スマート脳ドックで認知症が分かる?気になる認知症の症状も解説

近年話題になっている、スマート脳ドック。

スマート脳ドックは脳の健康状態が分かりますが「認知症も分かるの?」と疑問に思われる方は少なくありません。

認知症は歳を重ねるごとにリスクが高くなり、平均寿命が長い日本ではとても身近な病気です。

そこで今回は「スマート脳ドックで認知症が分かるのか」という疑問にお答えしながら、主な認知症の種類や症状、治療方法についても解説します。

目次

スマート脳ドックとは

スマート脳ドックとは、スマホから予約・問診票の記載ができて受診結果もスマホで分かる、従来の脳ドックよりも時間が短縮された脳ドックのことです。

クリニックで行う内容は受付と検査のみのため、滞在時間がおおよそ30分と、従来の脳ドックよりもかなり時間が短縮されています。

そのため、仕事や家事で忙しく今まで脳ドックができなかった人でも、受診しやすくなっているのが特徴です。

スマート脳ドックで認知症が分かる?

結論からいうと、スマート脳ドックでは認知症は分かりません。

なぜかというと、脳ドックは脳血管疾患の有無やリスクがないかを検査するものであり、認知症の診断まではできないからです。

脳ドックで分かることは、以下の5つになります。

  1. 過去の脳出血・脳梗塞の有無
  2. 脳動脈瘤の有無
  3. 血管の狭窄の有無
  4. 脳腫瘍
  5. 脳の萎縮

上記の脳ドックで分かることの中に脳の委縮があり「脳の萎縮が認知症の診断になるのではないか」と思われる方がいるかもしれません。

たしかに、認知症のひとつであるアルツハイマー型認知症の方の中には、脳委縮が見られる方がいます。

しかし、認知症の診断は脳委縮だけでなく、他にも問診や認知症テストといった検査から、総合的に認知症と診断されるのです。

脳委縮があっても認知症と診断されない方や、反対に、脳委縮がなくても認知症と診断される方がいます。

スマート脳ドックで認知症の検査はできる? 

脳ドックを受ける医療機関によっては、認知症検査が行えるところがありますが、スマート脳ドックでは認知症の検査は行っていません。

脳ドックの際に認知症の検査も一緒に受けたいのであれば、認知症の検査ができる脳ドックをおすすめします。

認知症検査が可能な医療機関は、脳ドックのコースの中に認知症ドックがあります。

他にも、通常の脳ドックにオプションを加えることができ、オプションの中に認知症検査がある医療機関もあります。

認知症の検査によって、現在の物忘れの状態やリスクが分かることもあるでしょう。

しかし、認知症の診断まではできません。

認知症の検査は、専門の医療機関への受診が必要です。

認知症の種類と症状

「認知症の検査を受けたい」と考えられている方は、認知症のリスクをいち早く知りたい方でしょう。

ここでは、認知症の種類と症状を解説するので、心当たりがないか確認しましょう。

認知症は、主に3つの種類があります。

  1. アルツハイマー型認知症
  2. 脳血管性認知症
  3. レビー小体型認知症

各認知症の特徴と症状について解説します。

アルツハイマー型認知症

認知症の中で最も多いのが、アルツハイマー型認知症です。

アルツハイマー型認知症とは、脳神経が変性し、脳の一部が委縮する過程でおきる認知症です。

症状は物忘れから始まり、ゆっくり進行することが特徴です。

アルツハイマー型認知症の症状

  • 最近のできごとが記憶できない
  • 同じことを繰り返し聞く
  • 家事の段取りがふめなくなる
  • 時間と場所が分からなくなる
  • 趣味や習慣をしなくなり、抑うつ状態になる
  • 怒り易くなったり悲しんだりと、感情のコントロールができない

脳血管性認知症

脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血がきっかけとなり、脳神経細胞が損傷されることで発症する認知症です。

脳血管疾患を発症した部位によって、症状が異なります。

損傷していない部位は機能が保たれるため、自身や家族も認知症と気づかないことが多くあります。

例えば「物忘れは増えたけど理解力は保たれている」などがあり「まだら認知症」ともいわれます。

脳血管性認知症の症状

  • 物忘れをするようになった
  • 体が動かしづらい
  • 話しづらい
  • 飲み物や食べ物が上手く飲み込めないことや、むせるときがある
  • いきなり怒り出したり泣き出したりして、感情のコントロールができない

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、脳に「レビー小体」という異常なたんぱく質ができ、脳神経細胞を傷つけ壊すことにより発症します。

レビー小体型認知症の症状は、幻視やパーキンソン症状が特徴です。

認知機能が良いときと悪いときがあるため、病気と判断しづらいことがあります。

レビー小体型認知症の症状

  • 幻視がある ※実際にはいない人物や動物がいるように見える
  • パーキンソン症状がある ※手足の震え・筋肉のこわばりなど
  • 認知力や判断力にムラがある
  • 睡眠時に大声で叫んだり暴れたりする
  • 気分が落ち込み悲観的になる抑うつ状態

認知症の治療方法

アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症は根本治療がまだありませんが、薬によって症状の進行を遅らせることが可能です。

また、レビー小体型認知症は対症療法ができ、薬によって手足の震えやこわばりが軽減することがあります。

そして、脳血管性認知症は、発症の原因となっている脳血管の異常を治しリハビリをすることで、改善が期待できます。

どの認知症もリハビリテーションやトレーニングによって脳が活性化し、不安や無気力といった症状への効果が期待されています。

認知症の症状に心当たりがある方は専門の医療機関へ

認知症の種類と症状について上述しましたが、症状に心当たりがある方は専門の医療機関へ受診すると安心です。

認知症の診断は、神経内科や精神科、心療内科、脳神経外科がある医療機関でできます。

また、物忘れ外来や認知症外来といった、認知症専門の外来でも診断可能です。

認知症の種類によって治療方法も異なるため、正確な診断を受け、早期治療ができるとよいでしょう。

医療機関によって脳ドックで認知症検査は可能!診断はできない

今回は「スマート脳ドックで認知症が分かるのか」について紹介しました。

スマート脳ドックでは、認知症の検査や診断はできません。

しかし、脳ドックを受ける医療機関によっては、認知症の検査が行えます。

「脳ドックと一緒に認知症の検査もしたい」と考えているのであれば、医療機関の脳ドックのコースやオプションで認知症検査もできるか確認しましょう。

その際、認知症の診断まではできないことに注意しましょう。

また、認知症の症状に心当たりがある方は、専門の医療機関への受診をおすすめします。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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