健康診断の結果をきちんと見ていますか?脳梗塞は予防できます

脳卒中は、寝たきりの原因第1位とされています。

脳卒中の中でも、脳梗塞の割合は7割程度とされています。

脳梗塞は、予防することが可能な病気です。

健康診断の結果を把握することも、脳梗塞の予防のひとつとなりますので、ぜひ健康診断の結果に目を向けてみましょう。

目次

健康診断

健康診断の実施

全企業は、労働安全衛生法第66条に基づき、一年に一度健康診断を実施しなければなりません。

そのため、企業にお勤めの方は毎年健康診断を受けているかと思います。

この健康診断は、一般健康診断と呼ばれるもので「身体計測」「血圧測定」「血液検査」「尿検査」「胸部X線」などが中心となります。

企業にお勤めではない個人事業主の方や専業主婦の方は、市町村が健康診断に取り組んでいますので、お住いの自治体のホームページなどを参考になさってください。

年齢によって検査できる項目などが異なる場合がありますので、ご注意ください。

健康診断とは

健康診断は、何のために行うのでしょうか?

健康診断とは、自身の健康状態を確認し、生活習慣病の予防や病気の兆候がないかを調べるためのものです。

健康診断で、すべての病気がわかるというわけではありません。

一般健康診断では、生活習慣病や肝臓や腎臓の病気を発見する確率は、比較的高いとされています。

しかし、がんなどの病気は発見しにくいとされています。

もし、がんが気になっているようであれば、ご自身でがん検診を受けるなどしていただく必要があります。

健康日本21

健康日本21とは

日本は長寿大国とされ、平均寿命は世界でもトップクラスです。

しかしながら、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)と平均寿命には10年ほどの開きがあります。

そこで、国はさらなる健康増進を図るため、健康日本21という取り組みを行っています。

一次予防、二次予防、三次予防

健康日本21の中には「一次予防」「二次予防」「三次予防」という言葉が出てきます。

一次予防
生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等を予防すること

二次予防
健康診査等による早期発見・早期治療のこと

三次予防
疾病が発症した後、必要な治療を受け、機能の維持・回復を図ること

健康日本21では、病気の予防ということに重点を置いています。

従来の疾病予防の中心であったのは、二次予防・三次予防です。

しかし、これに留まることなく「一次予防に力を入れていこう」ということを推進しています。

ちなみに企業等の健康診断は、この二次予防の部分に当てはまります。

健康診断の結果

脳梗塞発症の危険因子

健康診断の結果で、基準値を超している項目はありませんでしたか?

脳梗塞発症の危険因子として、以下があります。

加齢、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動、喫煙、飲酒など

血圧の基準

高血圧は、脳梗塞の最大の危険因子といわれています。

高血圧とは、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合を指します。

もちろん収縮期血圧と拡張期血圧の両方とも基準値を超えている場合も、高血圧です。

血圧は一日の中でも変動が見られ、動いたあとや緊張しているときなどは、血圧が上がってしまいます。

血圧測定の前には安静を促されると思いますので、安静にしていたにも関わらず、血圧の基準値を超えてしまった方は、要注意です。

まれに、普段の血圧は高くないのだけれど、医者や看護師の白衣を見ると緊張してしまい、血圧が高くなってしまう方もいらっしゃいます。

血圧が基準値を超えている場合や基準値を超えそうな場合は、血圧計を購入し、ご自宅で定期的に測ることをお勧めします。

普段の自分の血圧がどのくらいなのかを把握しましょう。

BMIの基準

身長、体重がわかれば、そこからBMIというものが計算できます。

BMIとは、肥満度を表す体格指標です。

体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出することができます。

肥満の判定基準は国によって異なりますが、日本の場合は「25を超えると肥満」とされていますので、要注意です。

腹囲の基準

腹囲は、男性85cm・女性90cm以上を超えると、要注意です。

さらに血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れると「メタボリックシンドローム」と診断されます。

血液検査の基準

血液検査に関しては、基準値が検査先の施設によって若干異なる場合がありますので、基準値の掲載は控えさせていただきます。

検診結果の用紙に基準値も書いてあることが多いので、そちらを参考になさってください。

また、基準値を超えた場合、考えられる疾患はいくつかありますが、以下は脳梗塞を発症する危険因子にあたるものについて紹介しています。

糖代謝系の検査で基準値を超えている場合
糖尿病が疑われます。
血糖値やHbA1cの値が基準値を超えている場合は、要注意です。

脂質系検査で基準値を超えている場合
脂質代謝異常、動脈硬化が疑われます。
総コレステロール(TC)、HDL(善玉)コレステロール、LDL(悪玉)コレステロール、中性脂肪(TG)の値が基準値を超えている場合は、要注意です。

健康診断の結果が「異常」「再検査」などの場合

健康診断で異常や再検査などの指摘を受けた場合は、必ず病院を受診してください。

症状もないし大丈夫だろうと、勝手に自己判断しないでください。

高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、自覚症状がない場合の方が多いです。

血圧や血液検査などは毎日変化しますし、基準値を超えたからといって、必ず病気とは限りません。

まずは病院を受診して、再度検査を受けてみてください。

病気でなければそれは喜ばしいことですし、病気と診断されても、それはそれで病気が発見できたのだからよかったと思います。

一番怖いのは、病気を放置し、それが脳梗塞などの大きな疾患につながっていくことです。

せっかく年に一度、自分の健康を知る機会があるのですから、それを十分に活用していただきたいと思います。

また、健康診断の結果に異常がなかったとしても、年に一度はご自身の健康について考えてみてください。

飲酒、喫煙、食生活や運動など、改められる生活習慣がありましたら、改善してみてください。

来年、再来年、その先のご自身の未来の健康につながっていくと思います。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

目次