【一次予防と二次予防】脳梗塞の予防で注意すべき食べ物とは?

脳梗塞とは、脳血管が詰まることで発症する、脳血管障害のひとつです。

高血圧や糖尿病などの生活習慣病によって、長期間血管がダメージを受けることで脳梗塞のリスクは高くなります。

だからこそ、脳梗塞を予防していくためには、生活習慣の改善を行い、食事の内容に注意していく必要があります。

そこで今回は、脳梗塞を予防するための基本的な考え方を解説しながら、脳梗塞予防で注意すべき食べ物を紹介していきます。 

目次

脳梗塞の一次予防?二次予防?

一言で脳梗塞の予防といっても、以下によって考え方が異なります。

・脳梗塞の発症を予防する(一次予防)
・脳梗塞の再発を予防する(二次予防)

脳梗塞の発症を予防する(そもそも脳梗塞を発症させない)のが「一次予防」という考え方であり、脳梗塞の再発を予防するのが「二次予防」という考え方です。

一次予防であっても二次予防であっても、脳梗塞の発症を未然に防ぐという大きな目的は同じですが、具体的な対策が異なります。

食べ物や栄養素、運動や生活習慣の改善など、脳梗塞の予防に効果的とされるアプローチにはさまざまなものがありますが、それぞれの方法が一次予防に有効なのか、2次予防に有効なのかを判断していくことも大切です。

血圧管理は脳梗塞予防に重要だが…

血圧を一定水準に抑えてコントロールすることは、脳梗塞を予防するためにとても重要です。

特に、一度でも脳梗塞を発症したことがあるという方の場合、二度と脳梗塞を再発させないように、厳密な血圧管理が必要になります。

血圧が上がってしまうような食べ物を避けるのはもちろん、入浴や激しい運動など、急激な血圧上昇が起こり得るような生活習慣にも十分な注意が必要です。

このように、徹底した血圧管理は脳梗塞予防には欠かせません。 

とはいえ、一度も脳梗塞を発症したことがない人や高血圧を患っていない方にとって「ここまで厳密な血圧管理が必要か?」と言われれば、おそらくそうではないでしょう。

趣味のサウナに通ったり、たまには味付けの濃いものを食べたり、厳密な血圧の管理以上に、ストレスのない生活をすることが重要とも言えます。

つまり、血圧管理が脳梗塞予防に重要ということが明らかであったとしても、一次予防と二次予防とでは、「どこまで厳密に血圧を管理するか」がまったく異なるということになります。

そのため「脳梗塞予防におすすめな食事」として紹介されている食品があったとしても、その食品が一次予防におすすめなのか、二次予防に効果的なのかを見極めていく必要があります。

脳梗塞予防で注意すべき食べ物は?

ここからは実際に脳梗塞予防におすすめの食べ物や栄養素を紹介していきます。

この記事では「脳梗塞を一度でも発症したことがある方」が「脳梗塞を再発させないため」に「二次予防」に効果的な食品を紹介していきます。

減塩は脳梗塞予防に必須

そもそも脳梗塞とは、血管がダメージを受けることによって、脳の血管が閉塞して(詰まって)発症してしまう病気です。

高血圧や糖尿病、脂質異常症(高脂血症・高コレステロール血症)などの生活習慣病によって、じわじわと血管がダメージを受けることで脳梗塞のリスクが高くなります。

そのため、脳梗塞を予防するためには、生活習慣病を予防(治療)することが必須となります。

特に、脳梗塞に直結しやすい生活習慣病としては高血圧があり、高血圧の発症にダイレクトに関わっているのが「塩分」です。

塩分がたっぷり含まれている食生活を続けることで、血圧が上がりやすくなり、最終的に脳梗塞などの大きな疾患を発症してしまう可能性があります。

また、一度でも脳梗塞を発症したことがある方の場合、脳梗塞発症(再発)のリスクはより高くなりますので、「減塩食」と呼ばれるような食事が重要となります。

醤油やソース、タレの使いすぎに注意

減塩と聞くと「塩」を減らせば良いと考えている方も多いのですが、注意すべきは塩だけではありません。

醤油やソース、ドレッシングなどの「味付け用のタレ」にも注意が必要です。

野菜や魚中心の食生活は生活習慣病予防にも効果的であり、脳梗塞予防にもつながると考えられます。

しかし、焼き魚や刺身に大量に醤油をかけたり、サラダにドレッシングを沢山使用して毎日食べているという場合、逆に高血圧のリスクが高くなってしまう可能性も十分あります。

醤油やソースなどを使用する際には、料理にドバドバとかけるのではなく「タレ」を小皿にとって、料理につけて食べるように意識するのが効果的です。 

サラダを食べる際にも、ドレッシングをつけるように意識すると食塩の摂取量を減らすことができます。

味噌汁やスープ類・鍋料理にも注意

味噌汁やスープ、鍋料理にも大量の食塩が含まれている場合が多いです。 

「出汁」には健康に欠かせない栄養素がたっぷりと含まれていますので、健康を保つためには、これらの料理を献立に組み込んでいくことがとてもおすすめです。

ご飯(お米)や麺料理などとは異なり、カロリーや糖質も押さえやすいため、ダイエットや生活習慣病予防にもスープ系の料理がおすすめです。

しかし、たくさんの栄養素が含まれている出汁には、塩分も大量に含まれている可能性が高いです。

健康に良いからと言って出汁をたくさん飲んでしまったり、ダイエット中にお腹を満たすため、何倍も味噌汁やスープを飲んでいると、あっという間に塩分の摂取量がオーバーしてしまいます。

高血圧の予防や脳梗塞の予防で減塩を意識する際には「塩」だけではなく、「タレ」や「出汁」などに含まれている塩分にも注意しておくことが重要です。

脳梗塞予防に重要なのは水分です

脳梗塞予防に重要な食べ物として「」があげられます。

水が食べ物かどうかということはひとまず置いておいて、しっかりと水分を摂取するということが、脳梗塞の予防には非常に重要です。

水分の摂取量が少ないと体内の水分量が少なくなり、体内の水分量が少なくなると、血管内の水分も減少します。

血管内に十分な水分が供給されなくなるため、血液の濃度は濃くなってしまい「血液がドロドロ」になりやすくなります。

ドロドロになった血液は、血管の曲がり角や血管壁(血管内側の壁)のコブなどに引っかかりやすくなり、スムーズに血管内を流れることができなくなってしまいます。

その結果、血液が詰まりやすくなってしまい、最悪の場合、脳梗塞という形で表面化してしまう可能性がある、ということになります。 

だからこそ、脳梗塞予防には十分な水分摂取が必要であり「水を飲む」という習慣を作っておくことが大切です。

腎臓に障害がある方など、水分制限が必要な場合もありますので、ご自身に合った栄養指導を受けていただくことがおすすめです。

ビールやアルコールに注意 

水の代わりにビールを飲んでいるから大丈夫と考えている方はご注意ください。

ビールなどのアルコールを代謝するためには、大量の水が必要になります。

ビールには利尿作用もあり、飲めば飲むほど、むしろ水分が減っていってしまう可能性もあります。

サウナで汗をかいたあとにビールで水分補給をするというのは、血管内を急激に脱水させてしまうリスクがあるため、脳梗塞予防という観点からはおすすめできません。 

ビールを飲んだ分、水で水分補給することも忘れずに行っていただくのが重要です。

脳梗塞の予防に注意が必要な食べ物は?

脳梗塞は生活習慣病に関連して発症する疾患のひとつです。

脳梗塞を予防するためには生活習慣病を予防する必要があり、生活習慣病予防のためには食生活の改善が欠かせません。

また、今回ご紹介したように、脳梗塞の発症を予防するのか、脳梗塞の再発を予防するのかによってアプローチは異なります。

だからこそ、減塩や水分補給など、基本的な対策を行いつつ、お一人おひとりの体調や状態に合った栄養サポートを受けることが大切と言えます。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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