脳梗塞は動脈硬化が進んで脳の血管が閉塞したり、心臓にできた血栓によって脳の血管が詰まることで起こります。
この脳梗塞の危険因子は、減塩などの食事生活や運動習慣、禁煙など基本的な生活習慣の見直しによって発症のリスクを軽減できるとされています。
さらに、この他にも脳梗塞を予防できる方法として「血管マッサージ」によって血流を健康的な状態にするという手法があります。
今回は、血管の状態の良し悪しの判断基準でもある「血管年齢」について触れながら「血管マッサージによる脳梗塞の予防法」についてご紹介します。
血管の老化は脳梗塞のリスクが高まる
血管年齢は、血管の硬さやしなやかさを基準に血管の年齢、老化の度合いを表すものです。
動脈が健康な状態だと、血管内壁がなめらかで、滞りなく血液が流れます。
これに対して、偏った食生活や運動不足、ストレス、喫煙などの生活習慣の乱れによって、血管の内壁が傷ついたり、弾力性が低下して硬くなると、血液の流れが滞るようになり、血管年齢の老化や動脈硬化を生じるようになります。
ここで注意したいのが、血管年齢の老化が進行して血管のしなやかさが失われても、自覚症状は特に現れないということです。
気づかないうちに、ある日突然脳梗塞や心筋梗塞など、命に関わる重篤な疾患を引き起こす危険があるのです。
つまり、身体の健康状態を保つには、血管年齢の老化を進行させないことが大切です。
ところが最近、中高年だけでなく若い人でも血管年齢が高い人が増えています。
30〜40代で心臓の手術を受けた人の血管年齢は、およそ60〜70代と、実年齢に対して30歳近く老化していることが分かっています。
なぜ血管年齢は老化するのか
血管年齢が高くなる原因は、加齢だけではなく、生活習慣の乱れも考えられます。
具体的には、偏った食生活や運動不足、ストレス、喫煙、睡眠不足などが影響し、実年齢に対して血管年齢の老化が進行することが明らかになっています。
①偏った食生活
塩分過多の食事では、血液のナトリウム濃度が上昇し、浸透圧の影響から血液の量が増えることで、血管内壁にかかる圧力が高まり、高血圧になります。
他にも脂質や糖質の摂り過ぎによってドロドロになった血液が、血管内壁を傷付けるリスクもあります。
②運動不足
運動不足によって”血液を送り出すポンプの役割”を担っている心臓の働きが鈍くなり、血液の流れが滞りやすくなります。
日常的に血管への刺激がない場合も、血管内皮細胞の衰えを招くことになります。
運動不足から肥満になると、血管にかかる負担が大きくなってしまうので注意が必要です。
③ストレス
ストレスから自律神経が乱れると、交感神経が優位になり、血圧が上がりやすくなります。
継続的なストレスにさらされていると、血圧の負荷が高まるため、注意が必要です。
④喫煙
タバコには有害物質が含まれており、血管を傷付ける可能性があります。
また、ニコチンは交感神経を優位にさせるとされ、血圧上昇を引き起こしやすくなります。
⑤睡眠不足
睡眠不足では疲労感が解消されず、心身のストレス値が高くなります。
これにより、二次的に血圧へ悪影響が及ぶので注意が必要です。
血管年齢を若返らせるには
老化が進行した血管を若返らせるには、老化の原因となる生活習慣病を治療・改善し、動脈硬化を予防することが大切です。
日常生活の中から、血管年齢に影響を及ぼす恐れのある要素を一つずつ取り除いていきましょう。
①バランスの良い食生活
基本的には、減塩によって血管への負担を軽減することが大切です。
成人の一日あたりの食塩摂取の目安は、以下のとおりです。
男性 | 7.5g未満 |
女性 | 6.5g未満 |
近年、スーパーでもよく見かけるようになった減塩調味料を活用したり、料理では酸味や辛味を駆使することで塩分を減らすなど、工夫をしましょう。
野菜・果物類は、カリウムや食物繊維を積極的に摂取でき、余分な塩分や脂質の吸収を抑えてくれるので、積極的に摂るように心がけましょう。
ただし、腎臓病など食事制限をされている場合には、摂取を控える必要があります。
②運動習慣を身につける
ウォーキングやジョギングのような有酸素運動には血行を促進する効果があります。
血管内皮細胞に対して適度な刺激を与え、血管を若返らせる効果を得られます。
激しい運動ではなく、適度に継続できるような運動習慣を身につけましょう。
③その他の生活習慣
喫煙者はなるべく禁煙を目指しましょう。
自身だけでなく、副流煙によって周囲の人へも悪影響を及ぼすことがあります。
また、睡眠不足にも注意を払い、日頃からストレスを溜めないようにしましょう。
血管の若返り物資として一酸化炭素が注目されている
血管の老化を防ぐ方法として、近年では生活習慣の改善だけでなく、血液中の一酸化炭素にも注目が集まっています。
ある研究では、血液中の一酸化炭素の濃度が高まると、血管が柔軟になり、血圧が正常化することが判明しています。
また、ノーベル生理学・医学賞を受賞した’98年の研究「一酸化窒素の生体内機能について」では、一酸化炭素が血管の若返り物質として認識されるようになりました。
さらに、動脈の内皮細胞で一酸化炭素が多く生成されることも判明しました。
生成される一酸化炭素の量を増やすには、血流量の増加を図ることが効果的です。
そのためには、運動や入浴、マッサージによって血管に刺激を与えることが有用です。
“もみほぐし“などの刺激を血管に与えることで、血液量とともに一酸化炭素を増加させます。
マッサージによって一酸化炭素量が増え、脳梗塞や動脈硬化の予防に効果的
若返り効果のある一酸化炭素は動脈の中に多く含まれており、もみほぐしマッサージなどで血管に刺激を与えることで、血液量とともに一酸化炭素量を増やすことが可能であると、前項でご紹介しました。
他にもマッサージを行うことで、全身を巡るリンパの流れを改善する効果があります。
リンパの流れが良くなると、血管近くにある老廃物が排出されるようになり、血管に掛けられている圧力が減少されます。
これにより血管のしなやかさが改善し、血圧の上昇を防ぐことができます。
すなわち、マッサージは動脈硬化や脳梗塞のリスクを軽減する有効な予防策といえます。
マッサージの効果を一番得られるのは、入浴後です。
日常に習慣として取り入れましょう。
生活習慣の見直しだけでなく、マッサージで脳梗塞を予防しよう
脳梗塞の予防には血管の健康状態を保ち、血管年齢の老化を防ぐことが大切です。
生活習慣の見直しだけでなく、マッサージでも血管年齢の老化を防ぐことができます。
日常生活にマッサージを取り入れて、積極的に脳梗塞の予防に努めましょう。