脳ドックの受診頻度は?年齢とメリット、施設を選ぶポイントも紹介

脳血管疾患の有無やリスクが確認できる脳ドック。

脳ドックは通常の健康診断で行われることがないため「どれくらいの頻度で受けるの?」と疑問を抱いている方もいるでしょう。

今回は「脳ドックを受ける頻度はどのくらい?」という疑問にお答えしながら、「脳ドックが推奨される年齢」「脳ドックを受けるメリットと施設を選ぶポイント」について紹介します。

目次

脳ドックを受ける頻度は?

脳ドックの受診頻度としては「2〜3年に1回」が推奨とされています。

しかし、脳血管疾患の発症リスクが高い方は、主治医から1年に1回など短い間隔での脳ドックを勧められることがあります。

脳血管の発症リスクが高い方は以下になります。

脳血管の発症リスクが高い方
  • 生活習慣病がある方
  • 多量の飲酒や喫煙の習慣がある方
  • 家族に脳血管疾患の既往がある方
  • 過去の脳ドックで異常が見つかった方

生活習慣病は、高血圧・高脂血症・高コレステロール血症・高血糖・肥満などがあり、健康診断で指摘されることが多いです。

脳梗塞の主な要因は、生活習慣病による動脈硬化といわれています。

また、多量の飲酒や喫煙をされている方も、生活習慣病や動脈硬化を発症していることが多く、脳血管疾患の発症リスクが高いです。

そして、家族に脳血管疾患の既往がある方は、脳血管疾患の発症リスクが高いといわれています。

祖父母・両親・ご兄弟といった血縁者に脳血管疾患の方がいる場合は、脳ドックの受診が推奨されます。

なお、過去の脳ドックで異常が見つかり治療をしている方は、かかりつけの病院にて定期的に検査をすることがあるので、主治医に確認してみましょう。

脳ドックが推奨される年齢

脳ドックは、40歳以上の方に推奨されています。

それはなぜかというと、脳血管疾患の発症リスクは年齢とともに高まり、脳血管疾患を発症した多くの方が40代以上ということが明らかになっているからです。

しかし、20代、30代の方でも、多くはないですが脳血管疾患を発症する方はいます。

上記の「脳ドックを受ける頻度は?」の項目で紹介した「脳血管疾患の発症リスクが高い方」に該当する場合は、脳ドックを受診すると良いでしょう。

また、年齢問わず「脳ドックを受けたい」と思われる方は受診してもかまいません。

なお、脳血管疾患は日本人の死因の第4位であり、令和3年には10万4,588人もの方が、脳血管疾患により亡くなりました。

私たちにとって、脳血管疾患は身近な病気であることが分かります。

平成30年度 脳血管疾患患者数の状況
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/18/backdata/01-01-02-04.html

厚生労働省 令和3(2021)年人口動態統計月法年計(概数)の概況 結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai21/dl/gaikyouR3.pdf

脳ドックを受けるメリット

ここまで、脳ドックを受ける頻度と推奨される年齢について紹介しました。

脳ドックを受けると、実際どのようなメリットがあるのでしょうか。

脳ドックには、以下のようなメリットがあります。

  1. 異常の早期発見・必要時治療ができる
  2. リスクが分かり予防行動がとれる

メリットを具体的に紹介します。

異常の早期発見・必要時治療ができる

脳ドックを受けることにより、過去の脳梗塞や脳出血、脳動脈瘤(血管がこぶのようになったもの)といった脳血管疾患の有無が分かります。

また、多くはないですが、脳腫瘍が見つかることがあります。

過去の脳梗塞や脳出血は、症状がなく生活に支障がなければ、特に治療はしません。

脳動脈瘤が明らかになった場合、サイズや位置によっては専門の医療施設にて精密検査が必要です。

脳動脈瘤は、サイズが大きいほど破裂するリスクが高く、破裂・出血すると生命に関わる危険があります。

脳腫瘍も同じく精密検査をします。

そして、精密検査の結果によっては治療をすることがあります。

脳ドックにより、脳血管疾患の早期発見・早期治療ができることはメリットです。

リスクが分かり予防行動がとれる

脳ドックは脳血管疾患の有無に加えて、脳血管疾患にかかるリスクが分かります。

過去の脳梗塞や脳出血が明らかになった方は、再度脳梗塞や脳出血となるリスクが高いです。

また、脳ドックで行われる検査のひとつに頸動脈エコーがあり、首にある動脈をエコーで検査します。

頸動脈の血管の厚さ・血液の流れを確認することができ、動脈硬化の有無が確認可能です。

動脈硬化は脳梗塞の主な発症要因といわれており、動脈硬化が分かった場合は、生活習慣を見直すきっかけになります。

以下の生活習慣は、動脈硬化を引き起こす要因となります。

動脈硬化を引き起こす生活習慣
  • 食べ過ぎ
  • 栄養バランスの偏り(炭水化物だけ、スイーツだけ)
  • 過度な飲酒
  • 塩分の摂りすぎ
  • 運動不足
  • ストレス

現在、上記の生活習慣に当てはまっていても、脳血管疾患のリスクが高いと実感がわかないかもしれません。

しかし、脳ドックの頸動脈エコーにて現在の血管状態が分かると、予防行動ができるきっかけとなります。

脳ドックを受ける医療施設を選ぶポイント

脳ドックは多くの医療施設で行っており「どの医療施設で受けようか」と迷われる方もいるかもしれません。

そこで、この段落では脳ドックを受ける医療施設を選ぶポイントを紹介します。

  1. 通いやすさ
  2. 検査内容
  3. 料金

医療施設を選ぶ3つのポイントを順に紹介します。

1.通いやすさ

脳ドックを受ける医療施設が「自宅から通いやすい場所にあるか」は重要なポイントです。

脳ドックの検査は、おおよそ1時間半~3時間かかり、短時間ではありません。

そして、異常があった場合は、脳ドックを受けた医療施設にて、精密検査や治療をすることがあります。

異常がない場合でも、今後も同じ医療施設にて定期的に検査を受けた方がスムーズに検査ができます。

2.検査内容

脳ドックの基本的な検査内容は、脳MRI・MRA検査、頸動脈エコーがあります。

脳MRI動脈がこぶのようになった脳動脈瘤や脳血管狭窄の有無が確認できる
脳MRA脳の断面を見ることができ、過去の脳梗塞や脳出血、脳腫瘍の有無が確認できる
頸動脈エコー首の動脈をエコーで確認し、動脈硬化の有無や進行度を確認する

脳MRIと脳MRAの検査は、一緒に行います。

なお、脳ドックを行う医療機関によって、さらに詳しい検査をする施設や、認知症検査をする施設もあります。

各医療施設の脳ドックの内容を比較し、自分の希望に合う施設を選択しましょう。

3.料金

脳ドックは自由診療であり、保険適応になりません。

すなわち、脳ドックを受診する場合は、全額自己負担ということになります。

自由診療の金額は、各医療施設によって設定ができるため、大きく異なります。

受けたい検査内容と共に「支払うことができる料金か」予算面もしっかり検討しましょう。

定期的に脳ドックを受診しよう

今回は「脳ドックを受ける頻度」について中心に「推奨される年齢」や「脳ドックを受けるメリットと施設を選ぶポイント」について紹介しました。

脳ドックの受診頻度と年齢は「2〜3年に1回」「40歳以上」が推奨とされています。

しかし、これは脳血管疾患のリスクが低い方の目安になります。

脳血管疾患のリスクが高い方は、主治医によって1年に1回など、短い間隔での脳ドックを勧められることがあります。

脳ドックのメリットは「早期発見・早期治療ができること」「予防行動ができること」です。

これらのメリットは、長く健康的な生活をおくるためにも大切なことでしょう。

今回の記事で紹介した医療施設を選ぶポイントをふまえ、自分に合った医療施設を選びましょう。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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