脳梗塞の病状が落ち着いてくると、後遺症に対するリハビリが本格的に始まります。
効果的にリハビリを行うためには、リハビリを行いやすい服装でのぞむことも大切です。
今回は、脳梗塞後のリハビリにおける、女性におすすめの服装について説明します。
【後遺症別】脳梗塞のリハビリにおける女性に適した服装
脳梗塞後に生じる後遺症によって、リハビリに適した服装は異なります。
半身まひや痺れがある場合
半身まひや痺れがある場合「体を最大限に動かせる服装を選ぶ」というのが一番のポイントです。
運動リハビリにおける服装
理学療法士が行うリハビリは、体をストレッチするほか、以下のような「移動」の動作になります。
- 横になる
- 起き上がる
- 立ち上がる
- 歩く
服装としては、体のあらゆる動きを邪魔しないストレッチ性の高いものやジャージがおすすめです。
ストレッチ性が高い服には、別の利点もあります。
それは、着替えがスムーズに行えることです。
半身まひや痺れがあると、誰かの介助を必要としたり、自身の麻痺や痺れがないほうの腕や足で着替えを行う必要が出てきます。
その際、ストレッチ性が高い服装を身につけていると、腕や足に負担をかけずに着脱できます。
麻痺が強く出ている方には、普段着として使用するのもいいかもしれません。
女性の場合、着やすいからといって襟元が開きすぎているものを選ぶと、胸元が気になって動きが制限されてしまう可能性があります。
そのほか注意したい点として、ストレッチ性の高いものやジャージによく使われるポリエステル素材は、汗を吸いにくいというデメリットがあるので注意が必要です。
「リハビリをするととても汗をかく」「汗が気持ち悪い」という方は、綿素材やスウェット素材を選びましょう。
この際、女性は上衣の色を黒や紺にして、汗で下着が透けてしまわないようにしましょう。
下衣は、転倒や引っかかり防止のため裾が絞れるものがおすすめです。
リハビリにおける靴選び
運動リハビリにおいて、服装と同様に大切なのが靴選びです。
病院の売店やホームセンター、百貨店の介護用品売り場では「リハビリシューズ」といった名称の靴が販売されています。
一般的な靴と比べて、以下のような利点があります。
- 履き口が広い
- 伸縮性がある
- マジックテープ式で足の形状に合わせた履き方が可能
リハビリをするうえで安全性が高く、最大限に足を動かせるようになっています。
そのほか、脳梗塞を発症した方にとって特に良い点は、左右のサイズを別々で購入できたり、片方だけの購入ができることです。
半身まひがあると、片足だけ装具をつけている、片足だけむくんでしまう、足の形が変形してしまう、ということがよくあります。
そういった場合に片足ずつ購入できるのはとても便利で、経済的にも助かります。
女性の場合は「いかにもリハビリシューズ」といった外観を気にする方もいらっしゃるかもしれません。
最近では、リハビリシューズのインターネット販売も増え、デザインのバリエーションも豊富になってきています。
リハビリに対して前向きになれたり、少しでも楽しみながら行えるよう、好きなデザインを選ぶのもいいでしょう。
作業リハビリにおける服装
作業療法士が行う手先のリハビリは、主に腕が中心となります。
上衣は、先に述べたストレッチ性の高いものやジャージのなかでも、袖の部分が動きやすいことが大切です。
季節にもよりますが、半袖や5分丈、7分丈を選ぶほか、袖が絞れるものがいいでしょう。
下衣に関して言えば、リハビリに集中していると足も思っている以上に動きます。
開脚することもあるので、女性の場合は病衣(上下つながっているもの)ではなくズボンタイプがおすすめです。
言語障害がある場合
言語リハビリでは「あー」と声を出したり、50音字・濁音などの発声練習、簡単な言葉の練習を行います。
声を出すうえで腹筋を使いますので、上衣も下衣も腹部を締めつけないサイズのものを選びましょう。
また、失いかけている発声や発語を引き出す訓練は、かなりの集中力が必要とされるので、唾液が垂れてしまうことがあります。
汚れてもいい服を選んだり、タオルを準備しておくと良いでしょう。
嚥下(えんげ)障害がある場合
嚥下リハビリでは「嚥下訓練」というものが広く行われており、その種類には直接訓練と間接訓練があります。
直接訓練 | 実際に食べ物や水分を口に入れて飲み込む訓練 |
間接訓練 | 食べて飲み込むという行為に必要な器官(舌や唇、頬、喉、首、肩)を鍛える訓練 |
直接訓練に適した服装
直接訓練では食べたり飲んだりした際に口からこぼれてしまう可能性があるため、汚れてもいい服を選んだり、タオルを準備しましょう。
食事用のエプロンを使用するのもいいでしょう。
スプーンやコップを持つ動作もあるため、腕を動かしやすい、サイズにゆとりがあって袖が長すぎない上衣が理想です。
間接訓練に適した服装
間接訓練では、唇や舌をつきだしたり、頬をすぼめるなど口周りを動かすほか、壁を押しながら「あー」と発声したり、首や肩を上下左右に曲げる・回す運動をします。
首や肩の動きを妨げない、ストレッチ性の高いものやジャージを選びましょう。
発声を行うため、腹部をしめつけないものにしましょう。
女性が脳梗塞のリハビリを行ううえでの共通事項
全てのリハビリにおいて、髪の毛はまとめておくようにしましょう。
髪の毛が下りてくると、かきあげる動作が必要になったり、それによって気がそれてしまうことがあります。
髪の毛をまとめる場合は、途中で外れてしまわないよう、クリップ等で留めるよりもゴムでしっかりまとめるのが良いでしょう。
脳梗塞のリハビリには自分に合った服装を
今回は、脳梗塞後のリハビリにおける、女性におすすめの服装について説明しました。
後遺症により、リハビリに適した服装は異なります。
同様の後遺症であっても個人個人でリハビリの内容は変わってくるため、適した服装は一様ではありません。
実際にリハビリをしてみて「リハビリに集中できるか」「最大限の力を出せているか」を確認してみてください。
そして、自分にとって一番良いリハビリの服装を決めていきましょう。