【くも膜下出血の原因と前兆】正しい知識で受診のタイミングを知ろう!

くも膜下出血という言葉を聞くと、どのような病気をイメージしますか?

・突然発症する怖い病気
・予防方法がない命に関わる病気

くも膜下出血というのは「恐ろしい病気」という漠然としたイメージが強いかもしれません。

しかし、くも膜下出血の前兆を捉え、早期発見と早期治療を行うことで、病気の発症を予防することも可能です。

そこで今回は、正しい知識を持ち、予防・早期発見や早期治療ができるように、くも膜下出血の原因と前兆について説明します。

目次

くも膜下出血の原因

くも膜下出血は、脳の血管が破れ、くも膜下腔という部分に血液が流れ込む病気です。

多くの原因は「脳動脈瘤の破裂」です。

くも膜下出血を発症すると、突然の激しい頭痛、意識障害などの症状が出現し、なるべく早く治療を始めることが必要となります。

また、適切に治療を受けたとしても、1/3は死去、1/3は後遺症が残り、1/3は社会復帰ができるだろうといわれているくらい重症な病気です。

そのため、くも膜下出血の原因と前兆を知り、予防・早期発見・早期治療に活かしましょう。

脳動脈瘤とは

脳の動脈の一部がコブや風船のように膨らんでいる状態です。

脳動脈瘤の原因はまだ研究途中ですが、血管のつくりに関する先天的な要因に、生活習慣(高血圧・喫煙・飲酒)などの後天的な要素が関係しているといわれています。

脳動脈瘤は、基本的には無症状であるため発見されにくく、脳ドックやMRI検査などで偶然見つかるケースがほとんどです。

脳動脈瘤の形状・位置・大きさ・成長速度などに加え、本人の年齢や基礎疾患など、さまざまな要因を統合して治療法を検討します。

くも膜下出血を起こしやすい人

高血圧・喫煙・多量の飲酒に関連する生活習慣がある人は、発症率が高くなります。

また、女性、40歳以降、家族内(特に兄弟・姉妹)でくも膜下出血を経験しているなど、これらに当てはまる人も、リスクが高い傾向にあります。

くも膜下出血の治療法

くも膜下出血の治療も脳動脈瘤の治療も、ほとんど同じ手術が行われます。

くも膜下出血では、脳動脈瘤からの再出血を予防し、脳動脈瘤の治療は、脳動脈瘤の破裂を予防するために行います。

くも膜下出血の前兆とは

くも膜下出血発症時には、今まで経験したことのないような激しい頭痛や嘔吐、意識消失、けいれん発作などが起きます。

突然発症することが多いくも膜下出血ですが、時には初期症状と呼ばれる前兆が現れます。

くも膜下出血の前兆は「くも膜下出血が起こる数秒前~数か月前に起こる症状」を指します。

症状は数日で消失することもありますが、くも膜下出血が起き始めている、もしくは起きる可能性が非常に高まっている状態であるため、以下の前兆に気づいたら、すぐに医療機関を受診しましょう。

頭痛・吐き気・嘔吐

前兆にあたる頭痛は必ずしも激しいものとは限りません。

前兆の頭痛は警告頭痛とも呼ばれ、痛みの強さや痛みが続く期間にも幅があります。

症状が出現しているときは、脳動脈瘤がさらに膨らみ、その動きによって頭痛が引き起こされている可能性があります。

また、すでに脳動脈瘤に裂け目が入り、じわじわと出血しているかもしれません。

出血した場合、脳を保護する脳脊髄液という液体に血液が混ざることで、頭痛が生じます。

気圧の変化などで起こる片頭痛や、肩こりなどから起こる緊張性頭痛など、頭痛はとても身近な症状です。

特に、警告頭痛と片頭痛は「ズキズキする、脈打つような痛み」という共通点があるため、見逃さないように注意が必要です。

吐き気・嘔吐を伴う頭痛を感じたら、必ず受診しましょう。

大きな血圧の変動

くも膜下出血を発症する数日前から、血圧の変動が大きくなることがあります。

脳動脈瘤や高血圧がある方は、毎日決まった時間に血圧を測り、普段の血圧を把握しておきましょう。

心当たりのない大きな血圧の変動が起きたときは、すぐに受診しましょう。

また、動脈硬化があると、血圧の変動に耐えられずに血管が裂けるリスクが高まります。

高血圧に加え、コレステロールが高めな方も注意しましょう。

目の症状

脳動脈瘤が大きくなると、目に関連する脳神経を圧迫することがあります。

神経が圧迫されると、まぶたがしっかり持ち上がらず目が開けにくくなったり(眼瞼下垂)、二重に物が見えたり(複視)、目の奥に痛みを感じたり(眼窩痛)、外側の視野が狭くなったりします(両耳側半盲)。

圧迫による症状が出現したときは、脳動脈瘤の破裂の危険性が高まっているため、すぐに受診しましょう。

くも膜下出血の予防

くも膜下出血を予防するためには、脳の血管と血流を健康に保つ必要があります。

血管を丈夫にするために、糖分の過剰摂取を控え、良質な脂質を摂取しましょう。

また、良い血流を保つために、減塩を心がけ適正血圧を維持することが大切です。

喫煙や過度な飲酒もくも膜下出血のリスクを高めるため、注意が必要です。

高血圧

持病や年齢などでその人に合った血圧の目標値は異なりますが、血圧が140/90mmHg以上の場合は注意が必要です。

高血圧を予防するために、1日の塩分摂取量を6g未満とする減塩と、BMI:22の適正体重の維持を心がけましょう。

喫煙

禁煙後、くも膜下出血のリスクが下がるまでには、約5年かかります。

電子たばこ・受動喫煙も、くも膜下出血に影響する可能性があるといわれているため、注意が必要です。

普段、吸っているときの行動や環境を変えることが禁煙のコツです。

吸いたくなったら、普段と異なる行動(ガムを噛む・深呼吸・歯磨きなど)をしてみましょう。

禁煙外来の利用も検討してみてください。

飲酒

くも膜下出血の発症リスクを高める過度な飲酒量は、純アルコール48g/日以上といわれています。

ビール500mlは、純アルコール20gです。

ロング缶であれば、1日に2本程度を目安としましょう。

まとめ

くも膜下出血の原因と前兆は、以下のとおりです。

原因
脳動脈瘤

前兆
・嘔吐を伴う頭痛
・血圧の大きな変動
・目の症状

前兆が現れたときには、必ず早期の受診が必要です。

なるべく早く、くも膜下出血の前兆に気づけるよう、症状の特徴を押さえておきましょう。

くも膜下出血のリスクが高い方は、脳ドックで脳動脈瘤の有無を確認しておくことをおすすめします。

また、くも膜下出血のリスクを下げるために、生活習慣病の予防と早期治療も大切です。

正しい知識を日々の生活に取り入れ、早期に受診し、くも膜下出血を予防しましょう!

参考)
脳血管障害・脳卒中 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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