脳梗塞のリハビリ方法~具体的なリハビリ方法を注意点・症状も合わせて紹介~

脳梗塞を発症すると後遺症を伴うことが多く、リハビリが必要となります。

リハビリにて完全に機能が回復するわけではありませんが、リハビリをすることで少しずつ機能が回復します。

脳梗塞のリハビリは身体の状態をみながら、医師の指示のもと、専門のリハビリスタッフが行います。

脳梗塞の後遺症は発症した方によって様々で、症状に対する適切なリハビリが必要となります。

今回は、脳梗塞の症状に合わせたリハビリ方法について解説します。

目次

脳梗塞の3つのリハビリ方法

脳梗塞のリハビリでは、症状に合わせたリハビリ方法を選択する必要があります。

脳梗塞のリハビリ方法は、以下の3つの項目に分類することができます。

①身体を動かす基本のリハビリ方法
②日常生活動作に基づいたリハビリ方法
③嚥下(飲み込み)、言葉のリハビリ方法

今回は3つの項目について、順を追って説明していきます。

身体を動かす基本のリハビリ方法

身体を動かす基本のリハビリは、退院後自宅で生活するために必要な動きです。

基本のリハビリは以下の4つになります。

1. 関節可動域のリハビリ
2. 起き上がりのリハビリ
3. 座位のリハビリ
4. 歩行のリハビリ

順に説明していきます。

1. 関節可動域のリハビリ方法

脳梗塞発症直後は、病状観察のため、ベッド上で安静にしておく必要があります。

その上で、全身状態をみながら、ベッド上でのリハビリを開始します。

まずは、ベッドに横になった状態で、理学療法士のサポートを受けながら、身体の各関節を動かします。

関節を動かす際は、身体の状態に合わせて、以下の2種類があります。

① 理学療法士が動かす(他動運動)
② リハビリを受けている方が動かす(自動運動)

関節を動かす部位は、首・肩・肘・前腕・手首・指・股関節・膝・足首・足指です。

ベッドで過ごす時間が増えると、関節を動かさなくなるため、関節が徐々に固まっていきます。

そうすると、関節が以前のように動かすことができなくなります。

関節が動かなくなると日常生活動作の妨げとなり、回復が遅くなるため、このリハビリは非常に大切な役割を果たします。

2. 起き上がりのリハビリ方法

ベッド上でのリハビリにおいて、バイタルサイン(体温・血圧・脈・呼吸数・酸素飽和度)が安定していたら、起き上がりのリハビリに進みます。

起き上がりのリハビリは、ベッドで横になった状態から起き上がり、座るところまでのリハビリです。

座る姿勢を取る際は、ベッドの片方(右か左)に両足をおろした状態で座ります。

身体の片側が麻痺となっている場合は、麻痺の無い側に両足をおろして座るようにしましょう。

座位の手順は以下になります。

①ベッド柵につかまり仰向けから横向きになる。
※横向きの顔の方向は両足を降ろす方向

②横向きの状態で両足をベッドの下に降ろす。
※片側の足に麻痺がある際は、麻痺のない足で麻痺のある足首の下を支えます。

③麻痺の無い側の肘でベッドを押し、上半身を起こし座位になる。
※ポイントは、顔をへそに向けながら起き上がることです。身体の重心を意識することで起き上がりやすくなります。

3. 座位のリハビリ方法

起き上がることができたら、座位のリハビリをします。

麻痺の状態によっては、身体が片側に傾くことがあるので注意しましょう。

傾く場合は、安定するようにクッションを置きます。

座位のバランスが上手く保てているのか、どのくらいの時間座位を保てるのか確認します。

4. 歩行のリハビリ方法

歩行のリハビリは、片側に麻痺がある場合、麻痺の無い側で手すりを持ち、歩行します。

また、身体の状態によっては、杖や歩行器といった補助具を使うことがあります。

歩行が難しい場合は車いすを使用します。

全身を使って歩けているかどうか、転ぶリスクはないかを確認し、より安全な歩行ができるように注意しましょう。

安定して歩行ができたら、徐々に歩行距離を伸ばしていきます。

日常生活動作に基づいたリハビリ方法

続いて、自宅での生活を想定した日常生活のリハビリについて紹介します。

日常生活動作に基づいたリハビリは、身体を動かす基本のリハビリよりも、細かい動きをする必要があります。

具体的なリハビリ方法は、主に以下の4つです。

1. 着替えのリハビリ
2. 排泄のリハビリ
3. 入浴のリハビリ
4. 食事動作のリハビリ

4つの項目を順に説明していきます。

1. 着替えのリハビリ方法

着替えのリハビリは、主に座った状態で行います。

麻痺がある場合、上半身の服は被りの服ではなく、前にボタンがついている前開きの服を用意します。

服を着る際は、麻痺のある側に袖を通してから、麻痺の無い側に袖を通します。

麻痺の無い側の関節の可動域が広くないと、袖を通すことが難しくなります。

そのため、可動域が狭い場合は、まず可動域を広げるリハビリをします。

服を脱ぐ際の順序は逆で、麻痺の無い側から袖を抜きます。

ズボンの着替えも上半身の着替えと同じように、履く際は麻痺のある側から、脱ぐ際は麻痺の無い側から脱ぎます。

ズボンの着替えは、身体の状態によって立ち上がることや、座りながら行うこともあります。

全身の身体を大きく動かすため、転ばないように注意が必要です。

2. 排泄のリハビリ方法

排泄のリハビリは、以下の一連の動作になります。

・トイレに入る
・ズボン、下着を脱ぐ
・座る
・排泄する
・拭く
・流す
・下着、ズボンを履く
・トイレから出る

方向転換も必要で、複雑な動作が多いため、ひとつひとつの動作を確認しながら行います。

トイレの手すりの位置を確認し、手すりを掴みながら、安全に動けるリハビリをすることがポイントです。

3. 入浴のリハビリ方法

入浴のリハビリは、以下の一連の動作になります。

・脱衣所での服の着脱
・浴室への移動
・浴室の椅子に座る
・身体を洗う
・浴槽につかる
・浴槽から出る
・身体を拭く

脱衣所と浴室の間に段差があることが多いので、つまずかないように注意が必要です。

浴室は濡れて滑りやすく転倒の危険があるので、常に手すりに掴まりながら移動しましょう。

4. 食事動作のリハビリ方法

食事動作のリハビリは、手先の細かい動きが必要となります。

箸が持てない場合は、スプーンやフォークを使用します。

必要に応じて、補助つきの箸やスプーンもありますので活用してください。

半側空間無視がある場合は、食事の片側を残しやすい傾向にあります。

介助者が器の位置を変えるサポートをしてあげましょう。

嚥下(飲み込み)、言語のリハビリ方法

嚥下は「飲み込む機能」のことを指し、食事をとるために必須の機能です。

また、言語のリハビリは人とコミュニケーションをはかるためには必要なリハビリです。

順に説明していきます。

1. 嚥下(飲み込み)のリハビリ方法

脳梗塞の後遺症には、飲み込みづらさ・むせ込みもあります。

むせ込みは、食べ物が食道ではなく気管に入った際、気管の外に出そうとする防御反応です。

上手く食事が食道に運べない状態なので、誤嚥性肺炎の要因となります。

リハビリでは、口や舌、頬、首を動かし、嚥下機能を刺激することが必要となります。

顔や首のマッサージも有効です。

むせがある場合は、水分にトロミをつけたり、食事を軟らかい内容に変更したりすることで、むせなく飲み込むことができます。

トロミの程度や食事の内容は、症状によって適切な内容が異なります。

嚥下の状態を見ながら、合う形態に変更していきましょう。

2. 言語のリハビリ方法

失語症には、以下の2つがあります。

①言葉の理解はできても発語ができない運動性失語(ブローカ失語)
②話すことはできても理解ができない感覚性失語(ウェルニッケ失語)

運動性失語のリハビリは、物や絵を見せて名称を答えてもらったり、五十音の発声や歌を歌うなどの練習をしたりします。

感覚性失語のリハビリでは「12月は何がある?」の問いに「クリスマス」と答えるなど、質問に対して答えを関連付けるリハビリを行います。

呂律困難がある構音障害にも、同じようなリハビリをします。

どの言語障害でも、会話でコミュニケーションするだけでリハビリになります。

また、文字を書くことで、言葉の理解にもつながります。

脳梗塞のリハビリは症状に合った適切な方法が必要

今回は、脳梗塞のリハビリを以下の3項目に分けて紹介しました。

①身体の基本の動き
②日常生活動作
③嚥下・言語

脳梗塞の後遺症は人によって様々で、その人に合ったプランのリハビリが必要です。

しかし、発症したご本人に病識がなかったり、リハビリの必要性が理解できなかったりすると、リハビリが進まないこともあります。

無理にリハビリを強要せず、ご本人の気分がのっているときや、「リハビリ」とあえて言わずに作業の一部としてリハビリをするのも良いでしょう。

少しの動作やコミュニ―ケーションでも、身体への刺激になりリハビリの効果が期待できます。

機能の低下を予防し、少しでも早く回復ができるよう、無理なく続けられるリハビリ方法を選択し、毎日少しずつでも継続していきましょう。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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