脳梗塞のリスクが高い方、脳梗塞を発症した方には医師の判断にて予防薬が処方されます。
「脳梗塞の予防薬はどういった薬があるのか」気になる方もいるでしょう。
予防薬には種類があり、脳梗塞の機序やリスクによって、作用が異なります。
今回は「脳梗塞の予防薬」について解説しながら「脳梗塞の予防薬を内服される場合の注意点」についても合わせてご紹介します。
脳梗塞の予防薬は2種類
脳梗塞の予防薬には、以下の2種類があります。
- 抗血小板薬
- 抗凝固薬
薬の効果と薬剤について、それぞれ紹介します。
抗血小板薬
抗血小板薬は、血液をサラサラにし、血栓(血のかたまり)を予防します。
なぜ血栓の予防が脳梗塞予防になるのか、機序を含め説明します。
高血圧、糖尿病、高脂血症の状態が続くことで、血管内に負荷がかかり、脳梗塞の要因である動脈硬化になります。
血管の内側の壁が傷つきやすくなっています。
この状態が長く続くと、コレステロールや細胞が付着し蓄積します。
すると血管が細くなり、血液の流れが悪い状態になります。
血液の流れが悪くなると、血小板がお互いにくっつき血栓となります。
この血栓を予防するために、血液をサラサラにする抗血小板薬が処方されています。
抗血小板薬一覧
以下に抗血小板薬をまとめました。
左側は商品名、右側のはジェネリック医薬品の名称になります。
・バイアスピリン(アスピリン)
・プラビックス(クロピドクレル)
・プレタール(シロスタゾール)
・パナルジン(チクロピジン)
抗凝固薬
抗凝固薬は、静脈のうっ滞(停滞した状態)による凝固を防ぐ効果があります。
脳梗塞の発症後、状態をみて抗凝固薬が処方されることがあります。
また、心房細動という疾患では、心臓の正しい動きが一時的にできなくなるため、心臓の部屋の中の血液がうっ滞します。
うっ滞により凝固した血液が血栓となり、脳血管で詰まると脳梗塞を発症します。
心房細動の患者さんは、年齢や生活習慣病の有無、過去の脳卒中の発症歴から総合的に判断し、抗凝固薬が処方されます。
他にも、静脈がうっ滞する疾患(深部静脈血栓症、人工弁置換術など)がある方にも処方されます。
抗凝固薬一覧
以下に抗凝固薬をまとめました。
左側は商品名、右側の()はジェネリック医薬品の名称になります。
・ワーファリン(ワルファリンカリウム)
・プラザキサ
・イグザルト
・エリキュース
・リクシアナ
脳梗塞の予防薬を服用する場合の注意点と副作用
脳梗塞の予防薬内服中は気をつけることがあります。
注意点は以下の3つになります。
- 出血が止まりづらい
- 薬を飲み忘れたとき
- 自己判断で中止しない
これらは予防薬の作用・効果による副作用とも言われ、日常で意識しておきたい内容となっています。
順に説明していきます。
出血が止まりづらい
抗血小板薬・抗凝固薬は、それぞれ以下の効果があります。
- 血液をサラサラにする
- 血液の凝固を防ぐ
その作用により、出血が止まりづらくなり、青あざの内出血も治りにくいです。
ケガによる出血をした際は、止血するまでしっかり圧迫しましょう。
また、鼻をかむときは、鼻血が出ないように優しくかみましょう。
もし鼻血が出たときは、座った姿勢になり、小鼻を中心に鼻を抑えてください。
身体の内部の出血には気づきにくいです。
頭を打撲した、便が黒い・血液が混ざっているなど「いつもと違う」と感じたときは、速やかに病院を受診しましょう。
薬を飲み忘れたとき
飲み忘れに気づいたときは、一度に2回分の予防薬を飲まないようにしましょう。
効果が増長される危険があり、より出血しやすい状態になります。
自己判断で中止しない
抗血小板薬・抗凝固薬は、自己判断で中止してはいけない薬です。
「状態が落ち着いているから」「内出血が治らないから」と自己判断で中止される方がいらっしゃいます。
しかし、薬を内服している状態であるため、現在脳梗塞が予防できていると言えます。
ご本人の状態や検査結果によっては、薬を減らすことができるかもしれません、
食事に注意が必要な脳梗塞予防薬
脳梗塞の予防薬の中には、食事に注意が必要な薬もあります。
ワーファリンとプレタールです。
それぞれ「食べてはいけない物」と「なぜ食べてはいけないのか」を説明します。
ワーファリン
ワーファリンを内服されている方は、納豆・青汁・クロレラなどビタミンKを多く含む食べ物は控えましょう。
ワーファリンは血液を固めるビタミンKの働きを妨げることにより、血を固まりにくくしています。
しかし、ビタミンKを多く含む食べ物を摂取すると、その作用を弱めてしまいます。
プレタール
プレタールを内服されている方は、グレープフルーツジュースを控えましょう。
グレープフルーツジュースの成分は、薬の代謝酵素を阻害します。
薬が代謝されないため、薬の作用が増強するリスクがあります。
また、グレープフルーツジュースはプレタール以外の薬でも飲み合わせが悪いです。
手術・歯の治療時は医師に報告を忘れずに
手術や歯の治療をするときは、出血を伴います。
抗血小板薬や抗凝固薬を内服されている方は、出血が止まりづらく、大量に出血するリスクがあります。
そのため、手術では一時的に抗血小板薬・抗凝固薬を減量することや止めることもあります。
その際、お薬手帳があれば、薬品名と用法・容量も記載されているので、とても分かりやすいです。
病院を受診するときや薬局にて処方を受け取るときは、お薬手帳を活用しましょう。
正しい知識をつけて脳梗塞の予防薬と付き合おう
今回は「脳梗塞の予防薬」と「脳梗塞の予防薬を内服されている方の注意点」について解説しました。
脳梗塞の予防薬には、以下の2種類があり、それぞれ作用は異なります。
- 抗血小板薬
- 抗凝固薬
身体の状態に適した薬剤が処方されますが、どちらも出血が止まりにくくなる薬であるため、出血時には注意が必要です。
出血したら止血を確認するまで圧迫するようにし、内部の出血をしたと考えられるときは、速やかに病院を受診しましょう。
脳梗塞の予防薬は、長く付き合うものです。
注意すべきことには、しっかりと意識を向けて生活していきましょう。
不安や疑問がある際は、主治医に相談しましょう。