのケースで精密検査や治療が必要になるわけではありません。

診断結果は、重症度などの総合的観点から「経過観察」「要精密検査」「要治療」などに分けられます。

診断結果に従って、適正な対応を取りましょう。

ただし、以下のような場合は、医療機関を受診しましょう。

  • 脳ドック受診後に副鼻腔炎の症状が悪化して、頭痛や嘔吐・めまいなどの症状が現れた場合
  • 1ヶ月以上、鼻水・鼻づまりが続く場合

病気の早期発見に努めることで、薬物療法などの軽い治療で症状が改善することが期待できます。

副鼻腔炎疑いで行う再検査:CTや内視鏡で膿を確認

脳ドックで副鼻腔炎が指摘され、精密検査が必要と判断された場合には、再度CT検査が行われます。

CT検査画像にて、副鼻腔内に膿が貯留している状態を確認することができます。

CTで顔の内側を見ると、鼻の奥には広い空間があることがわかります。

この部分を、副鼻腔と呼びます。

画像で見える広い空間部分を「腔」といい、口の中は「口腔」、鼻の中は「鼻腔」、さらに鼻腔の奥に位置するのが「副鼻腔」です。

副鼻腔の役割は、顔面に受けた衝撃を緩和して脳へ響きにくくさせたり、声を響かせるような働きをします。

副鼻腔炎を調べる検査は、CT検査以外に内視鏡検査があります。

内視鏡検査は、鼻腔から内視鏡を入れて、直接副鼻腔に貯留している膿の状態を医師が視診します。

副鼻腔炎の進行度合いにもよりますが、前述したとおり、副鼻腔炎は、ほとんどの場合は薬の服用で治すことができます。

検査や治療における痛みの心配は、ほぼありません。

必要以上に不安にならず、医師の指導に従って適切な対応を取りましょう。

脳ドックで見つかった副鼻腔炎は診断結果に従って焦らず対処しよう

今回は、副鼻腔と脳の繋がりについて説明しました。

副鼻腔は、目や脳の近くに位置する空洞です。

いつもは空になっているこの空洞が、炎症を起こし膿がたまることで、副鼻腔炎蓄膿症と呼ばれる病気を発症します。

この副鼻腔炎は、鼻水・鼻づまりといった風邪に似た症状で、自然治癒するケースが多いです。

しかし、貯留した膿をそのままにしておくと、稀なケースではありますが、失明脳腫瘍など重篤な事態に発展する場合があります。

また、頭痛の原因が副鼻腔炎だったというケースもあります。

脳ドックで発見される副鼻腔炎の多くは、自覚症状がない軽度なものです。

副鼻腔炎を指摘されたからといって、そこまで心配する必要はありません。

ただし、軽度の副鼻腔炎を指摘された後に、頭痛や嘔吐・めまいなどの症状が現れた場合や、鼻水・鼻づまりが1ヶ月以上長引く場合には、念のため医療機関を受診すると安心でしょう。

健康で長生きするためには、病気の早期発見・予防に努めることが大切です。

副鼻腔炎のリスクや知識を正しく理解し、気になる症状がある場合は医師に相談しましょう。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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