【くも膜下出血の初期症状とは】くも膜下出血を予防することはできるのか?

「くも膜下出血」という言葉で、どのようなことを思い浮かべますか?

昨日まで一緒に過ごしていた家族や同僚が、くも膜下出血で突然倒れ、救急車で運ばれたという経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

そのような未来を予防するために、くも膜下出血の初期症状と予防行動について解説します。

目次

くも膜下出血とは

くも膜下出血とは、脳の血管が破れ、くも膜下腔という部分に血液が流れ込む病気です。

突然の激しい頭痛、意識障害などの症状が出現します。

発症した場合、基本的には手術を受けることになりますが、命に関わることが多く、後遺症が残る可能性も高い病気です。

そのため、くも膜下出血の初期症状を知り、予防・早期発見・早期治療を目指しましょう。

くも膜下出血の原因

原因となる病気はいくつかありますが、ほとんどの場合は「脳動脈瘤の破裂」によるものです。

脳動脈瘤とは、脳の動脈の血管が血流の影響などでコブのように膨らんでいる状態です。

くも膜下出血を起こしやすい人

高血圧・喫煙・飲酒過多の生活習慣がある人は発症率が高くなります。

以下に当てはまる人も、くも膜下出血を起こすリスクが高いといわれています。

・女性
・40歳以降
・家族内でくも膜下出血を経験している など

くも膜下出血の初期症状

くも膜下出血の主な原因となる脳動脈瘤は、大多数の方はMRI検査や、脳ドックなどをきっかけに偶然発見され、症状もありません。

しかし、脳動脈瘤の位置や破れ方によって、初期症状が出現することがあります。

普段から自身の体調に関心を寄せ、以下のような症状に注意しましょう。

頭痛・吐き気・嘔吐

脳動脈瘤は、破裂する前に瘤の中の血液が増え、さらに膨らみます。

その瘤の動きで頭痛が起きることがあります。

また、脳動脈瘤に小さな裂け目ができたときは、一気に多量の出血が起こるのではなく、じわじわ出血する場合があります。

小さな出血のときは、脳を保護する脳脊髄液という液体に少量の血液が混ざり、頭痛が引き起こされるのです。

これらのような初期症状の頭痛は、一度消失することがあります。

しかし、膨らんだり裂けたりしている脳動脈瘤は、高確率で再出血を起こします。

そして、再び症状が出るときには、重篤な状態に陥る可能性が非常に高まります。

頭痛が起きる時期は、くも膜下出血の数分~数週間前と幅があり、症状の持続時間もまちまちです。

頭痛だけでは片頭痛と区別がつかないかもしれませんが、気になることがあれば医師へ相談しましょう。

また、頭痛に吐き気・嘔吐を伴う場合は、初期症状の可能性が高いのですぐに病院を受診しましょう。

視野障害

脳動脈瘤の位置によって、さまざまな脳神経を圧迫することがあります。

例えば、動眼神経や三叉神経が圧迫されると、まぶたをうまく開けられなかったり(眼瞼下垂)、物が二重に見えたり(複視)、目の奥に痛み(眼窩痛)を感じたりします。

他にも、神経の束を圧迫すると、視野が狭まり外側が見えなくなる(耳側半盲)症状が出ることもあります。

そのような症状が出現するときは、脳動脈瘤が膨らんできているなどの不安定な状況だということです。

くも膜下出血の予防

くも膜下出血は、脳動脈瘤の破裂で起きるため、脳の血管と血流を健康に保つ必要があります。

そのためには、規則正しい生活を送り、高血圧・喫煙・過度な飲酒を避けることが大切です。

高血圧について

持病や年齢で血圧の目標値は異なりますが、以下の場合は注意が必要です。

収縮期血圧(上の血圧)
140mmhg以上

拡張期血圧(下の血圧)
90mmhg以上

高血圧を予防するために、減塩と適正体重の維持を心がけましょう。

減塩

すでに高血圧と診断されている、または血圧が高くなってきている方は、1日に摂取する塩分量:6g未満を目標とします。

減塩のポイントは、少しずつ薄味に慣れていくこと、酸味などの香辛料を上手に取り入れることです。

適正体重の維持

BMI(Body Mass Index)=[体重(kg)]÷[身長(m)2]で計算した数値を参考にしましょう。

男女ともに、BMI:22が標準です。

BMI:35を超える場合は、本格的に減量に取り組むことが推奨されます。

野菜・果物・魚を中心にバランスよく食事をとり、1日あたり、成人男性:9200歩、成人女性:8300歩程度の活動を目指しましょう。

喫煙について

くも膜下出血と喫煙は、非常に高い関連性があります。

心臓や肺の機能が改善するのは、禁煙してから約数週間ですが、くも膜下出血のリスクが下がるまでには、5年ほどかかります。

また、電子たばこも、くも膜下出血に影響する可能性があるといわれているため、なるべく早く禁煙を目指すのが良いでしょう。

普段吸っている・吸いたくなる行動や環境を変えることが禁煙のコツです。

吸いたくなったら、普段と異なる行動(散歩・深呼吸・歯磨きなど)をとりましょう。

禁煙外来の利用も検討してみてください。

また、受動喫煙もくも膜下出血の危険因子になるため、喫煙者も非喫煙者も注意が必要です。

飲酒について

くも膜下出血の発症リスクを高める過度な飲酒量は、純アルコール48g/日以上といわれています。

ビール500mlは、純アルコール20g、日本酒1合(180ml)は、純アルコール22gです。

これらを目安にして、1日の摂取量を調整しましょう。

まとめ

くも膜下出血における初期症状とは、すでに脳動脈瘤からの出血がある、もしくはいつ瘤が破裂してもおかしくないような不安定な状態を表しています。

そのため、初期症状が出現したらできるだけ早く治療を開始する必要があります。

吐き気を伴う頭痛や視野障害といった症状に気づいたら、必ず病院を受診しましょう。

くも膜下出血は規則正しい生活を送り、定期的な検査で予防できます。

日頃から体調管理を意識して、健康な暮らしを守りましょう。

参考)
脳血管障害・脳卒中 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

参考)
くも膜下出血(SAH)-07神経疾患(MSDマニュアル プロフェッショナル版)

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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