脳梗塞の予防は水分でできる?予防に効果的な理由と1日の摂取量を解説

脳梗塞は、日本人の死因第4位であり、多くの方が発症する病気です。

発症すると後遺症を伴うことが多く、介護が必要な状態になることもあります。

脳梗塞の予防法にはさまざまなものがありますが、中でも「水分摂取」は欠かせない予防策と言われています。

今回は「なぜ脳梗塞の予防が水分でできるのか」を中心に、「水分摂取量の目安」「水分摂取の注意点」についても説明します。

目次

脳梗塞の予防は水分でできる?

なぜ脳梗塞の予防が水分でできるのかというと、脳梗塞は「脱水」によって発症するリスクがあるためです。

脱水とは、身体の水分が失われている状態です。

脱水になると血液の粘稠度が増して、ドロドロの状態になります。

血栓(血液の塊)ができやすくなり、血栓が脳の血管に詰まると脳梗塞を発症します。

脳卒中は冬に多い」と聞くことはないでしょうか。

しかし、夏も冬も脳卒中の発症リスクは変わりません。

脳卒中とは、脳血管疾患の総称です。

冬の脳卒中は「脳出血」と「くも膜下出血」が多い傾向にあります。

気温が下がり寒くなるため、血圧の変化が起こり血管が破れることにより発症します。

対して、夏の脳卒中は「脳梗塞」が多い傾向にあります。

気温・湿度が上昇し、多くの汗をかくため、脱水になり発症します。

脱水による脳梗塞を予防するために、水分摂取が必要となります。

脳梗塞予防になる1日の水分摂取量の目安

脳梗塞予防のための水分摂取量は「体重60㎏の成人男性だと1.2L必要」と言われています。

1.2Lは飲む水の量であり、食事でも水分摂取していることを前提としています。

食事では野菜や煮物、スープなど、あらゆるものから水分を摂取しています。

体重が60㎏より少ない方は、1.0Lを目安とすると良いでしょう。

注意したいのが、気温の変化やスポーツなどで汗をかいたときです。

汗をかいたときは、体内の水分が普段よりも失われています。

目安の量よりも多く水分を摂りましょう。

健康のために水を飲もう講座 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000165091.pdf

水分摂取の注意点

脳梗塞の予防に水分摂取が必要であることを説明しましたが、その際の注意点が5つあります。

  1. こまめに水分をとる
  2. エアコンの効いた部屋でも水分をとる
  3. 水分の温度に注意する
  4. カフェインの利尿作用に注意する
  5. アルコールは水分摂取にならない

順に説明していきます。

こまめに水分をとる

水分をとる際は、一度に多くの量ではなく、こまめにとりましょう。

身体が一度に吸収できる水分量は200ml〜250mlといわれており、それ以上の水分は尿として排泄されます。

以下のように、水をとるタイミングを分けましょう。

・朝起きたとき
・食事のとき
・食事と食事の間
・夜寝る前

特に寝る前は水分を控えがちですが、眠っている間も発汗はしています。

発汗する前に水分をとることがポイントです。

こまめにとることで、効果的に体内に水分が浸透し、脳梗塞の予防になります。

エアコンの効いた部屋でも水分をとる

エアコンの効いた部屋は乾燥しており、身体の水分が少しずつ奪われています。

汗をかかないので水分摂取の必要性を感じない方もいるかもしれませんが、体内の水分は失われています。

意識して水分をとることが必要です。

水分の温度に注意する

冷えた水分を飲むと消化管の刺激になり、下痢、食欲低下、身体のだるさを引き起こします。

加えて、腸は多くのホルモンがあり、身体の調子を整えることや、身体を守る免疫にも深く関わっています。

また、冷たい水を常に飲んでいると、ホルモンバランスがくずれたり免疫機能が落ちたりします。

体調不良の要因となるので、冷たい水分は控えると良いでしょう。

常温や温かい飲み物がおすすめです。

カフェインの利尿作用に注意

カフェインには利尿作用があります。

利尿作用とは身体の水分を減らし、尿をつくり排泄する作用です。

カフェインが含まれる飲み物には、コーヒー、紅茶、緑茶などがあります。

しかし、これらの飲み物は脳梗塞予防になる成分が入っています。

飲んではいけない水分ではありません。

ただし、飲み過ぎによる過度な利尿作用には注意が必要です。

適度な量を摂取しましょう。

多くのカフェインが含まれる飲み物には、エナジードリンクがあります。

コーヒーよりも多量のカフェインが含まれています。

こちらも飲み過ぎには注意しましょう。

アルコール摂取は水分摂取にならない

アルコール摂取は水分摂取にならず、脱水を引き起こす要因となります。

アルコールには利尿作用があり、アルコールの分解には体内の水分を使います。

特に夏場冷たいアルコールを飲むと、水分をとった気分にはなりますが、体内に浸透しません。

ビール10本飲んだら11本分の排尿が出る」と言われるほどです。

アルコールを飲む際は、アルコール以外の水分を摂取し、脱水を予防しましょう。

スポーツドリンクを上手く取り入れよう

汗をかいたときや脱水症状があるときは、スポーツドリンクで水分をとりましょう。

スポーツドリンクには、以下が含まれています。

  1. 汗で失われるミネラル
  2. エネルギーになるブドウ糖

体内に速く浸透し、疲労回復にもなります。

スポーツドリンクではない水分は、摂取してから身体全体に浸透するまで15〜20分かかるといわれています。

脱水の初期症状は、口・喉の渇き、立ちくらみがあります。

初期症状を自覚したら、スポーツドリンクを飲みましょう。

また、ご高齢の方だと症状が自覚しづらいこともあります。

水分をとっていないようであれば、スポーツドリンクをすすめましょう。

スポーツドリンクの飲み過ぎ・持病には注意

スポーツドリンクには糖分・ミネラルが含まれており、飲み過ぎは糖尿病や高血圧などの病気の要因になります。

特に心臓や腎臓の疾患をお持ちの方は、ミネラルや糖分に制限があることもあります。

疾患をお持ちの方がスポーツドリンクを飲むときは、薄めて飲むこともあります。

以下について主治医に相談しましょう。

  • スポーツドリンクを飲んでも良いのか
  • スポーツドリンクを飲む量

脳梗塞予防には適した水分を摂取しよう

今回は「なぜ脳梗塞の予防が水分でできるのか」について紹介しました。

加えて「水分摂取量の目安」「水分摂取の注意点」も説明しました。

必要な水分量は気温や湿度、汗をかいているかなど、状況によっても変わってきます。

ご自身の状態をみながら、水分を摂取しましょう。

また、水分の種類には注意が必要です。

カフェインやアルコールの過度な摂取は控えましょう。

スポーツドリンクを上手く取り入れることで、脱水予防・脱水症状の回復もできます。

水分をこまめにとり、脱水による脳梗塞を予防しましょう。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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