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脳梗塞の知識

by脳梗塞MZ編集部 脳梗塞MZ編集部

なぜ脳梗塞後の便秘が多いのか。脳梗塞と便秘の深い関係

便秘の原因とタイプ

便秘の原因とタイプ

 

便秘は、ご存知の通りお通じが出づらい状態です。

 

日本内科学会は、「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」と便秘を定義しています。

 

便秘はその原因や症状によりタイプ分けをすることができます。

 

大腸癌や腸閉塞など、物理的に通り道が狭くなり便秘となることを、器質性便秘といいます。

 

それに対して、消化管の機能が原因で便秘になることを機能性便秘といいます。

 

機能性便秘には、大腸の運動が低下する弛緩性便秘、逆に腸管が緊張しすぎてしまうけいれん性便秘、便をうまく排出することのできない直腸性便秘があります。

 

高齢の方では、複数の原因があることも多く、これらの要素が入り混じって便秘となっていることがあります。

脳梗塞と便秘の関係

脳梗塞と便秘の関係

 

脳梗塞を発症すると、その後便秘を自覚することが多くなります。

 

脳梗塞になり後遺症が残った場合、一日の活動量が減少することが原因の一つです。

 

活動量が減少すると、消化管の蠕動(ぜんどう)運動が少なくなるため、便が滞り、固くなりやすくなります。

 

タイプでいえば、弛緩性便秘を発症しやすくなっています。

 

また、腹筋の力や骨盤底筋群の力が弱くなるため、自力で便を排出するのが難しくなってしまいます。

 

この場合、直腸性便秘の要素も含まれると考えられます。

 

そのほか、活動量の減少や気分の落ち込みが原因で、食事量が減少したり食事内容が偏ってしまったりすることも便秘の原因となりえます。

 

移動が困難な方などでは、トイレが近くなるのを嫌い、水分を摂る量が足りていないというケースもあります。

甘くみてはいけない、便秘が危険な病気の原因になることも

甘くみてはいけない、便秘が危険な病気の原因になることも

 

便秘はありふれた症状であるため、数日お通じがなくてもそれほど気にしない、という方も多いかもしれません。

 

しかし便秘は様々な疾患の原因になる可能性があります。

 

便秘になると、腸管の内圧が上昇します。

 

すると腸管の血流が障害され、虚血性腸炎という疾患を起こすことがあります。

 

また、大腸の壁が一部突出する大腸憩室ができやすくなり、憩室炎の原因になることがあります。

 

どちらも症状が強い場合には手術や入院が必要となる怖い病気です。

 

また、便秘になると排便をしようとしていきみます(怒責といいます)。

 

怒責時には急な血圧の上昇、また排便後には血圧が急に低下することが分かっており、急な血圧の乱高下についていくことができないと、脳や心臓の血管が破綻し、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞の原因となるのです。

 

たかが便秘とあなどってはいけない理由が、分かりますね。

脳梗塞の後に便秘になったら?便秘解消法

脳梗塞の後に便秘になったら?便秘解消法

 

脳梗塞後の便秘は、消化管や排便に関する機能の障害が主であると考えられるため、その他の機能性便秘と同様に対処する必要があります。

 

便秘への対処は大きく分けて、薬以外によるもの、薬の助けを借りるものがあります。

 

薬以外の方法は、主に生活習慣によるものです。

 

排便を一日のリズムに取り込み、習慣とすると便秘が改善しやすくなります。

 

一般的に、朝起きた時は腸管がよく動いていて、便が出やすい状況になっています。

 

そこに水分や食べ物が入ることで刺激となり、便意を催すことになります。

 

腸の運動を活性化し、排便の力を維持するためには適度な運動が欠かせません。

 

毎日継続してお腹周りの運動(腰ひねり運動などと呼ばれます)を行うと、腸への刺激となり、腹筋など排便に関わる筋力を維持することができます。

 

食事では、十分に水分を摂取するようにしましょう。

 

体重60kgの方では一日に2l程度の水分摂取が必要です。

 

食物繊維は腸管で吸収されずに残るため、水分を含んで便の一部となります。

 

食事に食物繊維が多く含まれると便が柔らかくなり、スムーズに排便をすることができます。

 

薬の助けを借りる場合は、便秘薬を使用します。

 

便秘薬には、非刺激性下剤(機械的下剤)と刺激性下剤があります。

 

速やかに効果が出やすい薬剤ではありますが、長期に服用すると効果が出づらくなったり、他の副作用が出現したりする可能性が高くなります。

 

薬に頼りすぎず、生活習慣での心がけを中心に考えていく必要があります。

脳梗塞後の便秘に、再生医療は効果がある?

脳梗塞後の便秘に、再生医療は効果がある?

 

脳梗塞によって失われた脳の機能を取り戻す可能性がある再生医療ですが、便秘という症状に対しても効果は期待できるのでしょうか?

 

答えは、「重症度や便秘の原因により、効果が期待できる」と考えられます。

 

もし便秘の原因が腸閉塞など器質性の場合、いくら脳の機能が再生しても便秘が改善することはないでしょう。

 

また重症の脳梗塞で、完全麻痺や植物状態などの場合には、脳の機能再生は簡単ではないと言わざるをえません。

 

しかし脳梗塞の後遺症を抱えながらも日常生活を自力で送っている方、便秘の原因が機能性である場合には、脳の機能が改善することで便秘が改善する可能性があります。

 

状況は人によりさまざまではありますが、例えば筋力や気分の落ち込みが改善し歩行など活動量が増える、飲み込みが改善して食事内容が多彩になる、トイレまで行くことができるようになり排便の力を入れやすくなる、などは分かりやすい具体例かと思います。

 

それ以外にも、消化管の運動を司る自律神経のバランスがとれることで、機能が改善する可能性があります。

まとめ

まとめ

脳梗塞と便秘の関係について、解説しました。

 

脳は全身へ司令をだす重要な器官ですが、消化管はエネルギーを取り入れ生命を維持するために欠かせない、同じく重要な器官です。

 

便秘にお悩みの方は、安易に便秘薬に頼るのではなく、生活習慣の心がけから始めていくようにしましょう。

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脳梗塞MZ編集部

脳梗塞MZ編集部

この記事を監修した人

脳梗塞・脳出血などの脳血管障害は、65歳以上が要介護の状態になる原因の1位(厚生労働省調べ)であり、脳卒中患者のQOL向上の一助となることを目指し、基礎知識・予防・リハビリ情報をお届けするWEBマガジンです。

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