大切な人が脳梗塞になったら?家族ができること

もし、あなたの大切なご家族が脳梗塞で倒れてしまったら、あなたはどうしますか?

特に、後遺症で半身麻痺が残ってしまい、日常生活になんらかの介助が必要になったとき、あなたはどうしますか?

脳梗塞を発症したご本人もストレスを感じますが、そのご家族も同じようにストレスを感じます。

介護で共倒れしないよう、介護とうまく付き合っていきましょう。

目次

脳梗塞の家族を介護するポイント

一番重要なこと

ご家族が脳梗塞を発症し、後遺症が残った場合、介護において一番重要なことは「頑張りすぎないこと」です。

脳梗塞の場合は、他の病気に比べ、介護度が高くなる傾向があります。

頑張ることは素敵なことですが、その頑張りが、時には自分やご家族の首を絞めてしまうことがあります。

さまざまな介護サービスがありますので、そういったものを適宜利用し、決して一人で頑張りすぎないでください。

近年、老老介護(高齢者が高齢者を介護すること)が問題となっていますが、頑張りすぎるのはその方たちだけではありません。

仕事をしながらご家族を介護する場合も、主婦(主夫)をしながらご家族を介護する場合も、頑張りすぎないでください。

誰でも介護に疲れてしまうことはあります。

大切なのは、しんどいと感じたら誰かの力を借りてお休みすることです。

すべての介護をやらない

家族だからといって、全部自分で介護しようと考えていませんか?

・毎食介護食を作る
・夜中でも2時間おきに体位変換する(体勢を変更すること)
・おむつ交換もする

これでは介護をする人の体調が崩れてしまいます。

介護保険を利用すれば、褥瘡(床ずれ)防止のマットレスをレンタルすることができます。

体位変換は2時間ごとが基本ではありますが、圧切替型エアマットレスなどを使用すれば、体位変換の間隔は4時間を超えない範囲で行ってもよい、ということになっています。

栄養状態や皮膚の状態によって、必ずしも体位変換の間隔を引き延ばせるとは限りませんが、こういった福祉用具のレンタルは介護の手助けのひとつとなります。

訪問介護や訪問看護を利用するのもよいでしょう。

食事に関しては、ホームヘルパーに作ってもらってもよいですし、ご自身で作ったものを冷凍しておくことも可能です。

最近はインターネットで介護食を注文することもできますし、継続した宅配サービスなども展開されています。

便利なサービスはどんどん利用しましょう。

こういったサービスを一番把握しているのは、ケアマネージャーです。

困っていることがあれば、相談してみましょう。

また、インターネットを通じて情報を収集することもよいかと思います。

ただし、インターネット上の情報は不確かな場合もありますので、何か実践したり購入したりする場合は、ケアマネージャーや訪問看護師に一度相談してみましょう。

すべてのことに手を貸さない

手を貸さないというのは、ひどいことだと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、手を貸さないというのは、実はとても大切なことなのです。

衣類の着脱に5分かかるとします。

5分かかっても、ボタンの掛け違えが発生したり、襟が折れていたり、綺麗に衣類を着ることができないかもしれません。

介助した方が時間も早いですし、正確です。

ではなぜ手を貸してはいけないのでしょうか?

答えは、成功体験は自信に繋がるからです。

脳梗塞を発症し、後遺症が残ってしまった場合、誰しも落ち込んだりやる気をなくしたり自信を失ったりします。

服を着ることが「できた」、靴を履くことが「できた」、このような成功体験は、その失った自信を取り戻すきっかけになります。

時間がかかってもよいのです。

ボタンを掛け違えても、襟が折れていてもよいのです。

服を着ることができたのですから。

「できる」ことに目を向けていきましょう。

とはいえ、できるからといってすべての動作を自分で行ってもらうと、時間もかかりますし、ご本人のストレスになる場合もあります。

様子を見ながら、介助していきましょう。

怒らない

できないこと、時間がかかることに対して怒らないでください。

以下のような症状は、高次脳機能障害と呼ばれるものの一部です。

・わかっているのにうまく言葉を発することができない
・計算ができない
・ぼんやりしている
・約束の時間に遅れる など

たとえ半身麻痺がなく介護度は低いとしても、こういった目に見えない障害をきちんと理解し、できないことに対してはサポートしていく必要があります。

言葉を発することができなくても、ぼんやりしているようでも、怒られたことはわかります。

怒られることが続くと、萎縮してしまいます。

言葉を発したり行動することが、億劫になってしまいます。

怒っても解決にはなりません。

怒って暴言を吐いてしまう、手を上げてしまいそうになる、そういった状態は要注意です。

介護に疲れているサインです。

ただちにケアマネージャーに相談し、少し介護から離れましょう。

ショートステイを利用する

介護に疲れている方には、ショートステイがおすすめです。

ショートステイは、1日単位で利用ができる施設入所のことです。

家族が介護疲れを感じリフレッシュしたい場合だけでなく、家族が病気になった場合、冠婚葬祭の場合などに利用することができます。

ショートステイは予約が必要となるところが多いので、計画的に利用しましょう。

緊急の場合は、緊急対応をしているショートステイもありますので、まずはケアマネージャーに相談してみてください。

数日であっても施設に預けるということに対し、罪悪感はありませんか?

共倒れしてしまっては、元も子もありません。

ショートステイを利用することで、リフレッシュし、また介護を頑張ることができます。

ショートステイは、たくさんの方が利用されています。

ショートステイを利用することは、決して見捨てることではありませんので、堂々と利用してください。

要介護者ご本人がショートステイを嫌がる場合もあります。

ご高齢の方は特に、新しいことを受け入れがたいという現状はあります。

その場合は、普段通院している病院に併設されているショートステイを利用するなど、安心してサービスを利用できるような工夫も考えてみましょう。

ショートステイの施設によっても雰囲気が違いますので、要介護者ご本人と相性が合うようなところを探してみましょう。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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