脳梗塞後の自宅での過ごし方はどうする?受けられるサービスと流れを紹介

脳梗塞を発症した後は、病院で治療とリハビリを経てから自宅へ帰るのが一般的です。

しかし、退院した後でご本人を迎えるご家族の方は「自宅で生活できるの?」と不安を抱くのではないでしょうか。

さまざまなサービスを取り入れることによって自宅での生活は可能であり、脳梗塞を発症した多くの方が自宅で療養されています。

そこで今回は、脳梗塞を発症後の自宅での過ごし方と、併せてどのような段階を踏んで自宅へ帰るのかを紹介します。

目次

脳梗塞を発症後の自宅での過ごし方

脳梗塞を発症後、体の状態に合わせてさまざまなサービスが使えます。

サービスは介護保険が適用され、自己負担は1〜3割です。

主に利用されるサービスは、以下のとおりです。

  1. 福祉用具レンタル
  2. 訪問看護・リハビリ
  3. ヘルパーさんによる身体介護
  4. 通所リハビリ
  5. デイサービス
  6. 訪問入浴介護
  7. 住宅改修

それぞれ詳しく紹介します。

1.福祉用具レンタル

福祉用具レンタルは、ご本人の体の状態と自宅の構造に合わせて選択します。

レンタルができる福祉用具

  • 杖、シルバーカー、歩行器、車いす
  • 手すり、スロープ
  • 電動ベッド、マットレス など

入浴や排泄に使用される福祉用具は、レンタルではなく購入となります。

購入になる福祉用具

  • ポータブルトイレ
  • 浴室や浴槽内で利用する腰掛いすや滑り止めマット

福祉用具の購入は、介護保険が利用できます。

全額支払ってから、市町村の役所で払い戻しを受けられます。

2.訪問看護・リハビリ

訪問看護は、看護師が自宅を訪問し、ご本人の心身の状態を確認、自宅での過ごし方を伺います。

服薬・栄養・生活の指導から、入浴介助や体拭きといった清潔ケアなども行います。

必要時は主治医への報告も行い、ご本人が病気を抱えながらも自宅で生活できるようにサポートするのが看護師の役割です。

同居されているご家族の相談にのったり、アドバイスをしたりします。

訪問看護では、看護師以外にリハビリの有資格者が訪問できます。

全身運動や手の動作、飲み込みや発語の練習などのリハビリをします。

3.ヘルパーによる身体介護

ヘルパーが自宅を訪問し、ご本人へ身体介護をします。

身体介護の内容は、以下のとおりです。

  • 食事介助
  • 入浴介助
  • 更衣介助
  • 排泄介助
  • 移動介助

ヘルパーが身体介護をすることで、ご家族の介護負担が軽減します。

介護をされる方自身が「家族よりヘルパーさんにお願いしたい」と考えることもあります。

4.通所リハビリ

通所リハビリは、体を動かす機能の維持と向上を目的としており、送迎付きでご本人が通います。

昼食や入浴も可能です。

脳梗塞を発症後は、退院してから自宅でどれだけリハビリを続けられるかが重要です。

リハビリを続けないと体力が一気に低下し、退院直後にできたことができなくなることもあります。

5.デイサービス

デイサービスは、日常生活の介護を受けながら過ごせる場所であり、送迎付きでご本人が通います。

昼食や入浴も可能です。

楽しく過ごせるよう、さまざまなレクリエーションを取り入れています。

脳梗塞を発症した後は、気分が落ち込みやすくなるので注意が必要です。

デイサービスで他の人と関わることで、気分転換や楽しみを見いだすことが期待できます。

加えて、同居されているご家族のリフレッシュにもなります。

6.訪問入浴介護

訪問入浴介護は、浴槽とポンプを部屋に運び入浴できるサービスです。

自宅や通所サービスでの入浴が困難な場合に利用され、ベッドで寝たきりの方が主に使われているサービスです。

7.住宅改修

自宅で安全に過ごせるように、介護保険で住宅の改修ができます。

改修する主な内容は、以下のとおりです。

  • 廊下・玄関・トイレ・浴室など手すりの取り付け
  • 段差の解消
  • 床を滑りにくい材質へ変更

支給上限額は20万円まで、と決まっています。

自宅で過ごすための準備は入院中から

上記で紹介した自宅での過ごし方を実現するには、入院中からの準備が必要です。

脳梗塞を発症後から自宅で過ごすまでの流れは、以下のとおりです。

  1. 相談窓口で相談する
  2. 介護保険を申請する
  3. ケアマネジャーが決まる
  4. 試験外泊
  5. 必要なサービスを検討する
  6. 介護サービスを確保・退院

それぞれ詳しく紹介します。

1.相談窓口で相談する

まずは入院している病院の相談窓口で相談します。

病院の受付で「退院後の生活を相談する窓口が知りたい」と聞けば、案内されます。

相談窓口は病院によって「退院支援室」「地域連携室」と名称が異なります。

医師や看護師から退院後の自宅での過ごし方について聞くことがありますが、面会のタイミングによって聞けないことが多いです。

積極的に相談窓口を活用しましょう。

2.介護保険を申請する

介護保険サービスを利用するために、介護保険を申請します。

申請後、認定調査員がご本人の状態を確認しに病室へ伺い、調査結果をもとに介護区分が決定されます。

介護区分は「要支援1,2」「要介護1〜5」があります。

要支援1ほど介護が必要のない心身の状態で、要介護5にいくほど介護が必要な状態です。

介護区分によって受けられるサービスが変わります。

介護保険が認定されるまで期間がかかるため、退院の1ヶ月〜1ヶ月半前には申請しておくとよいでしょう。

3.ケアマネジャーが決まる

介護区分が決定すると自宅に連絡があり、ケアマネジャーが決まります。

ケアマネジャーとは、介護保険サービスのプランを立て、さまざまなサービスとの連携・調整をする人です。

後に「介護保険証」が自宅へ届くので、保管しておきましょう。

また、自己負担額が記載されている「自己負担割合証」も届くので保管しておきます。

自己負担額は収入によって変わり、1〜3割です。

4.試験外泊

退院前に一度自宅への試験外泊をします。

試験外泊をすることで、自宅で過ごすための必要なサービスを検討できます。

5.必要なサービスを検討する

病院のスタッフ、ケアマネジャーとともに必要なサービスを検討します。

ご家族は、試験外泊中のご本人の様子を伝えましょう。

困ったことや悩んだことも積極的に伝えましょう。

試験外泊の結果や相談内容から、ケアマネジャーがケアプランを立てます。

ケアプランには、以下が記載されています。

  • 介護サービスが必要な理由
  • 自宅で過ごすための目標
  • サービスを受ける曜日と時間

6.介護サービスを確保・退院

介護サービスが確保でき、主治医の許可がおりたら退院を迎えます。

退院までに医師や看護師から生活上の注意点の説明があるので、わからないことは適宜確認しましょう。

また、看護師から自宅で必要な介護の指導があります。

自宅で安全に過ごすためには準備と相談が重要

今回は、脳梗塞後の自宅での過ごし方について紹介しました。

ご本人の自宅退院にあたって、ご家族は不安を抱くことがありますが、サービスを活用すれば安全に自宅で生活できます。

退院後スムーズにサービスを受けるためには、入院中からの準備が必要です。

そして、医療スタッフやケアマネジャーに相談することで、家族の思いをくみとったサービスを受けられます。

自宅で過ごす不安が解消できるよう、本記事をぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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