【くも膜下出血の前兆】あなたのリスクをチェックしてみませんか?

くも膜下出血について「予防ができない突然起こる病気」というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。

しかし、くも膜下出血には「前兆」と呼ばれる症状が出ることがあり、リスクを下げる方法もわかっています。

今回は、早期に受診ができるように、くも膜下出血の前兆と予防について解説します。

目次

くも膜下出血とは

くも膜下出血とは、脳の血管が破れ、くも膜下腔という部分に血液が流れ込む病気です。

突然の激しい頭痛、意識障害などが現れます。

くも膜下出血は命に関わることが多く、後遺症が残る可能性も高い病気のため、くも膜下出血の前兆をチェックし、早期発見につなげましょう。

くも膜下出血の原因

くも膜下出血に関連する病気はいくつかありますが、主な原因は「脳動脈瘤」です。

くも膜下出血の治療

治療は大きく分けると2種類あります。

開頭脳動脈瘤頸部クリッピング術
頭を開いて行う手術

動脈瘤コイル塞栓術
頭は開かずに、血管の中に管を通して行う治療

どちらも多くは全身麻酔で行われます。

くも膜下出血の後遺症

水頭症や脳梗塞など、治療がさらに長引くものや、麻痺や高次脳機能障害といった、生活していく上で介助が必要となるものを引き起こす可能性があります。

人生が一変してしまう恐ろしい病気だからこそ、前兆を見逃さないことが大切です。

くも膜下出血の前兆をチェック

くも膜下出血における前兆とは「くも膜下出血が起こる数秒前~数か月前に起こる症状」を指します。

症状は数日で消失することもありますが、くも膜下出血が起き始めている可能性があるため、以下の症状に気づいたら、すぐに医療機関を受診しましょう。

頭痛・吐き気・嘔吐

前兆にあたる頭痛は、必ずしも激しいものとは限りません。

前兆の頭痛は「警告頭痛」とも呼ばれ、痛みの強さや痛みが続く期間はまちまちです。

症状が出現するということは、脳動脈瘤が破裂しそうなくらい膨らみ、その動きによって頭痛が引き起こされている可能性があります。

また、すでに脳動脈瘤に裂け目が入り、じわじわと出血しているかもしれません。

出血した場合、脳を保護する脳脊髄液という液体に血液が混ざることで、頭痛が生じます。

警告頭痛と比較し、くも膜下出血における頭痛は、いつ起こったかが明確にわかるような激しい痛みが特徴です。

「バットで殴られたような痛み」と表現されることもあります。

気圧の変化などで起こる片頭痛や肩こりなどから起こる緊張性頭痛など、頭痛はとても身近な症状です。

特に、警告頭痛と片頭痛は「ズキズキする、脈打つような痛み」という共通点があるため、見逃さないように注意が必要です。

吐き気・嘔吐を伴う頭痛は、くも膜下出血の前兆の可能性があるので、すぐに受診しましょう。

血圧の大きな変動

くも膜下出血を発症する数日前から、血圧が大きく変動することがあります。

脳動脈瘤がある方や高血圧の方は、血圧を測る習慣をつけ、普段の血圧を把握しておきましょう。

心当たりのない大きな血圧の変動が起きたときは、すぐに受診しましょう。

また、動脈硬化は血管が硬く・もろくなる病気です。

動脈硬化があると、血圧の変動に耐えられずに血管が裂けるリスクが高まることも押さえておきましょう。

目の症状

脳動脈瘤が大きくなると、瘤の位置によっては目に関連する脳神経を圧迫することがあります。

動眼神経・視神経・外転神経などの脳神経が圧迫されると、まぶたが持ち上がらず目が開けにくかったり(眼瞼下垂)、二重に物が見えたり(複視)、目の奥に痛みを感じたり(眼科痛)、視野が狭くなったりします(視野障害)。

圧迫による症状が出現したときは、脳動脈瘤の破裂の危険性が高まっているため、すぐに受診しましょう。

くも膜下出血のリスク因子を高めるものとは

高血圧・喫煙・飲酒量が多い人は、リスクが高まります。

また、40歳以上・女性・家族内(特に兄弟/姉妹)にくも膜下出血の経験がある場合なども、リスクが高いといわれています。

上記に当てはまる方は、脳動脈瘤の有無を確認しておくと安心です。

くも膜下出血のリスク管理

自身に脳動脈瘤があるのかどうか、もしあるのならば、くも膜下出血のリスク因子をどの程度持っているのかを知ることが大切です。

脳動脈瘤を予防するのは難しい部分がありますが、くも膜下出血を予防するために、ご家庭でできることもたくさんあります。

脳ドック

脳ドックとは、頭の病気全般の検診です。

健康保険の適用外なので実費負担となりますが、脳動脈瘤の有無がわかります。

くも膜下出血のリスク因子に複数当てはまる方は、検査をしておくと安心です。

脳動脈瘤が見つかった場合、大きさ・瘤の位置や数・症状の有無などから、くも膜下出血を未然に防ぐ手術をするのか、経過観察の期間を設けるのか、医師と相談することになります。

生活習慣の改善

生活習慣を整えることで、くも膜下出血のリスクを下げることが可能です。

リスク因子である、高血圧・喫煙・飲酒量にアプローチしていきましょう。

高血圧

血圧は140/90mmhg以上は注意が必要です。

具体的な血圧の目標値は、持病や年齢によって異なるため、医師と相談してください。

すでに高血圧と診断されている、または血圧が高くなってきている人は、減塩を心掛けましょう。

1日の塩分摂取量は、6g未満が良いとされています。

減塩のポイントは、少しずつ薄味になれること、酸味などの香辛料を上手に取り入れることです。

喫煙

禁煙してから、くも膜下出血のリスクが下がるまでに5年程度かかります。

禁煙の最初の数週間は禁断症状がつらいものですが、電子タバコも受動喫煙も、すべてくも膜下出血のリスクに関わるといわれていますので、なるべく早く禁煙にチャレンジしましょう。

禁煙のコツは、普段たばこを吸っているときの行動や環境を変えることです。

吸いたくなったら、歯磨きをしたり、散歩をしたり、普段と異なる行動をとってみましょう。

飲酒量

くも膜下出血のリスクを高める飲酒量は、純アルコール48g/日以上です。

例えば、ビール500mlは、純アルコール約20gのため、ロング缶なら1日に2本程度が許容範囲でしょう。

受診のタイミング

①生活習慣病がある方は、なるべく早く治療を開始するために受診しましょう。

②くも膜下出血のリスク因子に複数当てはまる人は、検査での受診を検討しましょう。

③以下の前兆が現れた場合には、症状が治まったとしても必ず受診しましょう。

・嘔吐を伴う頭痛
・血圧の激しい変化
・目の症状

くも膜下出血を早期発見するために

くも膜下出血の前兆は、嘔吐を伴う頭痛・血圧の大きな変動・目の症状です。

今後の人生を大きく変化させるかもしれない病気ですが、自身でリスク管理することで早期発見が可能となります。

大切なことは、くも膜下出血について正しい知識を持ち、リスク回避する生活を送ること、症状を早期発見することです。

前兆に気づいたら、迷わず受診しましょう。

参考)
脳血管障害・脳卒中 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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