脳ドックのデメリット7つを徹底解説!脳ドックを受けた方がいい人は?

​​近年「脳ドック」という言葉を、頻繁に耳にするようになりました。

そんな脳ドック、デメリットはないのでしょうか?

どのようなデメリットがあるのか把握することは、脳ドックを受けるか受けないかを決める重要なポイントとなります。

そこで今回は、脳ドックのデメリットを解説し、その上でどういう人が脳ドックを受けた方がいいのかご説明していきます。

目次

脳ドック前に知っておきたい7つのデメリット

結論から言うと、脳ドックによるデメリットはあります。

デメリットは、検査方法、かかる時間、副作用、できない可能性、精神的負担があり、具体的には以下の7つが挙げられます。

  1. 閉鎖的環境で検査する
  2. 音がうるさい
  3. 検査時間が長い
  4. 造影剤によるアレルギーの可能性
  5. 磁器による症状の可能性
  6. ペースメーカーや体内金属でできない可能性
  7. 治療しなくても良い疾患を告知される精神的負担

デメリットをひとつずつ解説していきます。

1. 閉鎖的環境で検査する

MRI検査というと、トンネル型の機械を思い浮かべるのではないでしょうか。

頭から足まで機械で覆われるため、閉鎖的な環境が苦手な方にとっては難しいと言われてきました。

しかし、今では開放的なMRI装置を設置する医療機関が増えています。

頭部から肩まで機械で覆われますが、それ以外の部分は開放的となっているため、以前ほど閉鎖的な空間を感じなくなっています。

脳ドックを希望しているけど「閉鎖的な環境が苦手」という方は、どのような機械を設置しているのか医療機関のホームページで確認してみると良いでしょう。

2. 音がうるさい

MRI検査では、ガンガンといった工事現場のような大きな音がします。

負担軽減のため耳栓をすることもありますが、耳栓をしても響きます。

普段から音に敏感な方にとっては、脳ドックの負担が大きくデメリットになるかもしれません。

3. 検査時間が長い

MRIのみの検査は、20〜40分かかります。

それだけでなく、以下も入れると、約2時間以上はかかります。

  • 検査前の説明・体調チェック
  • 着替え
  • 造影剤の注射
  • 検査
  • 検査結果の説明

忙しい方にとっては、デメリットになります。

日程や時間にゆとりを持って、脳ドックの検査を受けられるようにしましょう。

4. 造影剤のアレルギー

脳ドックは検査をする前に、造影剤静脈注射します。

造影剤を注射する理由は、造影剤を注入することによって、血管を立体的に鮮明に映し出せるからです。

造影剤のアレルギーは、痒み、蕁麻疹、くしゃみ、咳、吐き気があります。

重い副作用では、呼吸困難血圧低下も見られます。

これらの症状は主に投与直後に出現するため、造影剤投与後は注意深く観察されます。

アレルギー体質、喘息、腎機能が悪い方は副作用が出現しやすく、脳ドックは大きなデメリットになりうるため、事前に医師に相談しましょう。

5. 磁場酔い

MRI装置は、磁場と電波とコンピュータで体内の画像を作成します。

強力な磁石を用いているので、磁場酔いが出現することもあります。

磁場酔いは、頭痛・めまい・吐き気がありますが、一過性の症状になります。

一過性の症状のため強く不安になることはありませんが、そういった症状があると心に留めておきましょう。

6. ペースメーカーや体内金属でできない可能性

MRIは、ペースメーカー体内金属(ステント、ボルト、避妊リング、金属クリップ)が埋め込まれていると、検査ができない可能性もあります。

現在はMRI対応のペースメーカーが広く普及しています。

ペースメーカーを埋め込まれている方は、ご自身のペースメーカーがMRI対応か、医療機関に確認しましょう。

また、MRI検査の前にはペースメーカーの設定を「MRIモード」に変更しなければいけません。

脳ドックを受ける前に、医師にペースメーカーがあると必ず伝えましょう。

以下がある方も、事前に脳ドックの検査をする医師に相談しましょう。

ステント、ボルト、避妊リング、金属クリップ

7. 異常が見つかる精神的負担

脳ドックにて異常が見つかったとしても、経過観察となることがあります。

検査で分かることは、過去の脳梗塞血管の動脈瘤(こぶのような形に膨れている血管)、脳の萎縮脳腫瘍になります。

過去に発症した脳梗塞が判明しても、現在症状がなければ経過観察となります。

動脈瘤が発見された場合、5㎜より小さいと手術適応ではなく、5㎜以上でも場所によっては経過観察となることもあります。

脳の萎縮があったとしても、イコール認知症ではありません。

認知症であるかどうか診断するには、専門医の「認知症テスト」が必須です。

これらのように何か異常があっても、治療をせず経過観察をすることが多くあります。

検査を終えた後に神経質になり、様々なことを悪い方向へ考え、精神的負担が増えるかもしれません。

脳ドック前は明るく過ごせていたのに、脳ドック後はふさぎ込むことが多くなった、となると精神的負担もデメリットになります。

日本脳ドック学会 脳ドックのガイドライン
https://jbds.jp/guideline/pdf/guideline2008.pdf

脳ドックはデメリットだけでない、メリットもある

ここまで脳ドックのデメリットを解説してきましたが、もちろんメリットもあります。

脳ドックによる病気の早期発見により、治療生活の改善もできます。

以下で具体的に解説していきます。

脳ドックで判明した疾患の治療

くも膜下出血の原因の75%は、脳動脈瘤の破裂です。

脳ドックのMRI検査で、破裂していない脳動脈が発見されることは少なくありません。

その内破裂する割合は、年1%と言われています。

また、脳動脈瘤の破裂による初回のくも膜下出血にて、約40%の方が亡くなる、または重篤な後遺障害が残ると言われています。

脳ドックにより脳動脈瘤が発見され、手術することで、くも膜下出血による様々なリスクの回避ができます。

多くはないですが、脳腫瘍も判別でき、治療をすることもあります。

生活の改善

脳に異常が見つかった場合、悪化しないように生活を改善することができます。

以下のように日常生活を改善し、発症のリスクを減らすことができます。

喫煙をしている方喫煙本数を減らす
塩分が高いものを摂取している方塩分を控えたり、運動をする

厚生労働省 脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000708078.pdf

脳ドックを受けた方がいい人

脳ドックのデメリット・メリットを説明しましたが、脳ドックを受けた方がいい人はいます。

緊急性の高い症状から、家族に脳卒中の方がいる、すでに抱えている疾患がある、脳ドックを受けたら安心という方は脳ドックを受けた方がいいでしょう。

頭痛、視力低下、視野狭窄、吐き気がある人

以下のような症状は、脳の疾患と深く関係しています。

  • 長く続く頭痛
  • 急に視力が低下した
  • 見える範囲が狭くなった
  • 吐き気、嘔吐

緊急性がかなり高いので、近隣の医療機関に速やかに受診しましょう。

家族に脳卒中の既往がある人

親や兄弟・姉妹が脳卒中と診断された場合、家族が発症するリスクも高いです。

いずれ自分も発症するかも、という不安を抱えて過ごすのは精神的負担にもなります。

脳ドックを受けて、今の状態を把握しておくと良いでしょう。

すでに抱えている疾患がある人

検診で以下のリスクがあると指摘された方は、脳疾患のリスクも高いです。

高血圧、高脂血症、糖尿病、高尿酸血症、肥満、動脈硬化

脳ドックを受けることで異常の早期発見、生活改善のきっかけになるかもしれません。

脳ドックを受けた方が安心感を得られる人

脳ドックを受けることで、正常・異常が判明し、異常が発覚した際は治療や生活の改善につながります。

以下のような方は受けた方がいいでしょう。

  • 病気の心配を少しでも減らしたい
  • 異常があるのかなるべく知りたい

脳ドックはデメリットがあり、検査前によく検討することが必要

脳ドックには検査方法やかかる時間、副作用、精神的負担といったデメリットがあります。

しかし、検査をするメリットももちろんあります。

病気の早期発見、早期治療、生活の改善は、健やかな生活を手に入れるために代えがたいものです。

脳ドックによるデメリットを理解し検討したうえで、脳ドックを活用して健康的な生活を手に入れましょう。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

目次