脳梗塞のリハビリはなぜ必要?後遺症の症状とリハビリのポイントを解説

脳梗塞とは、脳の血管が詰まることにより、さまざまな後遺症が発症する病気です。

血管は酸素や栄養を全身に送っていますが、脳の血管が詰まると酸素不足となり、脳の神経細胞が死んでしまいます。

脳は身体の動きや、言葉の理解など多くの機能を司っており、脳梗塞により今までできていたことができなくなる可能性があります。

しかし、脳梗塞後のリハビリによって機能は少しずつ回復します。

リハビリは日常生活を送る上で欠かせないものなのです。

今回は、脳梗塞のリハビリについて「リハビリが必要な理由」や「リハビリを行う上での注意点」について解説します。

目次

脳梗塞のリハビリはなぜ必要なのか

脳梗塞により死んでしまった脳の細胞は回復せず、完全な回復は現実的ではありません。

しかし、周りにある他の神経細胞には「死んでしまった脳細胞の機能を代行し、本来の機能を補う力」があります。

そのため、周りにある神経細胞を刺激することで、身体機能は徐々に回復していきます。

脳梗塞発症後の方が「動けなかったのに動けるようになった」と聞いたことがある方も多いでしょう。

これは、リハビリによって障害を受けた周りの神経細胞が刺激され、本来の機能を代行して動けるようになったということです。

脳梗塞の後遺症による症状

脳梗塞後遺症のリハビリは、症状に合ったリハビリが必要となります。

脳梗塞の部位によって、後遺症の症状はさまざまです。

後遺症は大きく分けて、以下の2つがあります。

・身体の障害
・高次脳機能障害

詳しく説明します。

脳梗塞による身体の障害

脳梗塞による身体の症状は、以下の6つになります。

①運動麻痺
上半身の片側、下半身の片側が思うように動かない。

②感覚障害
痛い、触れたといった感覚が分からなくなる、あるいは過敏になる。

③視野障害
視野が狭くなる。二重に見える(複視)。片側が見えにくくなる(半盲)。

④半側空間無視
左右どちらかの空間が意識できない。

⑤構音障害
呂律がまわりにくい。

⑥嚥下障害
食べ物が飲み込みにくい、むせる。

脳梗塞による高次機能障害

高次脳機能障害とは、記憶する、考えるといった人間ならではの機能が障害されていることを言います。

高次脳機能障害の症状は、以下の7つになります。

①記憶障害
新しいことを覚えられない。何度も同じ質問をする。

②注意障害
集中できず注意散漫になる。

③遂行機能障害
計画が立てられず、順序だてて実行できない。

④社会行動障害
感情のコントロールができず、怒鳴ったり叫んだりする。

⑤病識欠落
自分ができなくなったことが自覚できない。

⑥言語障害
言葉が発しづらい、言葉の理解ができない。

⑦自発性障害
自らすすんで行動できない。

脳梗塞のリハビリを行う専門スタッフ

リハビリは医師の指示のもとで、専門の知識と技術を身につけた以下のスタッフが行います。

・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士

各専門のリハビリスタッフがどのようなリハビリをするのかまとめました。

理学療法士

理学療法士は、座る、立つ、歩くといった身体動作の回復や維持、悪化の予防をします。

関節の動く範囲が大きくなるアプローチ、筋力の強化、痛みを和らげるといった部分的なところから、日常生活動作まで専門的な技術でリハビリします。

身体の状態をみながら、杖や歩行器といった補助具を提案します。

作業療法士

作業療法士は、心のケアと料理・食事・入浴など、日常生活に基づいたリハビリをします。

理学療法士と比較して、手先を使う細かい動作のリハビリを行います。

また、脳梗塞の後遺症が残ると、身体の変化による気分の落ち込みや自発性の低下によりうつ症状が起こりやすいため、心のケアが必要な時もあります。

心のケアを行うのも作業療法士の役割です。

言語聴覚士

言語聴覚士は、言葉や聴覚、嚥下の障害をもった人に対し、機能の回復や維持、悪化の予防をします。

脳梗塞後遺症である、発語や理解がしづらい失語症、呂律が回りづらい構音障害、飲み込みづらさがある嚥下障害にアプローチする専門士です。

嚥下障害があると固形食ではなく、やわらかい食事が提供されることが多く、食事の形態が合っているかも確認します。

脳梗塞のリハビリは早くから始めることがポイント

脳梗塞のリハビリは早い段階から始めた方が、日常生活動作の回復も早いことが分かっています。

早い段階とは、入院後48時間以内を指し、リハビリ開始時期が遅くなればなるほど体力の低下や認知機能の低下が進行し、日常生活動作の回復が遅くなります。

退院後自宅で生活するためには、早い段階からのリハビリは欠かせません。

脳梗塞の発症後の期間は、以下の期間に分けられ、リハビリ内容も異なります。

急性期
回復期
維持期

発症後の期間とリハビリ内容について、順に説明します。

急性期

急性期とは、発症から2週間頃までをいいます。

急性期は、以下を中心にリハビリを行います。

・日常生活動作のリハビリ
・寝たきり予防

脳梗塞発症直後は、病気の進行程度とリハビリの兼ね合いが大切な時期であり、医師、リハビリスタッフ、看護師が注意深く観察します。

特に自宅で日常生活を送られていた方は、入院によりベッド上での生活が中心となり、筋力が著しく低下するため、ベッド上のリハビリは欠かせません。

身体の状態をみながら、徐々に座る、立つ、歩く練習をします。

日常生活を考慮し、着替え、食事、排泄動作のリハビリも行います。

脳梗塞の症状に合わせて「どのように動けば安全にできるのか」を医療従事者のサポートを受けて観察しながら行うのが重要です。

回復期

回復期とは、発症から3ヶ月頃〜6ヶ月頃までをいいます。

回復期は、以下を中心にリハビリを行います。

・日常生活動作のさらなる改善
・復職のサポート

急性期からリハビリを続けることにより、身体の機能はさらに回復すると言われています。

また、回復期には身体の状態も安定しているので、急性期よりも積極的にリハビリができます。

急性期で獲得した日常動作から、もう1段階アップした日常動作を医療従事者のサポートを受けながら獲得します。

病院は段差がなかったり手すりがついていたりと、過ごしやすい環境が整っていますが、自宅はそうではありません。

自宅での生活を見据えて、段差移動などの練習も行います。

復職にあたり目標とする身体機能の回復も考え、目標に沿ったリハビリをするのが回復期になります。

維持期

維持期とは、発症6ヶ月頃からをいいます。

維持期は、以下のリハビリが中心になります。

・退院後の生活を安全に送る
・復職のサポート
・寝たきり予防

退院後は多くの方が自宅へ帰られます。

自宅でも安全に生活ができるよう、必要なサービスを導入しながらリハビリを継続します。

復職ができる身体の状態かどうかも検討が必要となるでしょう。

入院時は人との関わりやリハビリの機会が多くありますが、自宅の生活で人との関わりやリハビリする機会が減ると、身体機能が低下し寝たきりになるリスクがあります。

自宅でいかに身体機能を維持しながら生活するかは、とても大切なポイントです。

継続してリハビリに通うことや、自宅で自分でもできるリハビリをしましょう。

脳梗塞後のリハビリ次第で身体機能の回復が異なる

今回は脳梗塞のリハビリについて、後遺症の症状や期間毎のリハビリ内容についてご紹介しました。

脳梗塞の後遺症を発症してしまうと、日常生活を送るための身体機能回復に向けたリハビリが欠かせません。

発症前の状態と比較すると、思うようにできないことが多く、ご本人やご家族はもどかしい思いをすることもあるでしょう。

ひとつずつ諦めずリハビリを継続することが、身体機能の回復・悪化予防の近道に繋がります。

焦らずリハビリを続けていきましょう。

この記事を書いた人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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