脳ドックは医療費控除の対象にならない?場合によっては認められるケースも!?

日本では医療機関を受診する際に、保険診療自由診療の2種類の診療方法があります。

このうち人間ドックや脳ドックは、自由診療に分類されます。

なぜなら、治療を必要としない、病気を予防するために行われるものだからです。

健康な状態で診療される際、保険診療の適応ではなく、自由診療として費用は全額自己負担となります。

検査に使用する機器や項目によって費用は大きく異なり、ハイスペックであるほど高額な費用が必要になります。

このように脳ドックの費用は決して安くはありません。

医療費控除の対象外となると自己負担額が高額になりやすく、脳ドックを受ける必要性を感じていても、気軽に受診できない人が多いのではないでしょうか。

ところが、脳ドックを受けた際に、治療が必要な大きな病気が発見され、実際に入院や手術などの治療を受けた場合、検査費用を含めて医療費控除の対象として認められることを皆さんご存知でしょうか?

今回は「脳ドックを受診した際に医療費控除になる対象」についてご紹介します。

目次

脳ドックで大きな病気が発見されると、医療費控除の対象になる!

押さえておくべきポイントとしては、原則的には脳ドックは自由診療であり、保険や医療費控除の対象外になるということです。

しかし、脳ドックによって大きな病気が見つかり、医者の判断で治療が開始された場合には、治療に至る経緯として行われた脳ドックの検査費用も医療費控除の対象として認められます。

医療費控除の対象となる検査結果とは

脳ドックの検査結果として、以下に分類された場合、医療費控除の対象になる可能性が高いです。

  • 要治療・通院
  • 要再検査
  • 要精密検査

厳密にいえば、治療が行われないと医療費控除の対象にはならないので、再検査を行った結果「経過観察」となると検査費用は医療費控除の対象外のまま、全額自己負担になります。

脳ドックで見つかる可能性のある、治療が必要な大きな疾患には「脳血管障害」「脳腫瘍」などがあり、脳に関する病気以外には「生活習慣病」「動脈硬化」「高血圧」があります。

しかし、こういった生活習慣病に対して、大きな疾患と判断するか否かについて、明確な基準はありません。

医療費控除の対象となるかどうか、確定申告する前に税務署へ確認できると良いでしょう。

脳ドック費用について、医療費控除の対象になれば確定申告書に記載する

もしも、脳ドックを受診したことにより大きな病気が見つかり、治療が必要と判断された場合に、脳ドックの検査費用は医療費控除の対象として認められます。

治療が始まった際に、通院や入院・手術にかかった費用に加えて、脳ドックの検査費用も医療費控除の対象として確定申告を行います。

条件に当てはまった人は、脳ドックの費用も忘れずに、確定申告書に記載するようにしましょう。

医療費控除は生計が同一の家族も対象になる

確定申告の対象については、生計が同一の家族も含まれます。

自分と家族全員の1月から12月までにかかった医療費の自己負担額合計が10万円以上であれば、確定申告することができます。

所得金額が200万円未満の家庭の場合は、実質自己負担が所得金額の5%であれば、確定申告することが可能です。

医療費控除については、200万円を上限としていますので、確定申告は節税のためにも行いましょう。

ただし、保険金によって医療費が補填できる場合には、その分を差し引かなくてはなりませんので注意してください。

医療費控除については証明書が必要!領収書は捨てずに保管する

医療費控除について確定申告する場合、必ず費用を証明するものが必要になります。

そのため、医療機関を受診した際にもらった領収書は捨てずに保管し、明細書に記載するようにしましょう。

給与取得者は年末調整では申告できない!

毎年、会社員などの給与所得者は年末調整を行っています。

しかし、年末調整では医療費控除について手続きすることができません。

そのため、手間ではありますが、各自で年明け後に確定申告を行う必要があります。

確定申告を行わなかった場合、医療費控除を受けることができずに、高額の脳ドック費用や治療費、通院・入院・手術費用を自己負担したままになってしまいます。

保険適応となる脳ドックと同様の検査

脳ドックは自由診療に分類され、保険適応外であると先述しました。

しかし、場合によっては脳ドックと同様の検査を、保険適応の診療として受けることができるケースがあります。

ここで注意していただきたいのは、脳ドック自体が保険適応になるわけではないという点です。

また、保険診療の適応となっても、自己負担額は1割から3割と個々に異なります。

ケース1:脳ドックで「精密検査」が必要と判断された場合

脳ドックを受診し、検査結果として脳血管障害の疑いがある所見が見つかった場合は、精密検査の費用すべて保険診療となります。

脳ドックの検査結果で、以下に分類され、詳細に調べる必要があると判断された際には、MRAやMRI、CTなどの検査を医師の指示で行うことがあります。

  • 要治療・通院
  • 要再検査
  • 要精密検査

このとき行われる脳の状態について調べる検査は、脳ドックの検査と同様であり、保険診療として認められるということです。

ケース2:すでに異変が生じており、診察の際に脳について調べる必要がある場合

以下のような何らかの異常があり、病院に受診したとします。

  • 手足がしびれている
  • ろれつが回らない
  • まっすぐに歩けない

このとき、診療の際に医師が「脳血管障害」「動脈硬化」の所見があると判断し、精査するためにMRAやMRI、CTなどの検査を行うよう指示することがあります。

この場合も、医師の判断によって必要と認められた検査に該当しますので、保険適応となります。

すでに「手足のしびれ」「ろれつが回らない」などの症状がみられる場合は、脳ドックよりも病院受診を優先させましょう。

脳ドックが医療費控除の対象となる場合もある

健康的な状態を維持するため、重篤な病気を予防するために脳ドックを受診する必要性については、多くの人が理解しています。

しかし、脳ドックは自由診療に分類され、高額な費用が自己負担となってしまうため、躊躇してしまう人もいるでしょう。

しかし、実際に脳ドックを受けて治療が必要な疾患が見つかった場合、医療費控除の対象として認められます。

その際は、確定申告を忘れずに行いましょう。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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