脳ドックは保険適用になる?最低限必要な検査項目と保険診療になるケースとは?

脳の病気は、発症してしまうと命の危険に晒され、命が助かったとしても後遺症が残る可能性があります。

そのような事態を防ぐために重要な役割を担うのが、脳ドックです。

しかし、脳ドックの認知度はまだまだ低く、受診率は2割未満と言われています。

脳ドックの受診率が低い最大の要因として、費用の問題が挙げられます。

今回は「脳ドックは保険適用になるのか?」という疑問にお答えしながら、脳ドックの詳細と費用について解説していきます。

目次

脳ドックにはどんな検査がある?

脳ドックの検査内容は、各健診センターや病院によってさまざまです。

①脳の病気を見つけるために欠かすことのできない基本的項目を検査内容とした基本コース、②基本的項目に家系や生活習慣などを考慮して検査項目を追加するオプションコースを設けている機関が多いです。

脳ドックの基本コース

脳ドックの基本コースは、以下が検査項目となっている場合が多いです。

脳MRI・MRA検査、頸動脈エコー検査、心電図検査、身体計測、血液検査、尿検査

脳MRI・MRA

MRI(磁気共鳴診断装置)という機器で、脳を調べる検査です。

MRIは脳全体をみるもので、MRAは脳血管をみるものです。

MRAはMRIの一部ですので、多くの機関がMRIとして脳内すべてをみています。

注意点として、MRI検査は、心臓ペースメーカーがある方、妊婦は受けられません。

そのほか体内に金属やクリップが入っている方、入れ墨がある方も受けられない場合があります。

頸動脈エコー検査

心臓から脳につながる、首の動脈を調べる検査です。

動脈硬化の有無、その程度(血管の厚さや血流の速さ)がわかります。

心電図検査

一見、脳とは関係のない検査に思えますが、脳に血液を送り出しているのが心臓の血管です。

心臓の血管に閉塞や流れの悪さがあると、脳にも悪影響を及ぼします。

心電図検査で、心臓血管の閉塞や血流不良によって起こる不整脈の有無を調べます。

身体計測

脳の病気の要因に、高血圧肥満があります。

血圧の数値をみたり、身長・体重からBMIを算出し、肥満の有無を調べます。

血液検査、尿検査

身体計測以外でわかる、脳の病気の要因を調べます。

高脂血症(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)の有無や、糖尿病(HgA1c、空腹時血糖、尿糖)の有無がわかります。

脳ドックのオプションコース

オプションコースは、ご自身の希望や、医師と相談のもと検討しましょう。

ABI/PWB(血圧脈波)検査

ABI検査は、足首と腕の血圧を測定してその差を比べます。

PWB検査は、脈の速さを測ります。

血管の狭窄の程度や、血管の硬さの程度がわかるため、動脈硬化の指標となります。

認知機能検査

簡易的に知的機能、認知機能を調べるための口頭質問による検査です。

代表的なものとして、長谷川式簡易知能評価スケールMMSE(Mini Mental State Examination)があります。

基準点があり、それ以下であると、軽度認知障害認知症疑い(脳委縮)とされます。

参考:
ABI/PWV検査 – 血管検査についてについて – 慶應義塾大学病院 臨床検査科 (keio.ac.jp)

画像検査について – 鑑別診断の流れ|和歌山県立医科大学附属病院 認知症疾患医療センター (wakayama-med.ac.jp)

脳ドックの費用は?保険適用になる?

脳ドックを受診したいと思っても、費用面が気になるという方も多いでしょう。

脳ドックの費用は、検査項目とその数によって異なり、2万円~10万円ほどの幅があります。

基本的に、検査項目が多ければ多いほど、費用は高額になります。

大体の目安としては、以下のとおりです。

基本コース
2万円~5万円

オプションコース
6万円~10万円

脳ドックの費用

脳ドックは検査項目によって費用が変わってきますが、下記の3つは欠かすことのできない検査項目(基本的な検査)です。

①脳の断面を撮影するMRI

②脳血管を撮影するMRA

③脳に血液を送る首の血管「頸動脈」を超音波で画像を映し出す頸動脈エコー

これら3つの項目に加え、脳の断面を撮影するCT検査も行いたい場合は、追加することが可能です。

MRIとCTにはそれぞれ種類がありますが、大きな違いとして、MRIは脳梗塞、CTは脳出血を発見するのに適しています。

どちらも電磁石を利用して行う検査です。

基本的コースの費用(目安)

MRI/MRA:3万円〜7万円

頸動脈エコー:3千円〜6千円

CT検査:2万円〜4万円

CT検査を除く基本的な3つの項目であれば、合計2.5万円~3.5万円前後が相場となります。

オプションコースの費用(目安)

心電図検査(短時間の心電図のみ):2千円〜3千円

ABI検査:1千円〜2千円

認知機能検査:5千円〜8千円

それぞれの医療機関によって、オプションで追加できる検査項目は異なります。

追加検査できる項目の豊富さには差があっても、ひとつひとつの検査費用には、ほとんど差はありません。

脳ドックは保険適用外

脳ドックは自由診療となり、保険が適用されません。

あくまで「病気の予防」という視点で、明らかな自覚症状がない方を対象としているからです。

日本の診療方法には、保険診療自由診療の2種類あります。

保険診療で診察・検査・治療を受けると、それにかかる費用は全額負担ではなく、あらかじめ決められた負担金額さえ支払えば、治療を受けることができます。

ただし、治療方法や検査方法・期間・薬剤や使用材料などの面で、細かな制限や制約が伴います。

一方、自由診療は保険を使わないで治療や検査を受けることを言い、費用は全額自己負担です。

予防的検査や美容整形など、必ずしも検査や治療を必要としないケースでは、この自由診療が適用されます。

その場合には治療方法や検査方法、その他薬剤などの細かい制約がないために、患者さんの希望に沿った治療や検査を受けることができます。

脳ドックはこの自由診療に当たるため、費用は全額負担となりますが、希望に沿った検査を受けることができるということになります。

自覚症状がある場合は保険適用で検査が受けられる

予防的な観点で脳ドックの検査を受ける場合は自由診療となりますが、何かしらの自覚症状があって検査を受ける場合は、保険適用で受診をすることができます。

例えば、手足に痺れがあり、病院で動脈硬化の疑いがあると判断された場合、MRIやCT・MRAなどの検査にも保険が適用されます。

同じ検査をするにも、自覚症状のあるなしで自由診療か保険診療かが変わってきます。

すでに次のような症状が出ている場合は、脳ドックではなく、保険診療で受診しましょう。

・手足のしびれやまひ
・話しにくさ
・真っすぐ歩けない
・頭が痛い
・吐き気がする
・物忘れがひどい など

自覚症状がある方は、保険適用下での検査・治療となります。

脳ドックで異常が見つかり精密検査を行う場合は保険が適用される

脳ドックの結果、精密検査が必要になれば、その検査には保険が適用されます。

また、その後治療が必要となった場合も、それにかかる医療費は保険診療になります。

脳ドックの費用を安くする方法

脳ドックにかかる費用は、場合によって安くすることが可能です。

脳ドックの費用を安くする方法として、補助金助成金を受け取るという方法があります。

健康保険組合や自治体によっては、人間ドックの受診に補助金・助成金を給付している例があります。

また、企業独自でそのような制度を設けていたり、生命保険会社が提携する医療機関で脳ドックを受診することで、割引を受けられるケースもあります。

補助金を受け取れる条件や金額などは、それぞれ異なりますので、各自治体健康保険組合に確認してみると良いでしょう。

脳ドックを受けるメリットは大きい

脳ドックの費用だけみると、尻込みしてしまう方もいるかもしれません。

しかし、脳ドックを受けることのメリットを考えたとき、その意識が変わってくるかもしれません。

発症してしまったあとの費用負担を追わずに済む

厚生労働省の統計によると、脳の病気で入院した場合、1日あたりにかかる医療費は4万円~5万円、入院日数の平均は17日~19日です。

この場合の費用を算出すると、自己負担は60万円~90万円にも及びます。

保険診療と高額療養費制度の対象になるにも関わらず、それでも相当な費用がかかります。

さらに、1回の入院で完結しないのが脳の病気です。

退院後も、定期通院やリハビリ通院を強いられ、その度に医療費がかかります。

外来通院の1日あたりの平均医療費は、保険診療で4千円、リハビリが加わるとさらに上乗せがあります。

定期的に脳ドックを受けていれば、リスクが判明した場合、病気の予防行動をとることに繋がります。

発症の予防が期待でき、これだけの費用負担を負わずに済むのです。

後遺症を抱えずに済む

脳は、体のあらゆる機能を司っています。

脳の病気を発症してしまうと、後遺症が残ることも少なくありません。

以下のような症状は、日常生活に多大な影響をもたらします。

体の麻痺、しびれ、喋りにくさ、飲み込みのしにくさ、理解や認知力の低下など

一人で身の回りのことができなくなる可能性もあります。

介護サービスなどを利用することはできますが、困難な生活となることは容易に想像できます。

一度失いかけた体の機能は、リハビリで取り戻せることもありますが、相当な時間と努力が必要になってきます。

脳ドックを受けることは、こういった事態を防ぐことにも繋がります。

参考
医療給付実態調査 報告書 平成27年度 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)

目先の費用に捉われず脳ドックで健康意識を高めよう

今回は、脳ドックの保険適用についてご紹介しました。

脳の病気は、進行中は自覚症状がほとんどないと言われています。

発症を予防するためには、脳ドックを受けて自分の状態を知ることが大切です。

保険適用にならない脳ドックですが、目の前の費用だけに捉われず、脳ドックを受けることで得られるメリットについても考えてみましょう。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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