脳梗塞を発症し、幸運にも命をつなぐことができた場合でも、半身麻痺などの後遺症が残ってしまうことは少なくありません。
後遺症などの影響で自立した生活を送ることが難しい場合には、利用できるサービスがあります。
「介護保険制度」「要介護認定」「介護サービス」など、聞いたことはあるかと思うのですが、よく知らないという方がほとんどかと思います。
そこで「脳梗塞と介護保険制度その1」では、介護保険制度について、要介護認定の流れなどをお伝えしました。
「脳梗塞と介護保険制度その2」では、介護度や介護サービスの内容などをお伝えしていきます。
介護保険の介護度とは
「脳梗塞と介護保険制度その1」では、介護サービスを利用するための流れを説明しました。
申請の後に、審査により介護度が判定されるのですが、その介護度について説明していきたいと思います。
介護度と身体の状態
要介護認定の介護度の判定は、大きく分けると、要支援者・要介護者・非該当に分けられます。
要支援者
家事や身支度等の日常生活に支援が必要であり、特に介護予防サービスが効果的な状態の方
要介護者
寝たきりや認知症等で、常時介護を必要とする状態の方
非該当
自立して日常生活を送ることができ、介護サービスなどの支援が必要のない方
要支援・要介護について
さらに、それぞれ以下のとおり、区分に分けられています。
要支援
要支援1、要支援2
要介護
要介護1、要介護2、要介護3、要介護4、要介護5
以下は、厚生労働省がホームページに掲載している、要介護状態区分別の状態像です。
それぞれの介護度で、80%以上の割合で何らかの低下が見られる、日常生活能力を挙げています。
要支援1
起き上がり、立ち上がり
要支援2・要介護1
片足での立位、日常の意思決定、買い物
要介護2
歩行、洗身、爪切り、薬の服用、金銭の管理、簡単な調理
要介護3
寝返り、排尿、排便、口腔清潔、上位の着脱、ズボン等の着脱
要介護4
座位保持、両足での立位、移乗、移動、洗顔、洗髪
要介護5
麻痺、食事摂取、外出頻度、短期記憶
なお、介護度に記載している日常生活能力は、その介護度より重い介護度にも当てはまります。
(例)要支援1に記載している起き上がりと立ち上がりは、要支援2・要介護1~5にも当てはまります。
要支援2と要介護1の違いについて
要支援2となるか、要介護1となるかの大きなポイントは「認知症があるかどうか」「状態が安定しているかどうか」といったことになります。
要支援と要介護では、使えるサービスの種類や頻度が異なります。
通所リハビリサービス(デイケア)、通所介護(デイサービス)、訪問介護、訪問看護などは、要支援・要介護者共に利用できます。
しかし、夜間対応型訪問介護などのサービスは、要介護者は利用できますが、要支援者は利用できません。
また、要支援と要介護とでは、サービス利用開始時の手続き方法に違いがあります。
要支援
地域包括支援センターに連絡し、ケアプラン(介護サービスの内容)を作成してもらいます。
要介護
居宅介護支援事業者に連絡し、ケアプランを作成してもらいます。
介護サービスについて
以下のような介護サービスをよく耳にすると思うのですが、それぞれどういったサービスを受けることができるのかを説明していきます。
通所リハビリサービス(デイケア)、通所介護(デイサービス)、訪問介護、訪問看護
通所リハビリサービス(デイケア)
通所リハビリテーションとは、在宅で生活している高齢者などが、施設などに通い、日帰りでリハビリテーションなどの支援を受けるサービスです。
通所介護(デイサービス)
通所介護とは、在宅で生活している高齢者などが、施設などに通い、日帰りで入浴・昼食などの日常生活上の支援を受けるサービスです。
通所リハビリサービス(デイケア)と通所介護(デイサービス)の違い
主なサービス
通所リハビリサービス
主にリハビリを行うためのサービス
通所介護
日常生活の支援がメインのサービス
通所介護でも、リハビリを提供している場合もあります。
医師について
通所リハビリサービス
医師が常駐しています
通所介護
医師はいません
どんな方におすすめか
通所リハビリサービス
脳梗塞や骨折など、リハビリを必要とする方
通所介護
レクレーションなどを実施しており、楽しみながらサービスを受けたい方
要介護者は、通所リハビリサービスと通所介護を併用することも可能です。
訪問介護
訪問介護は、ホームヘルパー(介護職員初任者研修以上)が自宅に訪れ、食事・排泄・入浴などの身体介護や、掃除・洗濯・買い物・調理といった生活援助を行うサービスです。
医療行為を行うことはできません。
訪問看護
訪問看護は、看護師などの医療従事者が自宅に訪れ、健康状態の観察や服薬管理、点滴・注射といった医療処置などを行うサービスです。
食事や排泄などの介助は行いますが、掃除や洗濯といったサービスは行いません。
ケアマネージャーの選び方
ケアプランを作成してくれるケアマネージャーは、サービスを受けるうえでとても重要な存在です。
ケアマネージャーは選ぶことができますので、よく話をしてみて、信頼関係が築けそうな方を選びましょう。
知識があることも重要ですが、話をよく聞いてくれたり、丁寧に説明してくれるかなども、ケアマネージャーを選ぶポイントです。
万が一、ケアマネージャーと相性が悪い場合は、ケアマネージャーを変更することもできます。
話し合いをしても問題が解決しない場合は、変更の希望を申し出ましょう。
しかし最近はクレーマーと呼ばれる人たちも増えていますから、自分がそうならないよう気を付けましょう。
すべての希望が通るわけではありませんので、注意しましょう。
通所リハビリサービスや通所介護などの介護サービスは、サービス提供内容に大きな差はありません。
しかし、事業所(通所リハビリサービスなどを提供している施設などのこと)により、以下のような特色があります。
・認知症を得意としている事業所
・精神疾患を得意としている事業所 など
ご自身が希望するものがあれば、事前にケアマネージャーに伝えておきましょう。
また、事業所を選ぶ際は医師の意見や周囲の口コミなども参考にされるといいかと思います。