脳ドックでわかることって?脳ドックの受診で発見できる病気やその前兆

脳ドックを受けると、脳の状態を詳しく知ることができ、ときには病気やその前兆が発見されることもあります。

いずれも早期発見につながり、脳卒中や脳腫瘍など重大な病気の重症化予防・発症予防に期待ができます。

今回は、脳ドックでわかることについて説明します。

目次

脳ドックでわかることは2つ:脳自体のことと脳以外のこと

脳ドックでわかることは、大きく分けて2つあり、以下の2パターンに分けられます。

①脳の状態
②脳に関連する体の状態

それぞれに詳しく説明します。

脳ドックでわかること①脳の状態

脳の状態でわかることは、脳全体と、脳血管に関するものです。

①認知症の有無

脳MRI検査では、認知症の有無を推定できます。

脳MRI検査で、脳全体のシワが深くなったり多くなっていることを「萎縮」と言います。

脳の萎縮は、30代から生理的なものとして始まっていきます。

しかし、ある一定以上の萎縮や、それに伴って物忘れや同じ言動を繰り返すなどの症状が見られた際には、認知症が疑われます。

②虚血性変化(きょけつせいへんか)

虚血性変化とは、脳の血の巡りが悪くなっていることです。

この状態になると、脳MRI検査で、脳が一部または広域に白く映ります。

軽度なものは、加齢性の変化として高齢者に多くみられます。

加齢以外の原因では、高血圧、メタボリックシンドローム、喫煙などが原因で起こることがあります。

現在、自覚症状がなくても、それらを放置すると脳梗塞の発症につながってしまうため、注意が必要です。

特に、高血圧は虚血性変化の最大の原因とされているため、治療が必要となります。

そのほか、まれではありますが、多発性硬化症という難病が原因で起こることもあります。

③無症候性脳梗塞(むしょうこうせいのうこうそく)

無症候性脳梗塞とは、脳MRI検査上で脳梗塞が認められるにも関わらず、これまで自覚症状がなかったものを指します。

かくれ脳梗塞」とも呼ばれます。

無症候性脳梗塞が判明した場合、再度脳梗塞を発症する危険性が高くなるため、抗血小板薬という血液をサラサラにする内服薬で治療することがあります。

また、あわせて脳梗塞の原因となる高血圧やメタボリックシンドローム、喫煙などへの対処が必要です。

④無症候性脳出血

無症候性脳出血とは、無症候性脳梗塞と同様、脳MRI検査上では脳出血が認められるにも関わらず、これまで自覚症状がなかったものを指します。

出血は微小であるため、それに対して今すぐの治療は必要ありませんが、将来、規模の大きい脳出血につながることがあります。

脳出血の最大の原因は高血圧であるため、高血圧の治療は今の時点から必要です。

⑤未破裂脳動脈瘤(みはれつのうどうみゃくりゅう)

未破裂脳動脈瘤とは、破裂していない動脈瘤(血管のコブ)を指します。

脳MRI検査もしくは脳MRA検査で、3㎜以上の動脈瘤があれば発見されます。

未破裂の場合、自覚症状はありません。

手術を行うかどうかは、動脈瘤の型や大きさ(5㎜以上)、動脈瘤の数、年齢、基礎疾患の有無、家族歴などによって判断されます。

手術をしない場合でも、動脈瘤が破裂すると脳出血となり命に関わります。

未破裂脳動脈瘤の最大の原因となる高血圧の治療が、最優先で必要となります。

⑥脳動脈狭窄

脳動脈狭窄とは、脳の血管が狭くなっている状態を指します。

脳の血管が狭窄している段階では、自覚症状は特にありません。

しかし、脳動脈が狭窄していると、将来、脳梗塞を発症する危険性が高くなるため注意が必要です。

脳にはたくさんの血管がありますが、太く大きな血管の梗塞になると、脳や全身へのダメージが大きくなります。

脳動脈狭窄の原因は、加齢、遺伝性、動脈硬化などです。

動脈硬化はメタボリックシンドロームをはじめとした生活習慣病によって引き起こされるため、日頃からの正しい食生活、運動が重要です。

⑦脳腫瘍

脳腫瘍とは、脳にできるがんのことです。

脳腫瘍は、良性と悪性に分かれます。

良性の場合や、悪性でも初期の場合は自覚症状がないことが多いです。

脳腫瘍の原因ははっきりわかっていませんが、脳腫瘍が判明した場合は、精密検査をしたうえで、すぐに治療が必要になります。

参考
1.大脳白質病変とは – WEB脳神経外科 (web-neurosurgery.com)

2.脳ドック検査でわかること | トピックス | 野村病院 三鷹・武蔵野・吉祥寺・調布・人間ドック・介護 (nomura.or.jp)

3.脳腫瘍〈成人〉 治療:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] (ganjoho.jp)

脳ドックでわかること②脳以外の状態

脳ドックでは、脳以外の状態についても知ることができます。

脳以外の状態でわかることとしては、脳の異変に関わる病気や全身の血管の変化についてです。

脳の病気は、脳自体が原因で起こることは少なく、体の異変が続いた結果、発症するものです。

そのため、体の異変に気づくことが脳の病気の早期予防につながります。

①高血圧

高血圧は、脳梗塞や脳出血の最大の原因です。

血圧測定で、140㎜Hgかつ・または90㎜Hgの場合に高血圧とされます。

ただし、なかには医療機関で測定すると、緊張によって一時的に血圧が上がる方がいることから、家庭で定期的に血圧を測定したうえで、その結果とあわせて診断がなされます。

②メタボリックシンドローム 

メタボリックシンドロームとは、身体計測、血圧測定、採血検査によって、一定の基準を満たした場合に診断されます。

メタボリックシンドロームは動脈硬化を促進させてしまうため、脳動脈狭窄、さらには脳梗塞の原因となります。

メタボリックシンドロームの基準は、以下の表のとおりです。

引用
メタボリックシンドロームの診断基準 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

メタボリックシンドロームは、食生活の乱れや運動不足が原因となるため、生活習慣を見直す必要があります。

③頸動脈狭窄(けいどうみゃくきょうさく)

頸動脈とは首にある大きな血管で、脳へとつながり、脳に血液を送っている重要なものです。

頸動脈エコー検査によって、狭窄の有無や程度がわかります。

狭窄している段階では、自覚症状はありません。

すぐに治療を行うことはなく、定期的に通院をして、狭窄に変化がないかを見ていくことになります。

頸動脈狭窄の原因は動脈硬化になりますので、改善するためには食事や運動といった生活習慣を見直す必要があります。

④心房細動(しんぼうさいどう)

心房細動とは、心臓の不整脈のひとつで、心臓内での血流が不規則になるものです。

心電図検査によって、心房細動がわかります。

心房細動では、心臓内で血液がよどみ、血栓ができやすくなります。

その血栓が、脳への血流にのって脳の血管をふさぐと、脳梗塞を発症します。

心房細動が判明した場合は、血栓が形成されにくくなるよう、抗凝固薬という血液をサラサラにする内服薬で治療することがあります。

また、心房細動の原因のひとつに動脈硬化があるため、内服治療とあわせて生活習慣の見直しが必要です。

参考
脳梗塞の主な原因 動脈硬化と心房細動の症状・予防・治療法について | NHK健康チャンネル

脳ドックでは病気やその前兆がわかる 

今回は、脳ドックでわかることについて説明しました。

脳ドックを受けることで、病気やその前兆の早期発見につながり、ひいては脳の病気の重症化予防・発症予防が期待できます。

脳ドックを受けて自分の脳や体の状態を知り、健康的な生涯を目指していきましょう。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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