脳卒中を未然に予防する方法はあるの?脳卒中の予防法を徹底解説。

脳卒中は、脳内の血管に異常が生じることで、適切な血流や栄養素の運搬が滞ってしまい、脳に障害が残る病気です。

日本人の死因の約7%を占める病気です。

脳卒中の影響で麻痺や言語障害などが起こり、介護が必要になるケースが高いことから、高齢社会の日本で問題意識が高まりつつあります。

脳卒中は誰もが発症する可能性のある病気ですが、未然に予防する方法もいくつかあります。

今回は脳卒中を予防する方法について解説します。

健康な老後のためにも、脳卒中を未然に防ぐ方法が知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

脳卒中はどんな病気?

脳卒中はなんらかの要因で、血管が固くなる「動脈硬化」が起こることで引き起こされる病気です。

医学的には「急性期脳血管障害」と呼ばれ、以下の3つの症状の総称を意味する言葉です。

  1. 脳内の血管が詰まることで起こる、脳梗塞
  2. 脳の内部にある血管から出血する、脳出血
  3. 脳の表面にある血管から出血する、くも膜下出血

2021年に行われた厚生労働省の調査によると、脳卒中は「悪性新生物(がん)」「心疾患」「老衰」に次いで、日本人の死因の4位です。

10万人以上の方が、脳血管疾患で命を落としています。

令和3年(2021) 人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai21/dl/gaikyouR3.pdf

どんな人が脳卒中になりやすいの?

脳卒中は、脳内の血液運搬に異常が生じることで引き起こされる病気です。

血管の内部や血液の流れを阻害するような生活習慣がある方が、脳卒中リスクが高いことが分かっています。

現在の研究で脳卒中になりやすいと分かっているのは、下記に該当する方です。

  • 高血圧や糖尿病と診断されている方
  • 肥満や脂質異常症と診断された方
  • 喫煙や過度の飲酒傾向がある方
  • 不整脈や弁膜症、心筋梗塞のある方
  • 適度な運動をする習慣がない方

生活習慣とは直接関係ありませんが、以下の方も血液の流れに異常をきたしやすいことから、脳卒中を発症しやすいとされています。

  • 65歳以上の方
  • 脳卒中を発症した経歴をもつ親族がいる方

生活習慣病が関係する?脳卒中になりやすい人とは(ほどがや脳神経外科クリニック)
https://hodogaya-nouge.com/pdf/doctor_article05.pdf

どうして家族に脳卒中患者がいると、発症のリスクが高まるの?

脳卒中の中でも、特にくも膜下出血を引き起こす可能性がある要因のひとつに「脳動脈瘤」という小さなふくらみが挙げられます。

この脳動脈瘤は、破裂すると脳卒中や突然死につながるリスクをもってますが、特に遺伝的要因で脳動脈瘤が形成されやすいという傾向があることが分かっています。

脳動脈瘤が要因のくも膜下出血発症者が身内にいる場合は、注意が必要といわれています。

その他の脳卒中は、明確な遺伝要素がはっきり分かっているわけではありません。

しかし、特に同居の家族の場合は、塩分の多い食事を食べる習慣があるなど、生活習慣が似通っているケースが多く、家族全員が脳卒中発症のリスクが大きい生活を送っている可能性があります。

脳卒中の予防・治療について(いしもと脳神経外科・内科)
https://bboffice.jp/stroke/index.html

脳卒中を未然に予防する方法はあるの?

脳卒中は脳内や血管内で起こる病気なので、自分自身で症状の出現を確認することが難しい病気です。

そのため、普段の生活から、脳卒中を未然に防ぐ方法を実践することで、脳卒中を発症するリスクを極力抑えていく必要があります。

食事内容の見直し

脳卒中を発症するリスクを軽減する上で最も大切なことが、生活習慣の見直しです。

以下のような場合は、血管に負担がかかりやすくなったり、詰まりやすくなったりします。

  • 塩分が多めの食事が好き
  • 糖尿病や高コレステロールと診断されるほど、高カロリーな食事を好んでいる

脳に血液を運ぶ動脈に負荷がかかると、脳卒中を発症するリスクがとても高くなるので、毎日の食事内容を見直していきましょう。

以下のような栄養素は、特に血液をサラサラにしてくれる効果があるとされているので、積極的に食事に取り入れるとよいでしょう。

  • 青魚に含まれる「EPA」という栄養素
  • 抗酸化作用のある緑黄色野菜

また、食事内容を見直すとともに適度な運動習慣を身につけておくと、より動脈硬化のリスクも軽減され、健康的に毎日を過ごすことができるのでおすすめです。

飲酒や喫煙習慣の見直し

大量の飲酒や喫煙の習慣は、血管の異常の原因となりやすいです。

これは断続的なアルコール摂取によって、血管収縮が起こることで引き起こされる血圧の上昇や、ニコチンが原因の血中酸素濃度の低下が、血管の働きを滞らせてしまうからです。

飲酒も喫煙も、適度にたしなむ程度であれば脳卒中への影響はほとんどないと考えられます。

しかし、未然に予防する方法としては、飲酒習慣や喫煙習慣を見直したほうがよいでしょう。

定期的に脳ドックを受ける

生活習慣や飲酒・喫煙の習慣を見直すことによって、脳卒中を未然に予防することはとても大切です。

しかし、現在の脳や動脈の状態を把握しておくことも、脳卒中を未然に予防する方法のひとつです。

脳ドックでは頭部の検査を行い、脳に血液を運ぶ首の大動脈などを確認します。

1〜2年に1度は、しっかりと脳ドックを受けておくことで、現在の脳の状況を確認したり、脳卒中につながりそうな血管の異常をいち早く把握することができます。

万が一の場合が考えられるときには、速やかに医師による処方薬の処方や外科的措置をお願いすることができるので、定期的に脳ドックは受診しておきましょう。

脳ドックは何歳から受けるといいの?

脳卒中を未然に予防する方法のひとつである脳ドックですが、人間ドックには含まれておらず、任意のオプション検査となります。

脳卒中をはじめとした脳血管疾患は、40代以降で発症のリスクが高いことがわかっています。

40歳頃を目安に、一度脳ドックを受診されることをおすすめします。

40代に達していなくても、近親者に脳卒中の経験者がいる場合や、頭痛などの自覚症状がある方は、なるべく早く脳ドックを受けてみると良いでしょう。

脳卒中を未然に防ぐ方法を学んで脳卒中の発症リスクを軽減しよう

本記事では、脳卒中を発症する要因や傾向を解説しながら、脳卒中を未然に防ぐ方法についてご紹介しました。

脳卒中は死亡のリスクもあり、また発症後に寝たきりの状態になったり後遺症が残ったりと、介護が必要になる可能性もある病気です。

脳卒中の特性を理解した上で、日頃から脳卒中になりにくい生活を心がけ、未然に防ぐ方法を実践していきましょう。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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